「夫が運転をしてくれないと生活できない」認知症介護家族の悩み
夫は80代前半、アルツハイマー型認知症で要介護1です。子どもたちは独立し、二人で住んでいます。買い物や医者へ行くにも車がないと不便な田舎です。最近、駐車した場所がわからなくなったり、道に迷ったりすることがあり、運転をしたがらなくなりました。息子たちは心配していますし、医師からは運転はやめるよう言われていますが、私は足が悪く、夫の運転がないとどこへ行くにも不自由です。どうしたらいいでしょう。
妻:70代
医師:認知症の診断を受けた人は運転できないことになりました
道路交通法では75歳以上の高齢者が免許更新時の検査で認知症の疑いがあると判断された場合は、医師の診断をうけなければなりません。
介護経験者:運転免許証の自主返納制度の活用を
私の夫も運転ができなくなり、免許証を返納して「運転経歴証明書」をもらいました。これを提示して、路線バスやタクシーの減免などの「免許返納時の特典」を利用しています。車のない生活に不安はありましたが、この特典で車以外の手段が使い易くなりました。特典については、自治体により異なりますので、お住まいの地域を管轄する市役所や警察署に問い合わせてみると良いですよ。
ケアマネジャー:被害者の立場になったことを想像して決断を
奥様も不便でしょうが、被害者の立場で考えて決断しませんか?事故を起こしてしまった時に、認知症と診断されている場合は、自動車保健(任意保険)の約款にある「免責事項」により、保険金が支払われない可能性もあります。
世話人:病状は進行します。今が決断のときです
不便を感じるでしょうが、ご主人も運転に不安を感じているようですし、いつまでも運転が出来るわけでもありません。今がその時と考え、車を手放すことを奥様自身が決める時期だと思います。息子さんの心配も踏まえて家族で話し合ってみませんか。買い物などは息子さんやご近所の方に協力してもらえるか相談してみてはいかがですか。
地域包括:奥様自身もサービスを利用しましょう
田舎では本当に交通が不便ですよね。地域により違いますが、NPO法人等の移送サービスや介護タクシーもあります。生活面では、生協等の宅配や移動販売車の利用、NPO法人の買い物サービスもあります。具体的な提案をさせていただきますので、地域包括支援センターにご相談ください。また、ヘルパーさんに買い物を頼むとか、交通の不便な地域ではデイサービス中に買い物に連れて行ってくれる事業所もあります。奥様も介護保険を申請してサービスを利用してはいかがでしょうか?
「ぽ~れぽ~れ」通巻420号(2015年7月25日発行)