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【理学療法士が解説】ウォーキングの7つの効果と実施中の注意点とは?
更新日:2025-01-29

【理学療法士が解説】ウォーキングの7つの効果と実施中の注意点とは?

【理学療法士が解説】ウォーキングの7つの効果と実施中の注意点とは?

ウォーキングに興味があり、その効果について知りたい方も多いのではないでしょうか。ウォーキングには体力の向上や認知症の対策など、さまざまなメリットがあります。これらの効果を得るためには、運動の継続が重要です。

この記事では、ウォーキングの効果や実施する際の注意点をご紹介します。ウォーキングのメリットを知ることで、習慣にするきっかけとなるでしょう。

ウォーキングによって期待できる7つの効果

ウォーキングによって期待できる主な効果として、以下の7つがあげられます。

    • 体力の向上
    • ダイエット効果
    • ストレスの解消
    • 骨密度の向上
    • 生活習慣病の予防
    • 認知症の対策
    • フレイルの予防 

ここでは、それぞれの効果について解説します。

1. 体力の向上

1つ目の効果が、体力の向上です。ウォーキングは「有酸素運動」の一種で、低負荷の運動を長時間行うのが特徴です。

有酸素運動を継続すると心肺機能(心臓や肺の機能)が向上し、体内に取り込める酸素量の増加が期待できます1

酸素の取り込み量が増えることで多くのエネルギーを生み出せるため、長時間動いても疲れにくい身体を作れるのです。体力が向上すれば普段の活動量が増えて、健康的な生活を送りやすくなります。

2. 肥満の解消

ウォーキングは肥満の解消にも効果的です。ウォーキングをはじめとする有酸素運動は、酸素だけでなく脂肪を利用してエネルギーを作り出しています2。そのため、脂肪燃焼効果が期待できるのです。

ウォーキングを継続すれば効果が高まり、より体重が減少しやすくなります。体力作りだけでなく、肥満の予防・解消をしたい方にとっても、ウォーキングはおすすめの運動です。

3. ストレスの解消

3つ目の効果は、ストレスの解消です。ウォーキングでストレスが解消される主な理由として、有酸素運動が、「セロトニン」と呼ばれる脳内ホルモンの活性化を促進することが関係しています3。セロトニンは感情をコントロールして、精神を安定させる働きがあるとされています4

また、歩行中は副交感神経(リラックスするための神経)の働きが優位になるという報告もあります5。このことから、ウォーキングは気分をリラックスさせ、ストレス解消につながるのです。

4. 骨密度の向上

4つ目は、骨密度の向上です。骨密度とは、骨に含まれるカルシウムをはじめとしたミネラル成分の密度のことです。

骨密度を高めるには、食事だけでなく運動も重要です。ウォーキングによって骨に適度な刺激が入ると、骨密度が高まるとされています6

骨密度が高まれば骨がスカスカになる「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」という病気を予防でき、骨折しにくい身体を作れるでしょう。

5. 生活習慣病の予防

5つ目の効果は、生活習慣病の予防です。生活習慣病とは、不規則な食事や運動不足などの生活習慣の乱れが原因で発症する病気の総称です。生活習慣病に該当する病気の例は、以下のとおりです。

 ・高血圧

 ・糖尿病

 ・脂質異常症

ウォーキングをはじめとする有酸素運動は、血圧の低下や血糖値の改善にも効果があるとされています。そのため、ウォーキングを継続的に行うことで、高血圧や糖尿病などの改善・発症予防につながることが期待できます7,8

6. 認知症の対策

ウォーキングのような軽度の運動は、認知症発症のリスクを下げる効果があるという報告があります9。これは、運動によって脳への血流量が増えることに加えて、脳神経が活性化されることが関係するとされています10

なお、さらなる認知症対策のためには、運動だけでなく食事や認知トレーニングなどをあわせて行うことも重要です。

運動以外の認知症対策については以下の記事でも解説していますので、ぜひこちらもご覧ください。

 7. フレイルの予防

フレイルとは、加齢にともなって心身が衰え、将来的に介護が必要になるリスクが高まった状態のことです。フレイルは、以下の3つの要素に分けられます。

 ・身体的フレイル:身体機能が低下している状態

 ・精神・心理的フレイル:認知機能の低下や抑うつなどがみられる状態

 ・社会的フレイル:他人との交流が減っている状態

ウォーキングは身体機能の低下を防ぐだけでなく、うつや不安などの精神的な問題の予防にも役立ちます。また、ウォーキングを通じて他人との交流が生まれることで、社会的な孤立の予防にもなるでしょう。

フレイルに関して詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。

ウォーキングを行う際の目安

では、ウォーキングを行う際の歩数の目安はどのように決めればいいのでしょうか。厚生労働省によると、年齢によって推奨される運動量の程度は以下のとおりです11

  • 20〜64歳:1日 8,000歩以上に相当する運動量
  • 65歳〜:1日 6,000歩以上に相当する運動量

ウォーキングを行う際は、これらの歩数を目安にするといいでしょう。

ただし、なかにはそこまでウォーキングする時間を確保できない方もいると思います。その場合は、少しでもいいので歩く時間を確保したり、日常生活のなかで活動量を高めたりすることが大切です。

ウォーキングの効果を高める方法

ウォーキングを継続することはもちろん、効果的に行うための工夫を取り入れることも大切です。ここでは、ウォーキングの効果を高める方法を解説します。

運動前にウォーミングアップをする

ウォーキングをする前に、ウォーミングアップで身体を温めておきましょう。準備体操によって身体を温めることで、筋肉や関節の柔軟性が高まり、ケガの予防につながります。

具体的には、以下のようなウォーミングアップがおすすめです。

 ・その場での軽い足踏み

 ・膝の屈伸運動

 ・アキレス腱のストレッチ

ウォーミングアップを丁寧に行うことで、より安全で効果的なウォーキングを実施しやすくなるでしょう。

正しい歩き方を心がける

ウォーキングをする際は、正しい歩き方ができているかを意識しましょう。

歩行時はまっすぐに背筋を伸ばし、上半身や骨盤がブレないように意識してみてください。姿勢が崩れた状態だと、スムーズに歩けなくなるだけでなく、特定の部位に負荷が集中して肩こりや腰痛などの不調につながります。

歩き方のポイントとして、かかとから着地して、つま先でしっかりと地面を蹴り出すことも大切です。

正しい姿勢で歩くポイントについては、以下の記事で詳しく解説していますので、こちらもご覧ください。

ウォーキングを行う際の注意点 

ウォーキングを行う際は、いくつかのポイントに注意する必要があります。ここでは、具体的な注意点について解説します。

こまめに水分補給をする

こまめに水分補給をすることを意識しましょう。

ウォーキングは軽い負荷の運動であるものの、長時間行うと汗をかくことも珍しくありません。とくに夏場は気温が高いので、熱中症や脱水症状には十分に注意する必要があります。

体調を崩さないようにするためにも、ウォーキング前後はもちろん、長時間行う場合は合間にも水分補給を挟みましょう。

こまめな水分補給を心がけることで、安全にウォーキングを継続できます。

いきなり歩きすぎない

ウォーキングをはじめたばかりの方は、いきなり長時間・長距離歩かないように注意しましょう。

最初から歩きすぎると、身体に過度な負荷がかかって筋肉痛になったり、関節を痛めたりする恐れがあります。場合によっては、運動がつらく感じてウォーキングを断念してしまうケースも出てくるでしょう。

はじめは無理をせず、自分のペースでウォーキングを続けることが継続のコツです。慣れてきたら少しずつ歩く時間を増やして、負荷を強くしてみてください。

正しいやり方を心がけてウォーキングの効果を高めよう

ウォーキングは有酸素運動の一種であり、多くの効果が期待できる運動です。ウォーキングの効果を高めるためには、運動前にウォーミングアップをする、正しい姿勢で行うなどの工夫が重要です。

また、こまめに水分補給をすることや、無理のないペースでウォーキングを継続することも心がけましょう。ぜひ今回の記事を参考にして、ウォーキングを継続してみてください。

(参考文献)
1, 真田樹義. なぜ全身持久力が必要なのか -健康と全身持久力の関連性. e-ヘルスネット. [https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-04-004.html](最終閲覧日:2025年1月14日)

2, 片渕剛, 他:エクササイズと脂肪酸代謝. 日大医誌. 2021;80(1):15-19.

3, Melancon MO, Lorrain D, Dionne IJ. Changes in markers of brain serotonin activity in response to chronic exercise in senior men. Appl Physiol Nutr Metab. 2014 Nov;39(11):1250-6. doi: 10.1139/apnm-2014-0092. Epub 2014 Jun 23. PMID: 25126826.

4, ⻄⼤輔:セロトニン. e-ヘルスネット. [https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-074.html](最終閲覧日:2025年1月14日)

5, 小柴朋子, 他. ウォーキング・ジョギング時の自律神経反応に及ぼす着用ウェアの影響. デサントスポーツ科. 2011;32:128-38.

6, 真田樹義. 骨粗鬆症予防のための運動 -骨に刺激が加わる運動を. e-ヘルスネット. [https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-05-001.html](最終閲覧日:2025年1月14日)

7, 家光素行. 糖尿病を改善するための運動. e-ヘルスネット. [https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-05-005.html](最終閲覧日:2025年1月14日)

8, 家光素行. 高血圧症を改善するための運動. e-ヘルスネット. [https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-05-004.html](最終閲覧日:2025年1月14日)

9, 長屋政博. 認知症に対する運動および身体活動の効果. リハビリテーション医学 / 日本リハビリテーション医学会. 2010;47(9):637-45.

10, Kirk-Sanchez N, et al. Physical exercise and cognitive performance in the elderly: current perspectives. Clin Interv Aging. 2013;9:51-62.

11, 健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023. 厚生労働省. [https://www.mhlw.go.jp/content/001194020.pdf](最終閲覧日:2025年1月14日)

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