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糖尿病ではどんな検査が行われるのか?わかりやすく解説します
更新日:2025-02-21

糖尿病ではどんな検査が行われるのか?わかりやすく解説します

糖尿病ではどんな検査が行われるのか?わかりやすく解説します

健康診断などで糖尿病の疑いがあったときに、今後どのような検査が必要なのか気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

糖尿病は初期段階では症状がほとんどない疾患(病気)ですが、高血糖の状態が長く続くと、全身の血管が傷つき、さまざまな合併症を発症する可能性があります1。そのため、定期的な検査による早期発見、早期治療が大切です2

本記事では、糖尿病の検査について具体的な内容を紹介します。

糖尿病検査の方法とは?

糖尿病は複数の検査を組み合わせて診断します。

血液検査

血液検査では、以下の数値を調べることができます。

・空腹時血糖値:食事の影響を受けていない血糖値を指します。10時間以上食事をしていないときに測定が可能です。
・随時血糖:食事を摂った状態で、時間を定めず測定した血糖値。
・HbA1c:過去1~2か月間の血糖値の平均を反映する指標として用いられます。

経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)

経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)は、ブドウ糖を摂取した後の血糖値の変化を観察する検査3で、より詳細な診断が必要だと判断された場合に実施される検査です。
検査は、以下のような手順で行われます。

 1. 検査開始前10~14時間は飲食やアルコールの摂取を控える
 2. 空腹状態で血糖値を測定した後、75gのブドウ糖を含む検査飲料を飲む
 3. その後2時間にわたって定期的に血糖値を測定

健康な方は2時間後に正常範囲内の血糖値に戻りますが、糖尿病の方は高い値が持続します。OGTTは、初期の糖尿病や耐糖能異常を発見するのに特に有効です。

尿検査

尿検査では、尿糖や尿タンパク質、ケトン体などを調べます4

尿糖

血糖値が160-180mg/dL以上になると、尿中に排出される糖分を検出します。妊婦検診においても利用され、尿糖が陽性になると妊娠糖尿病に注意する必要があります。

尿タンパク

腎合併症を評価する指標となっており、動脈硬化や血管障害の危険因子として重要とされています5

ケトン体

インスリンが働かなくなり、ブドウ糖をエネルギーとして使えないときに、脂肪をエネルギーに変換する過程で発生します。炭水化物制限などでも認められますが、高血糖状態でインスリン作用が高度に不足すると現れ、糖尿病性ケトアシドーシスの原因となります。

(文献4,5を参考に作成)

家庭での簡易検査

自己測定器(SMBG)を使うことで、日常生活での血糖値の変動把握が可能です。
インスリンなどを処方されている方は、医療機関から処方された血糖測定器を使用し、指先から少量の血液を採取して測定します6。現在では指先採血を伴わない血糖測定器もあります。

インスリンなどを処方されていない方は、薬局などで購入して検査をすることになります。
普段から検査を行い、血糖値を記録することは血糖コントロールに有効です。

糖尿病検査はどこで受けられるのか

糖尿病の検査は、病院以外にも受けられる場所があります。
検査をしてみたいけれど気軽に受けられるものなのか分からず、そのまま検査を受けずに糖尿病が進行してしまったということにならないよう、検査を受けられる場所を把握しておきましょう。

病院やクリニック

糖尿病を疑う自覚症状がある場合は、まずかかりつけの医療機関で検査を受けましょう。糖尿病の疑いがあった場合は追加の検査を行います。糖尿病の診断となった場合は治療が開始されるか、必要に応じ専門医へ紹介されます。

健康診断センター

自覚症状がない場合は、まずは健康診断を受けましょう。
人間ドックや健康診断では糖尿病の検査項目が含まれていますが、確定診断ができないため、異常値が出た場合は医療機関での追加検査が必要です。 

健康診断での糖尿病検査は基本項目に含まれており、追加料金なしで受けられるケースがほとんどです7
糖尿病に限らず、特に疾患の自覚症状がない場合でも、年に1回は健康診断を受けるようにしましょう。

薬局やドラッグストア

一部の薬局やドラッグストアでは、簡易的な血糖値測定サービスを提供しています。
指先から採血して約30分で結果がわかりますが、簡易検査は参考値であり、医療機関での正式な診断は別途必要です。

自治体の無料検査イベント

血糖値の簡易測定ができるイベントを定期的に実施している自治体もあります。
たとえば鳥取市では無料で検査を行える「生活習慣病予防啓発キャンペーン」を行っています8。予約も不要で誰でも検査を気軽に行うことが可能です。

日程によって内容が異なり、血糖簡易測定だけでなく服薬相談や血圧測定ができる日もあります。

糖尿病と診断されてから継続して行うべき検査

糖尿病と診断された後は、以下の検査を定期的に行う必要があります9
血糖値のコントロールを行いながら合併症の発症を防ぎましょう。

・血液検査:HbA1cや血糖値の測定
・尿検査:腎機能の評価
・眼科での検診:網膜症の確認
・歯科での検診:歯周病などの確認
・動脈硬化検査:血管心疾患のリスク評価
・腎機能検査:尿アルブミン、クレアチニンの測定

まとめ

糖尿病の検査には、4つの検査があります。

・血液検査
・経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)
・尿検査
・家庭での簡易検査

家庭や自治体などでの簡易な検査はあくまで参考値であり、病院での採血結果により糖尿病の確定診断を行います。健康診断や無料検査などで「糖尿病かも」と疑った際には放置せず、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

(参考文献)
1, 国立国際医療研究センター糖尿病情報センター:糖尿病とは.[https://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/060/020/02.html]
(最終閲覧日:2025年1月10日)
2, 厚生労働省:糖尿病.
[https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b7.html]
(最終閲覧日:2025年1月10日)
3, 日本糖尿病学会:1章 糖尿病診断の指針.糖尿病診療ガイドライン2024.南江堂.2024. p5-7.
4, 糖尿病診療ガイドライン;糖尿病診療ガイドライン.[https://human-data.or.jp/wp/wp-content/uploads/2024/04/DMmanual_2024.pdf].(最終閲覧日:2025年1月28日)
5, e-ヘルスネット:たんぱく尿.[https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-070.html].(最終閲覧日:2025年1月14日)
6, 糖尿病情報センター:血糖自己測定について.[https://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/100/040/04.html]
(最終閲覧日:2025年1月10日)
7, 全国健康保険協会:生活習慣病予防健診の自己負担額.[https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g4/cat410/sb4030/r91/].(最終閲覧日:2025年1月10日)」
8, 鳥取市ホームページ.
[https://www.city.tottori.lg.jp/www/contents/1403748268691/index.html].(最終閲覧日:2025年1月28日)
9, 日本糖尿病・ 生活習慣病ヒューマンデータ学会:糖尿病標準診療マニュアル2024. 2024:1-19.

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