わが国の認知症の当事者の数は増加傾向にあります。2022年時点で、認知症の当事者は約443万人、軽度認知障害(MCI)をあわせると1千万人以上にのぼると推計されています1,2。
こうしたなかで、「最近もの忘れが増えた気がする」「家族の様子がいつもと違う」といった小さな気づきが認知症の早期発見・支援につながることがあります。
この記事では、認知症かもしれないと悩んでいるときに相談できる場所を、お悩み別に紹介します。
ご自身・ご家族のもの忘れの不安を相談したい
「最近ちょっともの忘れが増えたかも…」と不安に感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、ご家族のもの忘れが目立つようになったとき、どこに相談したらいいの?と悩まれることは珍しくありません。ここでは、そういったときの相談先をそれぞれ紹介します。
相談先 |
特徴 |
お悩みに対してできること |
公式サイトなど |
| 地域包括支援センター | 高齢者の医療や介護のよろず相談窓口 | もの忘れの不安に関する初期相談、専門の職員が幅広く対応 | 地域包括ケアシステム(最終閲覧日:2025年11月28日) |
| 自治体の担当課 | 市区町村の窓口 | 支援制度や相談機関の紹介 | お住まいの自治体の窓口で確認 |
| 認知症疾患医療センター | 認知症専門の医療機関 | 専門的な診断・治療、今後の対応方法などのアドバイス | 各自治体へ問い合わせ、インターネットで検索 |
| 認知症の人と家族の会 | 認知症のご本人やその家族が支え合う全国組織 | 経験者による電話相談(フリーダイヤルあり)、介護の知識や悩みの共有 | 公益社団法人 認知症の人と家族の会 (最終閲覧日:2025年11月28日) |
| 認知症カフェ | 認知症のご本人やそのご家族などの交流の場 | 同じ悩みを持つ人との情報交換、講座や相談会、専門職への相談 | 地域包括支援センターなどで確認 |
| 日本認知症本人ワーキンググループ | 認知症のご本人が、自身の経験や思いを発信する団体 | 経験者からの情報提供 | 一般日本認知症本人ワーキンググループ (最終閲覧日:2025年11月28日) |
| 全国若年認知症連絡協議会 | 若年性認知症のご本人、ご家族、支援者の全国組織 | 若年性認知症ならではの悩みや支援方法に関する情報交換ができる | 全国若年認知症連絡協議会 (最終閲覧日:2025年11月28日) |
| 若年性認知症家族会・彩星の会 | 65歳未満で発症する認知症のご本人と家族の会 | 若年性認知症に関する講演会、研修会、ご家族による電話相談 | 若年性認知症家族会・彩星の会 (最終閲覧日:2025年11月28日) |
| かかりつけ医 | 日頃からご自身の健康状態を把握している身近な医師 | もの忘れに関する相談、専門医療機関への紹介 | それぞれの医療機関 |
(テヲトル編集部により作成)
地域包括支援センター3
地域包括支援センターは、医療や介護にかかわる「よろず相談窓口」です。医療や介護の専門職が配置されており、毎日の暮らしのことやこれからのことを気軽に安心して相談できます。また、状況に応じた支援策を一緒に考えてくれます。
自治体の担当課
お住まいの自治体の高齢者福祉や介護保険を担当する課では困りごとについて相談できます。利用できる支援制度や専門の相談機関などを紹介してもらえます。
「高齢介護課」「高齢福祉課」「介護保険課」「高齢者支援課」「地域保健福祉課」など、担当課の名称は自治体により異なります。自治体の総合窓口などに尋ねてみましょう。
認知症疾患医療センター4
認知症疾患医療センターは、認知症専門の医療機関です。診断や治療だけでなく、もの忘れや認知症の悩みを広く受け付ける相談窓口を設けています。今後の対応方法のアドバイスや、生活などに関する不安が軽減されるよう、診断後の支援も行っています。
各自治体で問い合わせていただくか、インターネットで検索してください。
例:東京都 認知症疾患医療センター
なお、全国の認知症疾患医療センターの一覧表はこちらになります
(最終閲覧日:2025年11月28日)
認知症の人と家族の会
認知症の人と家族の会は、認知症のご本人やその家族の方達が支え合う全国的な組織です。認知症に関する知識や介護の仕方などについて経験者が丁寧に相談に応じてくれます。
- 公益社団法人認知症の人と家族の会 (最終閲覧日:2025年11月28日)
- 認知症の人と家族の会 各支部(最終閲覧日:2025年11月28日)
認知症カフェ6
認知症カフェは、認知症の当事者やそのご家族が、地域の方や介護・福祉などの専門家と交流できる場です。支援制度に詳しい専門職が関わっており、認知症についての講座や相談会なども開かれています。
「認知症カフェ」「オレンジカフェ」など、さまざまな名前で運営されている場合があります。詳しくはお住まいの自治体の地域包括支援センターや高齢者福祉担当課(名称は地域によって違います)などでお尋ねください。
日本認知症本人ワーキンググループ(JDWG)
日本認知症本人ワーキンググループ(JDWG)は、認知症とともに生きる人が、希望と尊厳をもって暮らし続けることができる社会づくりを目指して活動している団体です。認知症のご本人の思いや体験を伝える様々な活動を行っています。
- 日本認知症本人ワーキンググループ(JDWG)(最終閲覧日:2025年10月21日)
全国若年認知症連絡協議会
全国各地から若年性認知症のご本人、およびそのご家族、そしてその支援者が集まる全国組織です。若年性認知症ならではの悩みや、支援方法を話し合う全国フォーラムなどを開催しています。
- 全国若年認知症連絡協議会 (最終閲覧日:2025年10月21日)
若年性認知症家族会・彩星の会
若年性認知症家族会・彩星の会(ほしの会)は、65歳未満で発症する認知症のご本人とそのご家族の会です。ご本人と支援者、医療福祉関係者など専門職が交流する講演会や研修会、ご家族による電話相談も実施しています。
- 若年性認知症家族会 彩星の会 (最終閲覧日:2025年11月28日)
かかりつけ医
もの忘れがみられるようになったご本人が、日頃から受診しているかかりつけの医師がいらっしゃる場合には、まずはその医師に相談してみましょう。認知症の専門的な医療機関への受診は心理的なハードルが高く、なかなか受診に至らない実態もあります。かかりつけ医からの声かけで、専門医療受診につながるかもしれません。
認知機能の状態をチェックしてみたい
認知機能の状態をチェックしてみたいと思われたとき、自治体が提供するチェックリストや、医療機関での検査を活用できます。
ただし、正確な診断には専門の医師による診察と検査が必要です。このことを念頭に置いて、次に紹介する方法をご参照ください。
| 相談先 | 特徴 | お悩みに対してできること | 公式サイトなど |
| 自治体の担当課 | 市区町村の高齢者福祉や介護保険に関する窓口 | 簡易的なチェックシートの提供、認知症に関する情報提供 | 例:自治体のチェックシート(東京都の例) |
| 脳の検査ができる施設 | 画像検査などができる医療機関(健診、脳ドッグをしているところもある) | MRIなどの画像検査、認知機能検査など (健診や脳ドッグの場合は保険診療外) |
もの忘れ相談ナビで検索 |
(テヲトル編集部により作成)
自治体の担当課
自治体などの公的機関で認知症に関する簡易なチェックシートを公開していることがあります。ただし、こうしたチェックリストの結果はあくまで目安であり医学的診断に代わるものではありません。認知症の診断には医療機関での受診が必要です。気軽に利用できるチェックリストを活用しつつ、心配なときは早めに相談窓口や医療機関に相談しましょう。
脳の検査ができる施設
医療機関によって脳の検査ができる施設があります。健康診断を実施している医療機関では、健診のオプションメニューなどで「脳ドック」を実施している事業者があります。
MRIなどの画像検査や認知機能検査など受けられる検査は異なります。ただし、検査で異常が見つかった際には、専門の医療機関を受診が必要になることがあります。
もの忘れの原因を確認したい
もの忘れの原因をはっきりさせたいという場合、認知症の専門外来を受診することになります。ここでは、もの忘れの原因を調べるための具体的な受診先について紹介します。
| 相談先 | 特徴 | お悩みに対してできること | 公式サイトなど |
| もの忘れ外来 | 認知症の専門外来 | 適切な検査、診断と治療方針の提案 | 全国もの忘れ外来一覧 |
| 認知症疾患医療センター | 都道府県や政令指定都市が指定する認知症専門の医療機関 | 認知症の診断・治療、地域連携による治療生活のサポート | ・各自治体へ問い合わせ ・インターネットで検索 |
| 脳の検査ができる施設 | 脳ドックなどで脳の状態を画像診断できる医療機関 | MRIなどの画像検査や認知機能検査など | もの忘れ相談ナビで検索 |
(テヲトル編集部により作成)
「もの忘れ外来」を開設している医療機関
認知症診療などに対応した「もの忘れ外来」を設置している医療機関では、様々な専門的な検査を通してもの忘れの原因を調べることができ、必要に応じて治療や支援につなげることが可能です。
- 全国もの忘れ外来一覧(公益社団法人認知症の人と家族の会ホームページより)
(最終閲覧日:2025年11月28日)
認知症疾患医療センター
認知症疾患医療センターは認知症専門の医療機関です。認知症の診断や治療を行うだけでなく、もの忘れや認知症の不安についての相談から、地域の医療福祉機関と連携した治療生活のサポートまで対応します。
各自治体で問い合わせていただくか、インターネットで検索してください。
例:東京都 認知症疾患医療センター
なお、全国の認知症疾患医療センターの一覧表はこちらになります(厚生労働省ホームページより)
(最終閲覧日:2025年11月28日)
脳の検査ができる施設
医療機関によって脳の検査ができる施設があります。健康診断を実施している医療機関では、健診のオプションメニューなどで「脳ドック」を実施している事業者があります。MRIなどの画像検査や、認知機能検査など受けられる検査は異なります。
まとめ|認知症に関する悩みの相談先について
「もの忘れが増えてきた気がする」「認知症かもしれない」と感じたときは、早めに相談することが大切です。認知症になっても安心して暮らせる社会の実現に向け、現在はさまざまな制度や支援が用意されています。
すぐに病院を受診することに抵抗がある、何から始めればよいか分からない、そんなときは一人で抱え込まず、この記事で紹介した相談窓口に問い合わせてみましょう。


