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高血圧改善に適した運動選びのポイントは?注意点も知っておきましょう!
更新日:2025-04-06

高血圧改善に適した運動選びのポイントは?注意点も知っておきましょう!

高血圧改善に適した運動選びのポイントは?注意点も知っておきましょう!

運動は、高血圧の改善するための有効な手段の1つです。

ただ、運動の強度によっては身体に負担がかかってしまうこともあり、ご自身の状態に合わせて適切な運動を選ぶことが大切です。

この記事では、高血圧の方におすすめの運動と、実施する際の注意点についてご説明します。

高血圧の方に運動をおすすめする理由

定期的な運動により、高血圧の改善が期待できると言われています1

運動は血圧の低下に寄与する以外にも、体重や体脂肪の減少効果や全身持久力の向上、メンタルヘルスの改善にも役立ち、運動習慣のある方は脳心血管疾患のリスクが低下することもわかっています2

このように複合的な健康効果があるため、高血圧の方には運動が推奨されているのです。

高血圧で運動を控えるべきケース

Ⅱ度高血圧(診察室血圧:収縮期血圧160〜179mmHgまたは拡張期血圧100〜109mmHg)以下で、脳心血管病のない方が運動療法の対象となります1,3

Ⅲ度高血圧(血圧が180/110mmHg以上)の場合は、まず降圧治療を優先し、血圧が安定してから運動を開始しましょう3

また、以下の症状がある方は運動を控えたほうがよい場合もありますので、運動開始前に医師に相談しましょう4

  • ・安静時脈拍数 120回/分以上
    ・動作時、しばしば狭心痛※を起こす
    ・心筋梗塞発作後1カ月以内
    ・うっ血性心不全の所見が明らかなもの
    ・安静時、すでに動悸や息切れがある

※狭心痛5:狭心症の際に感じる漠然とした不快感を伴う胸の痛み。「押さえつけられる」「絞められる」などと表現され、鋭い痛みではなく締め付けられる感覚であると言われる。狭心症による心不全の症状として息切れを伴うこともある。

高血圧の改善に向けたおすすめの運動

高血圧の改善のために、中等度の有酸素運動をできれば毎日実施することが望ましいといわれています2。毎日30分以上または週180分以上の運動の実施が目安です。1回10分以上、1日の合計時間が40分程度になるよう心がけましょう。

急に運動を始めると身体への負担が大きいため、まずは日常生活での活動量を増やすことから始めるのがおすすめです。例えば、掃除や洗車、子どもとの外遊び、自転車での買い物など、普段の生活動作を意識的に増やすことから始めてください。

ここからは、屋外・屋内でできる運動を紹介します。

屋外でできる運動

ウォーキング(速歩)
最も手軽に始められる有酸素運動です。65歳以上の方は1日40分、約6,000歩以上歩くことを目標にしましょう3。会話ができる程度の速さを保ち、徐々にペースを上げていくのがおすすめです。

ウォーキングについて、詳しくはこちらで説明しています。

スロージョギング

時速3〜5km程度の歩くペースで、ゆっくりと走るジョギングです6。有酸素運動と筋力トレーニングを兼ね備えており、ウォーキングに慣れてきた方におすすめです。

最初は10分程度から始め、徐々に走る時間を延ばしていきましょう。

まずは1日30分、週3回行うことを目指します。連続して30分間走ることが難しい場合は、1分を30回や5分を6回など、分けて行ってもかまいません。

室内でもできる運動

ステップ運動

ステップ運動は、階段の昇り降りのような動作を行う、自宅で簡単にできる有酸素運動です7

高さ10~30cm程度の長方形の台を使用しますが、家の階段や玄関の段差などでもかまいません。

踏み台を使わずにその場でステップを踏む方法もあり、転倒のリスクが低く安全です8。足を腰幅程度の自然な幅に開き、腕をしっかりと振りながら実施しましょう。

ストレッチ

ストレッチは道具を使わず屋外・屋内どちらでも行える有酸素運動であり、筋や関節を伸ばして身体の柔軟性を高めるとされています9。また、習慣的にヨガを実施することで血圧を低下させるという報告もあります10

ストレッチを行う際には、次の5つの原則を心がけましょう11

  1. 1. 時間は最低20秒
    2. 伸ばす筋や部位を意識する
    3. 痛くなく気持ち良い程度に伸ばす
    4. 呼吸を止めないように意識する
    5. 目的に応じて部位を選択する

こちらの記事もぜひご覧ください。

高血圧の方が運動する際の注意点

高血圧の方が安全に運動を行うためには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。

運動前の体調チェック、運動中の負荷管理、運動後のケアを適切に行うことで、無理なく継続できるでしょう。

ここでは、高血圧の方が運動を行う際の注意点について詳しく解説します。

運動前の注意点

運動前に血圧測定を毎回行うようにしましょう。

血圧が180/110mmHg以上の場合、体調不良や睡眠不足、二日酔い、食後から1時間も経過していない場合は、運動を控えましょう3

運動中の注意点

体調の異変を感じたら、運動を中止して身体の状態を確認しましょう3

  • ・息を止めて力むような動作は避ける
    ・心拍数は100〜120拍/分を超えない程度に抑える
    ・15分ごとに水分補給する
    ・めまいや動悸、吐き気、極度の疲労を感じたら直ちに中止する

運動後の注意点

運動後も血圧を測定し、変化を記録しましょう3
また、クールダウンとして、軽い運動を5〜10分程度行い、翌日に疲労が残る場合は、次回の運動強度を下げるようにしましょう。

運動の他にも見直したい生活習慣

高血圧改善のためには、運動療法と併せて下記のような生活習慣の見直しも重要ですので、検討してみましょう。

食事内容の見直し

減塩(1日の塩分摂取量6g未満)を心がける2

野菜・果物など、カリウムが多く含まれる食物をとる2

適度な睡眠

1日7〜8時間の質の良い睡眠をとる12

節酒

飲酒量を制限する2

男性:1日あたり純アルコール換算で20~30mL(日本酒1合、ビール中瓶1本、焼酎半合、ウイスキーダブル1杯、ワイン2杯に相当)以下

女性:1日あたり10~20mL以下(男性の約半分量)

禁煙

喫煙は血圧上昇の原因となるため2、完全な禁煙を目指す

(文献2、12を参考に表を作成)

また、生活習慣の改善は認知機能の維持にも関与しており、こちらの記事で詳しく解説しています。

まとめ:ご自身に合った運動を無理なく行いましょう!

高血圧の改善のために、継続的な運動を行っていくことを推奨します。

Ⅱ度高血圧以下で、脳心血管病のない方が運動療法の対象となります1,3

急激な運動は身体への負担が大きくなるため、まずはウォーキングやステップ運動、ストレッチなどの軽い運動から始め、徐々に強度を上げていくことが大切です。

体調が優れないときや不安がある場合は、主治医に相談してから運動を開始しましょう。

(参考文献)

1,厚生労働省:高血圧症を改善するための運動. e-ヘルスネット.
[https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/exercise/s-05-004](最終閲覧日:2025年4月2日)

2, 日本高血圧学会:降圧治療. 高血圧治療ガイドライン2019. ライフサイエンス出版. 2019. p76-93.

3, 厚生労働省:身体活動・運動に関する参考情報. 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023. 厚生労働省. 2024. p15-37.
https://www.mhlw.go.jp/content/001194020.pdf](最終閲覧日:2025年3月24日)

4, 厚生労働省:認知症予防マニュアル. 多面的運動プログラムの実践<第1セッション>
https://www.mhlw.go.jp/topics/2009/05/dl/tp0501-sankou7-1-3.pdf](最終閲覧日:2025年2月20日)

5, 野田俊之, 他:どんな症状の時狭心症を疑うか. 日内会誌. 1997;86(2):196-200.

6, 一般社団法人日本スロージョギング協会:スロージョギングとは.
https://www.slowjogging.org/about/](最終閲覧日:2025年2月20日)

7, 公益財団法人長寿科学振興財団:エアロビクス・ステップエクササイズの効果と方法. 健康長寿ネット.
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shintai-training/step-exercise.html](最終閲覧日:2025年2月20日)

8, 高橋一揮, 他:ステップ運動における呼吸循環応答の検討ーステップピッチと手すりの有無を変数とした基礎研究ー. 理療の歩み. 2018;29(1):46−51.

9, 厚生労働省:運動の考え方と進め方. e-ヘルスネット.
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/exercise-summaries/s-04](最終閲覧日:2025年4月2日)

10, 厚生労働省:ストレッチングの効果. e-ヘルスネット.
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/exercise/s-04-006](最終閲覧日:2025年4月2日)

11, 厚生労働省:ストレッチングの実際. e-ヘルスネット.
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/exercise/s-04-007](最終閲覧日:2025年4月2日)

12,Hirshkowitz M, et al:National Sleep Foundation's sleep time duration recommendations: methodology and results summary. Sleep Health. 2015;1(1):40-43.

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