「母との同居継続」認知症介護家族の悩み
80代前半の母(アルツハイマー要介護1)は、5年前に父が亡くなってから一人暮らしでしたが、もの忘れや火の不始末が始まり、1年前私たち夫婦が実家に戻って同居しました。最近、母の物盗られ妄想が激しくなり、「財布を盗られた」「この家を乗っ取られる!」と夫を疑っています。私は夫に対して気遣いもあり、別居しようか、母をどこかへ預けようか等考えています。
長女:50代
介護家族:もう少し様子をみませんか、いつまでも続きません
大変ですね。私も姑の物盗られ妄想、被害妄想、幻覚などで苦労しました。別居とか、すぐに施設へと結び付けずに、もう少し様子をみてみましょう。必ず状況は変わります。
世話人:ご主人の気持ちを確かめて
ご主人が同居を理解してくれたことは有難いですね。現在ご主人がどう考えておられるのか話し合ってみてはいかがでしょう。また、ご主人もつどいに一緒に参加し、経験者の体験を聞かれることをお勧めします。
ケアマネジャー:思いきって一人暮らしに戻しては
要介護1では特養の入所は出来ないので、入所ならグループホームやサービス付き高齢者向け住宅等になると思います。あなたとご主人の生活を大切にするために、お母さんが元通り一人暮らしを続ける方法を考えては…。泊まりやデイ、訪問などのサービスをひとつの事業所で提供してくれる小規模多機能型居宅介護が認知症の人の暮らしを守るのに有効です。お住まいの地域にあるかどうかケアマネさんに相談してみてください。電磁調理器具や通報システムの利用もいかがでしょうか?
介護経験者:サービス利用でストレスを少なく
お二人の間におられ、辛いですね。お母さんと離れて過ごす時間を作れるように、ご主人も一緒にケアマネさんと介護保険サービスの利用を考えるのがよいと思います。
医者:症状は不安な気持ちの表れ
不安な気持ちが症状として表れていると考えられます。妄想は向精神薬で良い効果が得られることも多いので、かかりつけ医に相談してみましょう。また、認知症の症状として理解すると介護する人の気持ちが楽になることもあります。
看護師:頼りにしている人に対して症状は強くでる
「家族の会」副代表の杉山孝博医師は「症状の出現強度に関する法則」※として、「認知症の症状はより身近で本人が頼っている人に強くでる」と説明しています。一緒に探すと安心することも多いです。置き場所を忘れる事が物盗られ妄想につながりやすいので、置き場所の工夫もしてみましょう。
介護職員:お母さんにも役割を
同居された事で、お母さんの役割や居場所がなくなっていませんか?見守りや声かけがあればまだできることがたくさんあると思います。お母さんの持っている力に合わせて、出来そうな家事を頼み、感謝を表す場面を作ってみてはいかがですか?
※「家族の会」ホームページ 認知症をよく理解するための9大法則・1原則
「ぽ~れぽ~れ」通巻419号(2015年6月25日発行)