糖尿病と診断された際に「これからどんな治療を行うべきなのか?」「食事や生活習慣を見直すことで治すことが可能なのか?」と疑問をもつ方もいるのではないでしょうか。
この記事では、糖尿病に対して一般的にどのような治療が行われるのか、症状を少しでも改善するためにできる食事、糖尿病の進行を防ぐためにできることを解説します。
糖尿病は治るのでしょうか?
糖尿病には1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病などのタイプがあり、どれも完治が難しい疾患(病気)ですが、適切な治療や生活習慣の改善などを行うことにより、血糖値やHbA1c値を正常範囲内にコントロールすることが可能です。
また、早期に治療を行うことで、内服なしでも血糖が良好に維持できる、寛解状態となることが可能なこともわかってきています。
食事療法や運動療法を適切に実施することで、薬物療法に頼らずに血糖をコントロールできる場合があります1。良好な血糖コントロールには、定期的な通院や生活習慣の見直しが重要です2。
糖尿病の治療法について解説
糖尿病は完全には治癒しない疾患(病気)ですが、食事、運動療法に薬物療法を組み合わせることで、糖尿病がない人と同じ生活を送ることが可能です。
これまでの薬とは異なり、低リスクで治療を進められる糖尿病の新しい薬も登場しています。
糖尿病の薬物療法
1990年頃までの糖尿病治療は、スルホニル尿素薬やインスリンが中心となっており、薬剤による血糖値を下げる効果が確認されている一方、低血糖のリスクや体重増加などの副作用が課題とされていました3。
現在では低血糖リスクが低く、体重減少効果を認める薬、腎臓、心臓といった臓器保護作用があるとされている薬が使用可能となっています。
食事療法や運動療法をベースに患者さんごとの病態に合わせ薬物選択を行い、治療を行います4。
糖尿病は初期段階であれば治すことは可能か?
糖尿病の初期、特に生活習慣の改善で対応可能な段階では、適切な介入により血糖値を正常範囲内に戻せる可能性があります。
特に肥満の方は、食事療法、運動療法を行い、体重をコントロールすることで、インスリン抵抗性を改善させ、薬物療法がなくても血糖が良好な状態を保つことが可能な場合があります3。
糖尿病を治すための食事で気をつけること
食事療法は、糖尿病治療の基本となるアプローチです。
適切な食事管理により、血糖値の安定化を図ることや、合併症の発症・悪化を防ぐことが期待できます。
低GI食品を選びましょう
グリセミック・インデックス(GI)の低い食品を選択することで、食後の血糖値の急激な上昇を抑えられます。玄米、全粒粉パン、野菜類などの食物繊維が豊富な食品を積極的に取り入れることが推奨されます5。
バランスの良い食事を摂取しましょう
主食や主菜、副菜をバランスよく摂取することが重要です。
糖尿病に対する食事療法では、炭水化物50〜60%、タンパク質20%、脂質20〜30%を目安とされており、食物繊維を1日20g以上摂取することも推奨されています6。
適度なカロリー制限を行いましょう
適正体重の維持を目標とするための必要エネルギー量を把握し、目標値に応じた食事量が必要です。
1日の摂取カロリーは、年齢・性別・活動量・体格などを考慮して設定します7。
糖尿病が寿命に与える影響とは?
糖尿病と診断され、実際に血糖コントロールを良好に維持できない方は、さまざまな合併症が生じ、悪化することで寿命が短くなる可能性があります8。
一方、血糖コントロールが良好な糖尿病患者さんは、糖尿病ではない方と比べて平均寿命に大きな差がないことも報告されています9。
糖尿病と診断されたら「病気になったら寿命が短くなるのではないか」と不安を感じる方もいますが、適切な治療と管理を行うことで健康寿命を延ばすことが可能となります。
痩せれば糖尿病の進行を抑えられる?
肥満の場合は、体重減少により血糖コントロールの改善が期待できますが、糖尿病はやせ型の方でも発症することがあります。
また、1型糖尿病は肥満の有無に関わらず、インスリン分泌が低下することで高血糖となります。
やせ型でも内臓脂肪の蓄積量が多い方は、体重だけでなくウエスト周囲長などにも注意が必要です1。
糖尿病が悪化しているサインはある?
糖尿病の悪化を示す代表的な症状は以下の3点です。
・強い口渇感
・全身倦怠感
・食べているのに体重が減る
これらの症状が現れた場合は、糖尿病がかなり悪化している疑いもあるため、速やかに医療機関を受診することが重要です10。
まとめ|糖尿病は治るの?現在行われている一般的な治療法について解説します
糖尿病の完全な治癒は難しいですが、適切な治療と生活習慣の改善により、良好な血糖コントロールを維持することが可能です。血糖コントロールがきちんとできていれば、合併症を生じることなく、今まで通りの生活を送ることができます。
早期発見・早期治療が重要であるため、糖尿病予備軍や糖尿病の診断を受けた際には、食事療法と運動療法を基本とした生活習慣の改善に取り組み、必要に応じ薬物治療を受けるようにしましょう。定期的な通院を継続し、長期的な健康管理を心がけましょう。