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認知症の睡眠障害の対応法
更新日:2021/12/08

認知症の睡眠障害の対応法

認知症の睡眠障害の対応法

高齢者の睡眠は、寝つきが悪く、眠りが浅くなって目覚めやすいのが特徴です。
認知症になると、それに加えて周囲の環境変化に弱くなりますので、それまでの生活と条件が変わると不眠の原因になることがあります。

また、昼夜の区別がつかなくなったり、日中に活動せず昼寝の時間が多くなったりすると、昼夜逆転して夜眠らずに動きまわり、周囲の皆さんが困ることもあります。
夜間せん妄も睡眠を妨げます。

レビー小体型認知症の方の多くはごく初期から睡眠の問題を抱えています。
健康な方は、夢を見ている時に脳は起きていますが、身体の筋肉からは力が抜けているため、夢のなかで走り回っても実際の身体は動きません。
ところがレビー小体型認知症の方は、夢と一緒に身体を動かすことがあります。これをレム睡眠行動障害といいます。
たとえば、戦争で戦っている夢を見ているときには、起きあがり銃をもって戦っているような行動をされます。しかしご本人には、実際に身体が動いているという自覚はありません。
身体を揺すって起こすと、夢から覚めて「戦争の夢を見ていた」と言われます。起こされるとすぐに『戦っている』行動が止まる点が、「せん妄」とは異なります。
このレム睡眠行動障害はレビー小体型認知症の方では認知症の症状が明らかになる前から出現しやすいこともわかってきました。
また、睡眠がとぎれとぎれで、夜中に何度も目を覚ましごそごそ動いたり、「排尿の障害」から、何度もトイレに行く方もいらっしゃいます。
幻視などの幻覚の出るのが夜中に多いことも、ご本人の睡眠を妨げます。逆に昼間の居眠りが目立つこともこの病気の特徴です。日中ぼーっとしたり、うつらうつらされていることがよくあります。

対応法

日中十分な活動を

生活のリズムをつけるように、昼間は散歩に出かけたり、自分のできる仕事をしてもらったりするなど、活発に動いていただきましょう。
デイサービス・デイケアなど日帰りのサービスを利用し、レクリエーションやアクティビティで体や頭を使うことは大変よいことです。
自宅では日中、なるべく横にならないようにしてもらいましょう。

午前中の日光浴が効果的

昼夜逆転の予防には午前中の日光浴が効果的です。
できるだけ暮らしのなかに太陽の光を取り込みましょう。

眠りやすい環境を

寝室の温度・明るさ(明るいと寝られない方、暗いと恐怖感の出る方もおられます)、寝具や寝間着を調節し、快い就寝環境を整えましょう。

軽食やマッサージも有効です

寝つきが悪い時には、ホットミルクなど温かい飲み物を勧めたり、おにぎりなどで空腹を解消してもらうと穏やかに眠れることがあります。
血液の循環をよくすることも有効です。
足浴やマッサージも効果があります。

さびしさや不安が不眠の裏にあることも

寝つくまで安心感を与えるために、誰かがそばにいたり、添い寝をするのもよい方法です。
また「明日はカラオケで歌いましょう」とか、ご本人が楽しみにできることを話しましょう。明日までは覚えておられないことが多いですが、それでも楽しい気分は残りますので、満足して入眠できるようです。

睡眠パターンの観察が大切

睡眠パターンには個人差があるため、その人のパターンを観察しましょう。全く眠らないのか、浅い睡眠を繰り返すのか、深く眠る時間帯はあるのか・・・
(一晩中騒いでも空が白み始めるころ熟睡するケースはよくあります)。
また、夜中なのに昼間だと思い込んでいないかも確かめてみましょう。

夢を見ながら暴れている場合はレム睡眠行動障害を疑ってみてください
(レビー小体型認知症)

ご本人が夢を見ながら、暴れたり立ち上がったりする場合は、声をかけたり身体をゆすって起こしてあげてください。覚醒した途端に、これらの行動がなくなり正気に戻った場合は、レム睡眠行動障害が疑われます。お薬による治療で改善する可能性があるので、かかりつけ医に相談しましょう。
転倒したり、ご自分の体を傷つけたり、周りの人を傷つけるおそれがありますので、ベッドの周囲には危険なものを置かないようにしておきましょう。

かかりつけ医に相談を

どうしても眠れない場合は、かかりつけ医に相談しましょう。