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「禁煙」認知機能を維持させるポイント
更新日:2021/12/08

「禁煙」認知機能を維持させるポイント

「禁煙」認知機能を維持させるポイント

禁煙しましょう

WHOガイドラインの推奨

禁煙は認知機能低下と認知症のリスクを低減する可能性があるため、喫煙者に対して禁煙を「強く勧める」。

喫煙者は非喫煙者に比べ、
認知症のリスクが約1.3倍高くなる可能性があります

認知症の原因の1つであるアルツハイマー病の研究では、喫煙歴のある人は、ない人に比べてアルツハイマー病の発症リスクが1.37倍高いと示されています(図11
別の研究では、現在喫煙している人は、していない人に比べて認知症のリスクが1.3倍高いと示されています(図22。しかし、禁煙者と非喫煙者のリスクがほぼ同じであったことから、禁煙によって認知症のリスクが下がる可能性があるといえます。

試験概要:横断研究・コホート研究に関する文献(1990年1月~2012年10月)をメタ解析して、喫煙の経験の有無で認知症の発症リスクを比較した。リスク比はロジスティック回帰モデルで算出した。

試験概要:2014年3月までにデータベースに採録された喫煙と認知症リスクに関する37の研究について、変量効果モデルによるメタ解析を行い、認知症の発症リスクを比較した。

WHOガイドラインでは、喫煙はがん、心血管病、呼吸器疾患などの危険因子でもあることから、禁煙は認知機能低下や認知症だけでなく、他の健康リスクを低減させるメリットもあるとしています。

禁煙外来や禁煙クリニックの利用

近年は、禁煙外来や禁煙クリニックでの禁煙治療の保険診療が可能になっています。健康保険を使って治療を受ける場合、以下の4つの条件を満たす必要があります3

  1. ニコチン依存症に係るスクリーニングテスト(TDS)で、ニコチン依存症と診断された方(5点以上)
  2. 35歳以上の場合、ブリンクマン指数(=1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上の方
  3. 直ちに禁煙することを希望されている方
  4. 禁煙治療のための標準手順書3に則った禁煙治療について説明を受け、同意された方

日本禁煙学会では禁煙専門指導者がいる病院を紹介していますので、参考にしてみてください。
http://www.kinen-map.jp/hoken/nintei.php(最終閲覧日:2021年12月8日)

ニコチン依存に係るスクリーニングテスト(TDS)は、厚生労働省生活習慣病予防のための健康情報サイトで受けることができます(無料)。まずはテストを受け、自分のニコチン依存度を確認してみましょう。
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/tobacco/yt-048.html(最終閲覧日:2021年12月8日)

禁煙治療は12週間にわたり合計5回行われます。初回と最終回は対面診療ですが、2、3、4回目はスマートフォンなどを使ったオンライン診療で受けることも可能です。

新型コロナウイルス感染症拡大への一時的な特例対応として、初回からオンライン診察が可能な場合もあります。

(参考文献)
1,Beydoun MA, et al. BMC Public Health. 2014;14:643.
2,Zhong G, et al. PLoS One. 2015;10(3):e0118333.
3,日本循環器学会、日本肺癌学会、日本癌学会、日本呼吸器学会『禁煙治療のための標準手順書 第8版』(2021年4月)
http://j-circ.or.jp/kinen/anti_smoke_std/pdf/anti_smoke_std_rev8_.pdf(最終閲覧日:2021年12月8日)