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寝る前の10分運動で睡眠の質をアップ! 自宅でできる簡単エクササイズ
更新日:2021/12/08

寝る前の10分運動で睡眠の質をアップ! 自宅でできる簡単エクササイズ

寝る前の10分運動で睡眠の質をアップ! 自宅でできる簡単エクササイズ

「眠りたいのに、なかなか寝付けない……」「ぐっすり寝たはずなのに、疲れが残っている気がする……」

新型コロナウイルス感染症の流行により、運動不足で寝つきが悪くなったり、いろんなことが不安で眠れなかったりと、睡眠に関する小さな変化を感じている人もいるのではないでしょうか。調べてみたところ、やはり質の高い睡眠には「適度な運動」が必要だそう。緊急事態宣言が解除されたとはいえ、自宅で過ごすことが推奨されている現在は、ジムに通うのが難しく、外を歩くことも気が引けてしまいます。

自宅で運動不足を解消できる方法はあるのでしょうか。パーソナルトレーナーの鈴木孝佳さんに、睡眠と運動の関係性や「睡眠の質を高めるエクササイズ」を教えてもらいました。

〜鈴木孝佳さんプロフィール〜

著者

リモートコント先生

パーソナルトレーニングスタジオ「b{stoic(ビーストイック)」のヘッドトレーナー兼CTO。姿勢・スタイル・不調を改善する専門家として、トレーニングや食事、睡眠など健康にまつわる情報をSNSや動画配信サイトで発信している。

生活リズムを整えて、睡眠の質を高めよう

今回、鈴木さんにはオンライン取材にご協力いただきました。

睡眠の質を高めるために、なぜ「適度な運動」が必要なのでしょうか?

睡眠にとって一番大切なのは、生活リズムを整えることです。人間の体内時計はぴったり24時間ではないので、毎日リセットしてあげないと、生活リズムが少しずつ崩れてしまいます。体内時計をリセットするには、太陽の光を浴びる、食事を摂るなどさまざま方法があり、その一つに「運動をする」があります。

日中に体を動かして自律神経の交感神経をアクティブにしておくと、日が暮れたときに自然と副交感神経が優位な状態に切り替わってくれます。この交感神経と副交感神経のスイッチを切り替えるのに、運動は良い作用があるのです。

運動をして疲れたからよく眠れる、というわけではないのですね。

疲れて眠くなることはありますが、それが睡眠の質を高めるかどうかはわかっていません。ただ一つ言えることは、運動をしたからといって、その日の睡眠の質が急激に高まるわけではないということです。運動をすることで、いつもより良い睡眠がとれる。すると翌日の運動意欲が高まるので、そこで活動的になれば、また良い睡眠がとれる。こうした運動と睡眠の好循環を生み出すことで、睡眠の質は徐々に高まっていきます。

1日の活動量が減ってしまうときに、自宅で睡眠の質を高める運動はできるのでしょうか?

外に出なくても、体にうまく刺激を与えて生活リズムを整えることは可能です。大抵の運動は一畳のスペースがあればできるので、私は自宅のラグの上でやっていますよ。わざわざ運動用マットを買う必要はありません。気軽に自宅で体を動かしてみましょう。

日頃から運動をしている鈴木さんは、「眠りたいのに、眠れない」といったような、睡眠に関する悩みはないのでしょうか?

そうですね。でもたまに考え事をして、眠れないときがあります。そういうときは、意識的に呼吸をします。要はマインドフルネスなのですが、呼吸という一つのことに集中することで雑念をなくし、眠気を誘うのです。

これから紹介するエクササイズも、この「呼吸」を意識したものです。コロナ禍の今、さまざまな心配事が増えているでしょう。また、日中の活動量が減ってしまい自律神経をスイッチするのが難しくなっています。そんなときだからこそ、睡眠の妨げになる考え事を取り除き、自律神経の切り替えを助けてくれるエクササイズをご紹介します。

睡眠の質を高める10分エクササイズ

自宅でできる「睡眠の質を高めるエクササイズ」5種類を図解します。すべて行っても10分以内で終わるので、寝る前に習慣づけるのがおすすめです。

1.ダンゴムシ呼吸(1分)
ダンゴムシのように背中を丸めながら呼吸をして、背中にある交感神経の緊張をほぐす運動。

(1)正座をする
(2)両肘を床につける
(3)背中を丸めて、口から息を10秒はく
(4)鼻から息を5秒吸い、背中を膨らませる
※3と4を繰り返す(4セット)

ポイント:鼻から息を吸うときに、背中を膨らませることを意識しましょう。

2.脇腹ストレッチ(2分)
猫背により潰れた肋骨の隙間を広げ、肺の拡張を助けて深い呼吸ができるようにする運動。

(1)両手と両膝を床につける
(2)左手を右手の上につける
(3)上体を後ろに倒して、左脇腹を伸ばす
(4)体勢をキープし、口から息を10秒はき、鼻から息を5秒吸う
※4を繰り返す(4セット)
※右脇腹を伸ばす場合は、左右を反対にした手順で行う

ポイント:脇腹をしっかり伸ばし、息を吸ったときに脇腹が広がるイメージを持ちましょう。

3.おしりのストレッチ(2分)
緊張の原因である腰の反りを改善するために、おしりの筋肉を伸ばしてほぐす運動。

(1)体育座りをする
(2)両手を後ろにつける
(3)右足を左膝の上に乗せる
(4)骨盤を立ち上げてキープし、口から息を10秒はき、鼻から息を5秒吸う
※4を繰り返す(4セット)
※左側のおしりの筋肉をほぐす場合は、左右を反対にした手順で行う

ポイント:おしりの筋肉をしっかり伸ばし、背中が丸くならないように意識をしましょう。

4.胸のストレッチ(2分)
猫背により潰れた肋骨の隙間を広げ、肺の拡張を助けて深い呼吸ができるようにする運動。

(1)左向きに寝転がり、膝を直角に曲げる
(2)両腕を伸ばして重ねる
(3)右腕を後ろへ広げる
(4)顔を上に向けてキープし、口から息を10秒はき、鼻から息を5秒吸う
※4を繰り返す(4セット)
※左側の胸の筋肉を伸ばす場合は、左右を反対にした手順で行う

ポイント:胸の筋肉をしっかり伸ばし、腕を広げるときに膝がずれないようにしましょう。

5.リラクゼーション(1〜3分)
筋肉の緊張・緩和を繰り返すことで、全身の力を抜いていく運動。

(1)仰向けになる
(2)手足を広げて、楽な姿勢になる
(3)全身の力を100%入れて、5秒キープする
(4)全身の力を抜いて、10秒休む
※3と4を繰り返す(4セット)
※呼吸は特に意識せず、鼻呼吸で楽に行う

ポイント:長く続ける場合は、緊張20%→40%→60%と段階をつけていきましょう。

エクササイズを睡眠のトリガーにする

鈴木さんいわく、毎日続けることで「このエクササイズが終わったら眠る」と脳が覚え、睡眠のトリガーになるそうです。毎日運動を続けることは一見ハードルが高く感じますが、寝る前に10分間だけやればいいと思えば続けられそうですね。

なお、今回ご紹介したエクササイズは、「睡眠の質を高める」ことを目的としているため、この運動を続けるだけで根本的な運動不足を解消できるわけではありません。日中の運動とあわせて取り入れてみましょう。   

取材・文・編集:ノオト 絵:ウラケン・ボルボックス