糖尿病を発症する要因は複数あり、発症を避けるためには日頃の生活を健康的に維持する必要があります。
この記事では一般的に「糖尿病」と呼ばれる2型糖尿病、そして妊娠糖尿病について、予防に関する基本的な知識、食事や運動で取り入れられる工夫などを紹介します。
糖尿病の基本的な予防方法
2型糖尿病の予防方法には、以下が挙げられます1。
・肥満や体重の増加を避ける
・定期的な運動をする
・バランスの取れた栄養を摂取する
・飲酒や喫煙を控える
・睡眠をとる
・ストレスを溜めない
妊娠糖尿病も2型糖尿病と同様、複数の発症する要因が存在するため、エネルギーの過剰摂取に気をつけたり、適度な運動習慣を持つように意識しましょう。
糖尿病は認知症の発症要因の1つとも言われています2。このことからも血糖値に異常が見つかった場合は早めに受診し、適切な対処や治療を受けることが大切です。
食事に気をつける
2型糖尿病は、栄養バランスが偏りすぎることで引き起こされます。
食物繊維の摂取は2型糖尿病の発症リスクを低下させることが分かっており1、野菜や乳製品、魚、大豆などを取り入れながら、主食・主菜・副菜をバランス良く摂取しましょう。
運動をする
筋力トレーニングや有酸素運動も、2型糖尿病のリスクを下げることが示されています1。
週に150分以上、もしくは週に3回以上の運動を行うことが推奨されています3。
運動をする際は、無理なく続けられる運動を選択することが大切です。
まとまった時間が取れない場合も多いと思いますので、日常生活で歩く時間を増やすようにしたり、座位時間を減らすなども効果的です。
規則正しい生活を送る
夜更かしなどの不規則な生活習慣は神経の活動を変化させ、代謝に悪影響を及ぼします4。7~8時間の睡眠が2型糖尿病のリスクを最も低下させることも報告されています5。
また、妊娠糖尿病の場合も、睡眠と血糖コントロールには重要な関係性があるとわかっています6。
体重が増えすぎないようにする
肥満は2型糖尿病の主要なリスク因子です。
BMI(Body Mass Index)が25以上になると糖尿病の発症リスクが増加するため、適正体重を維持しましょう7。
もちろん妊娠糖尿病も同様で、妊娠20週までの体重増加は妊娠糖尿病の発症と関連があることもわかっています8。
飲酒や喫煙を控える
2型糖尿病は、これまで適度な飲酒は発症するリスクを下げると考えられていました9。
しかし日本人を対象とした研究では、BMIが22以下の痩せ型と呼ばれる男性は適度な飲酒であっても2型糖尿病を発症するリスクを上げる要因になることが報告されています10。喫煙も同様です11。
定期的に検診を受ける
定期的な検診を受けることにより、血糖値やHbA1c(ヘモグロビンA1c*)値などを把握し、その結果をもとに糖尿病のリスクを評価することができます12。
40歳以上の方は年1回の特定健康診査の受診が推奨されているため、自分の健康状態を定期的に確認しましょう。
ヘモグロビンA1c:直近1~2か月間の平均的な血糖値を反映した値のこと
ストレスを溜めない
精神的なストレスは、糖尿病の発症リスクを高める可能性が示されています13。
ストレスをため込まないよう、心がけましょう。
糖尿病の予防のために食事を工夫する
糖尿病予防のためには、バランスの良い栄養素を摂取することが大切ですが、下記の工夫を食事に取り入れることで、より効果的な予防が可能です。
・腹八分目を意識する
・早食いを避ける
・水分補給はお茶や水を中心に選ぶ
腹八分目を意識する
食事をコントロールして総エネルギー摂取量を最適化することは、2型糖尿病の発症予防に大切です14。
いわゆる「腹八分目」を意識し、満腹だと感じる前に食事を終えることが糖尿病の食事療法で推奨されています14。1日の適切な総エネルギーの摂取量は、年齢や活動量によって設定します。
早食いは避ける
約4,000人以上の日本人を対象にした研究では、食事の速さを「遅い」「普通」「速い」の3つに分類し、2型糖尿病のリスクを調査しました14。
その結果、「速い」ペースで食事をとる人は「遅い」ペースの人に比べて、糖尿病の発症リスクが高くなり、「普通」の速さで食事をする人でも「遅い」人と比べると、糖尿病の発症確率が高くなると分かりました15。早食いは大食いの原因にもなりますので、よく噛んで食事をすることを心がけましょう。
水分補給はお茶や水を中心に選ぶ
エネルギー摂取過多や急激に血糖値を上げる原因となる清涼飲料水や野菜ジュースなどの甘い飲み物は、できるだけ避けるようにしましょう。特に血糖コントロールが悪い方においては清涼飲料水の摂りすぎはペットボトル症候群の原因になり危険です。
糖尿病の予防で工夫できる運動
糖尿病予防には、レジスタンス運動と呼ばれる筋力トレーニングや有酸素運動が効果的と言われており、両方を併用することでより効果的に糖尿病を改善させることも報告されています16。
室内外で実践できる運動を紹介しますので、ぜひ実践しましょう。
室内運動
室内では、筋力トレーニングを積極的に取り入れましょう。
腹筋やダンベル、腕立て伏せ、スクワットを行うことでインスリンが使われやすい身体になります。
野外運動
屋外での運動は、有酸素運動に最適です。1日30分程度のウォーキングや水泳を取り入れてみましょう。
よくある質問
糖尿病の予防に関してよくある質問をまとめました。
糖尿病を防ぐ食べ物はありますか?
特定の食品だけで糖尿病を完全に予防することはできません。
食事の基本である主食、主菜、副菜のバランスの良い食事を心がけましょう。
食物繊維は糖尿病の予防に期待できます1。
糖尿病を未然に防げるサプリはありますか?
サプリメントだけで、糖尿病の改善や発症予防効果を期待するのは避けましょう。
食事や運動などの生活習慣の改善が重要です。そのうえで必要と思われるものを選びましょう。
まとめ
2型糖尿病・妊娠糖尿病の予防は、日常生活で行えることが多くあります。
・肥満や体重の増加を避ける
・定期的な運動をする
・バランスの取れた栄養を摂取する
・飲酒や喫煙を控える
・睡眠をとる
・ストレスを溜めない
2型糖尿病や妊娠糖尿病は生活習慣病を改善するだけでも予防できる可能性 があります。
ただし、妊娠中は胎盤から分泌されるホルモンでインスリンの機能が下がるため、対策していても発症してしまう可能性があると知っておきましょう。