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フレイルの予防と対策、重症化しないための生活習慣とは?
更新日:2024-12-27

フレイルの予防と対策、重症化しないための生活習慣とは?

フレイルの予防と対策、重症化しないための生活習慣とは?

フレイルとは、高齢者が健康な状態から要介護の状態になるまでの中間的な段階を指します。歳を重ねることによって心身や社会的な機能が低下し、将来的に要介護になるリスクが高まります。 

フレイルを予防するためには早く気づき、正しく対処することが重要です。

この記事では、栄養や運動、社会活動を中心としたフレイルの予防法を詳しく解説します。フレイルの予防法に悩む方がすぐに実践できるアプローチを提案します。

フレイルの予防の3つの柱

フレイルの予防は栄養や運動、社会活動の主に3つの柱を日常生活に取り入れて実践することです。それぞれの柱に着目し、ご自身に合う方法で継続すると、フレイルのリスクを減らせる可能性があります。

栄養バランスの良い食事を摂る

栄養バランスの良い食事は、フレイルの予防の基本です。

ある研究によると、痩せすぎたり、太りすぎていたりすると早期の死亡率が上がることが明らかになっています¹。

特に筋肉や血液など身体をつくる役割があるタンパク質を取り入れながら、栄養バランスの良い食事を心がけることが大事です²。

また、さまざまな食品を摂取する人ほど、筋肉量が多く、体力が高く、その後の筋肉量や体力の低下を予防できる可能性があるため、食品数を増やすことも重要といえるでしょう³。

定期的に運動する

定期的な運動もフレイルを予防するためには重要な要素です。

日常の活動に、少し負荷をかけてみましょう。例えば、スーパーマーケットまで遠回りして歩く距離を伸ばしたり、エレベーターではなく階段を使ったりしてみてください。

ほかにも、筋力トレーニングやジョギング、ウォーキングを取り入れると、筋肉量を維持しやすくなります。さらに、友人や家族と一緒に運動することで、楽しみながら続けられるため運動の習慣化に期待できます。

ただし、高齢者は持病を持っているケースがあるため、かかりつけ医に相談しながら運動を取り入れていくことが大切です。

社会活動への参加

独居や経済的な困窮、定年退職やパートナーの死別などがあると、社会とのつながりが少なくなる社会的フレイルになりやすい状況といえます。

地域のイベントや趣味のサークルなどに参加することで、人との交流が増え、心身の健康が保たれます。ボランティア活動もおすすめです。他者のために行動することで自己効力感が高まり、生活に充実感が生まれます。

さらに、オンラインの交流も選択肢のひとつです。移動が困難な場合には、インターネットを通じたコミュニティ参加が新たな交流の場となるでしょう。

日常の中で取り組みたいその他のフレイル予防

フレイルの予防には、日常生活のなかでの工夫が必要です。

自分の体調や状況に合った方法を選び、継続することが予防のカギとなります。

ここでは、具体的に取り組みやすい方法をいくつか紹介します。

持病をコントロールする

フレイルの予防を効果的に行うためには、持病のコントロールが必要です。

というのも、フレイルの予防には定期的な運動が必要となりますが、持病のコントロールがうまくいっていなければ運動できないためです。

膝や腰の痛みがあると活動できなかったり、血圧が高いままであればかかりつけ医から運動を制限されたりします。 

定期的にかかりつけ医の診察を受け、まずは持病がコントロールできるように治療を継続しましょう。フレイルの早期発見や重症化しないための生活習慣にもつながります。

口の健康を維持ためにケアする

口の健康を維持することは、フレイルの予防に重要です。

噛んだり飲み込んだり、話したりする機能が衰えることをオーラルフレイルと言います。フレイル進行の前兆とされているためです⁴。

例えば、歯科医院での定期的な検診や、毎日の丁寧な歯磨きを習慣化することが効果的です。また、噛む力を維持するために硬めの食材を適度に取り入れることもおすすめです。

口の健康が保たれると、栄養状態も改善し、健康に良い影響を与えます。さらに、口の乾燥を防ぐために水分摂取を心掛けたり、ガムを噛む習慣をつけると口腔機能を保ちやすくなるでしょう。

感染症を予防する

高齢者の場合は、免疫が低下していることが多いため、インフルエンザや肺炎などにかかりやすいとされています⁵。この感染症にかかったことをきっかけに、入院して寝たきりとなり、要介護状態となることもあります。 

感染症を予防するために、手洗い・うがいを行うことが大切です。規則正しい生活を送り睡眠を十分に取ったり、体調が悪いときは無理せず、早めに病院を受診したりすることも大切です。

40歳を過ぎたらフレイルの予防を意識しましょう

フレイルは高齢者のイメージが強いですが、筋肉量は40歳を過ぎると減少するといわれています⁶。 

早めの予防を意識して、40歳を過ぎた時期から適切な生活習慣を心掛けることで、将来的なフレイルのリスクを減らせる可能性はあります。

例えば、ウォーキングや軽いジョギングを日課にしたり、バランス良い食事を意識したりなど、小さな積み重ねがフレイルの予防となります。 

まとめ | フレイルの予防には3つの柱が大切!早めに予防に取り組もう

フレイルの予防には、栄養バランスの良い食事、定期的な運動、社会活動への参加を日々の生活に取り入れることが重要です。

1人で始めるのが難しい場合は、専門家やご家族の協力を得ながら進めたり、地域のフレイル予防プログラムやオンラインセミナーを活用することで、より多くの知識を得られる機会を作ることができます。

(参考文献)

1, 国立がん研究センター. 肥満指数と死亡率との関係について.(最終閲覧日:2024年12月20日)

2, 厚生労働省. 健康長寿に向けて必要な取り組みとは?100歳まで元気、そのカギを握るのはフレイル予防だ.(最終閲覧日:2024年12月9日) 

3, 東京都福祉局.予防のポイントその1「食べる(栄養)」.(最終閲覧日:2024年12月9日)

4, 日本歯科医師会. オーラルフレイル対策のための口腔体操.(最終閲覧日:2024年12月9日)

5, 公益財団法人. 長寿科学振興財団.免疫系の老化.(最終閲覧日:2024年12月9日)

6, 谷本芳美, 他. 日本人筋肉量の加齢による特徴. 日老医学誌, 2010;47:52-7.

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