超高齢化が進むなかで注目を集めているのが「フレイル」です。
この記事では、フレイルとは何か、その意味や症状、セルフチェックする方法などを解説します。
ご自身やご家族がフレイルかもしれないと感じる方の悩みを解決できれば幸いです。
フレイルとは?
フレイルとは、もともと「か弱さ」や「こわれやすさ」を意味する言葉で、加齢により心身が衰え、将来的に要介護状態になるリスクが高まったり、社会的な問題が出てくる状態を指します¹。
健康な状態と要介護の状態の間にあるとされ、フレイルに早めに気づき適切に対応することで健康な状態に改善できる可能性があります。
フレイルに気をつけたほうが良い年齢
フレイルに気をつけたほうが良い年齢は、40歳を過ぎた頃といえます。ある研究によると、筋肉量の減少が下記の年齢で示されています²。
・体幹部の筋肉量:男性45歳頃、女性50歳頃から徐々に減少
・全身の筋肉量:男性40歳頃、女性50歳頃から徐々に減少
高齢になる前からフレイルに備えたほうが良いといえるでしょう。
フレイルの3つの要素
フレイルは主に3つに分けることができます。
・身体的フレイル
・精神・心理的フレイル
・社会的フレイル
身体的フレイル
筋肉や骨など、身体の運動に関わる機能が低下した状態です。
年齢を重ねるにつれて、筋肉量や筋力が徐々に減少する「サルコペニア」や、関節・脊椎の疾患、骨粗しょう症などによる運動機能の低下「ロコモティブシンドローム」などが代表的な例です。
主な身体的フレイルの要因
・運動不足や体力の低下
・低栄養
・食べる機能の低下
・生活習慣病
・繰り返す転倒
精神・心理的フレイル
加齢による身体機能低下や認知機能の低下、そして社会的孤立などの状態から不安やストレスを抱えることで、抑うつ、不安、意欲の低下などが見られる状態を指します。
主な精神的フレイルの要因
・定年退職により社会的役割を失う
・パートナーを亡くすなどの喪失体験
社会的フレイル
加齢に伴って社会との接点が薄くなった状態です。
他人との交流が減り引きこもりがちになったり、社会的な貧困になったりすることが要因です。
心身が健康であっても安心とはいえず、社会的な接点がなければ健康への負の影響をもたらす恐れがあります。
主な社会的フレイルの要因の例
・独居や孤食
・経済的な困窮
フレイルの症状
フレイルには、以下のようにさまざまな症状があります3。
・歩くスピードが遅くなった
・以前よりも疲れやすくなった
・外出することが減った、人と話すことが減ったなどの活動性の低下
・ペットボトルやビンのフタを開けられなくなるなどの筋力の低下
・6カ月間で体重が5%以上減った(意図しない体重の減少)
フレイルの状態になっているにもかかわらず対策をとらずに放置していると、要介護状態に進行する危険性が高まります。
フレイルのセルフチェック
フレイルをご自身でチェックする方法があります。12項目をチェックするだけで、フレイルのリスクを知ることができます。
詳しいチェックリストについては、下記の記事で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。
フレイルの予防
フレイルは健康な状態に戻れる可能性5があるため予防が大切です。次のようなポイントに沿って予防に努めましょう。
・持病をコントロールする
・栄養バランスの良い食事を摂る
・定期的に運動する
・口の健康を守るためにケアする
・社会活動に参加する
認知症やうつ病など心の病気があると、運動しなくなったり、栄養のバランスを考えたりすることが難しくなるため注意しなければなりません。
フレイルの予防については、下記の記事でさらに詳しく解説しているため参考にしてみてください。
まとめ | フレイルとは?意味や症状をわかりやすく解説
フレイルとは、高齢者が健常な状態から要介護の状態になるまでの中間的な段階のことです。
心身の健康だけではなく、社会的な健康にも気をつけることがフレイルの予防には欠かせません。
フレイルは早めに気づくことで、健康寿命を伸ばせる可能性があります。気になる症状や悩みがある方はかかりつけ医や専門医に相談しましょう。