糖尿病は、何が原因で発症するのでしょうか?それぞれの糖尿病の原因と予防について知っておきましょう。
糖尿病の原因について
糖尿病には1型糖尿病と2型糖尿病、妊娠糖尿病、二次性糖尿病の4種類に分かれており、それぞれで原因が異なります。
生活習慣が乱れているため
1型糖尿病では、生活習慣が発症に関与しないとされています1。
しかし、2型糖尿病や妊娠糖尿病の場合、過度な糖質摂取や運動不足による肥満、不規則な食生活、睡眠不足やストレスなどが要因となり血糖値が上昇します。特に内臓脂肪型肥満はインスリン抵抗性を引き起こし、血糖値の上昇に大きく影響を与えます2。
遺伝要因
1型糖尿病や2型糖尿病、妊娠糖尿病は遺伝が関与している場合があります。
1型糖尿病は遺伝しないと言われています1が、疾患感受性遺伝子として、以下の遺伝子を有していると家族内での発症があると報告されています。
- ・HLA遺伝子
・インスリン遺伝子
・CTLA4遺伝子
・PTPN22遺伝子
2型糖尿病においても、家族歴がある場合は発症リスクが高まることが明らかになっています3。
妊娠糖尿病に関しては母親が妊娠糖尿病だからといって、子どもも妊娠糖尿病になるとは限りません。
しかし、膵臓のβ細胞の働きは遺伝要因もあるため、遺伝性があるとも言えます4。
妊娠しているため
妊娠中は胎盤から分泌されるホルモンの影響でインスリン抵抗性が強くなり、血糖値が上昇しやすい状態となります。
妊婦の約7~9%が妊娠糖尿病を発症するとされていますが、出産後に血糖値は正常化するケースが多いです。
しかし、将来的な2型糖尿病発症リスクが高まる可能性があります5。
糖尿病の発症を予防するには
糖尿病予防の基本は、リスク因子の管理と健康的な生活習慣の維持です6。
健康的な生活習慣 |
|
適切な食事管理 |
バランスのとれた食事、適切な摂取カロリー |
定期的な運動 |
毎日のウォーキングやサイクリング |
適正体重の維持 |
BMI18.5〜24.9を維持 |
禁煙 |
さまざまな合併症、疾病リスクが高くなるので、禁煙が重要です。 |
適度な飲酒 |
純アルコール量で1日20~25g程度(ビール1本(500mL)、日本酒1合、ワイングラス2杯弱(200mL))を目安にしましょう。 |
十分な睡眠 |
睡眠時間6時間/日程度を目安に、十分な睡眠、休養を取りましょう。 |
(文献6を参考に作成)
厳密には完治することはない
糖尿病は血糖値が正常範囲内に戻ったとしても、完治したというわけではなく「寛解状態」と表現するのが適切です。
血糖コントロールが良好であっても、定期的な検査と生活習慣の管理を継続する必要があります7。
妊婦は出産後に治ることも
妊娠糖尿病は、出産後に血糖値が正常化するケースが多いです。
しかし産後にいったん正常化したとしても、将来2型糖尿病を発症するリスクが高くなることもわかっています8。
そのため出産後も状態に応じ、健康診断や定期通院での経過観察が必要です。
まとめ
糖尿病は複数の要因が関与する代謝疾患であり、その原因は1型、2型、妊娠糖尿病で異なります。
1型糖尿病の場合、生活習慣に関係なく発症するため、予防は難しいですが、2型糖尿病や妊娠糖尿病、二次性糖尿病の一部は生活習慣に気をつけることで、発症予防が可能な場合があります。
それぞれの発症原因だけでなく、発症時期についても異なることを理解し、合併症まで進行しないように予防に努めましょう。