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地域包括支援センター長の声
更新日:2021/12/08

地域包括支援センター長の声
※インタビュー内容はすべて取材当時のものです。年齢や所属機関等、変更となっている場合がございます。

地域包括支援センター長の声

「いつまでも住み慣れた土地で安心して生活できる」
そんな環境をつくっていきたいと思います。

2005年介護保険法により地域包括支援センターが各地域に設置されました。地域包括支援センターは介護に関する相談窓口ですが、その仕事の実際はどのようなものなのか、お二人に伺いました。

明石さんが介護の仕事に就いたきっかけは。

【明石】病院看護師を経験した後、介護の世界に入りました。きっかけは退院した60~70歳台の患者様が、繰り返し同じ病気で入院してくるのは何故だろうと考えたことですね。

内山さんはどのようなきっかけで介護の世界へ。

【内山】社会へ出てすぐ介護の現場に入り、8年間ケアワーカーとして働きました。その後、9年前にここの居宅介護支援センターにケアマネージャーとして入職しました。

病院の看護と介護の世界は何が違うのでしょうか

【明石】病院では病気をみている。しかし、介護は人をみる。そこが違うのかと思いました。日々の生活のサポートをしていく中で、介護を受ける人と向き合っていくという姿勢ですね。

【内山】人はそれぞれいろいろな背景を持っています。受けた相談を自分のことのように考え、そのことを他のスタッフと共有するようにしています。

内山さんにはファイナンシャルプランナーという肩書きがありますね。

【内山】金銭問題は、高齢者に必ず潜んでいるなと感じたのです。さらに、社会福祉士として成年後見制度について学ぶ機会がありましたので、財産管理についての知識は得ておきたいと考えました。

医療機関と連携を取る場合がありますか。

【明石】認知症の一人暮らしの方の場合は、自宅での様子がうまく伝えられなかったり、反対に医師側からの生活上の留意点を忘れてしまったりすることがありますから、時々診察に同行します。

【内山】最近、病院側から退院後のことについて相談されるケースも増えてきています。医療機関からの依頼に誠実に応えることで、連携強化に繋いでいこうと思っています。

地域での活動はどのようなものですか。

【明石】町内会・自治会、老人会などの地域の団体へ伺い、認知症などの勉強会を行っています。また、閉じこもりがちな方でも参加しやすい趣味活動を主としたサロン作りなど、地域内でのネットワークの大切さを伝えるための活動を行います。地域の方とコミュニケーションを図る貴重な機会ですので、勉強会参加のご希望がお一人の場合でも対応するようにしています。

【内山】地域からの依頼については、住民の方々が期待していることですから真摯に応えようと思います。私たちは、地域の皆様といろいろな交流ができることを望んでいます。

認知症関係のご相談は増えているのでしょうか。

【内山】明らかに増えていると実感します。ただ、それが本当に認知症だからなのか識別が難しいですね。

【明石】最も重要な初期段階の見落としが多いと思います。家族から認知症のご相談があった時点では、ほとんどの場合、中期以上になっています。また、いろいろなサービスを利用していた高齢者の方が認知症になっていくケースもあります。

ご家族にはどのように伝えますか。

【内山】両親は認知症ではないという気持ちを持っているご家族もいらっしゃるので、場合によっては信頼関係が崩れたりします。身内にしてみると、少しは症状があると思うが重症ではないと考えたいのではないのでしょうか。

【明石】時には認知症と表記していない冊子を渡したりしました。そうっと置いておくと皆さん読んでいるのです。家族の方から、「うちの母は認知症なのかもしれませんね」ということを告げられたこともあります。

認知症と気付いていただく上で効果的だったケースはありますか。

【明石】ご主人が奥様の認知症になかなか気づかなかったケースがありました。この時は他の職員から似たようなケースでうまく対応しているご夫婦を紹介してもらいました。私も同席して、双方のご主人同士で会っていただいたのです。後で話を聞きましたら、「うちの妻はもしかしたら認知症かも」と感じ始められていたようでした。

ご家族に対してはどのようなアドバイスをしていますか。

【明石】私たちが心配なのは、ご家族が疲れていないかどうかですね。実際はかなり疲労困憊しているのに、介護している側は気づいていない。それを私たちがフォローしていくことがたいへん重要だと思います。皆さん介護を優先させるあまりに自分の趣味を後回しにしてしまうでしょう。 介護していても今までの生活は続けるということが大切です。

これからの活動について抱負をお聞かせください。

【明石】誰もが住み慣れた土地にいつまでも安心して生活ができる。当たり前の言葉ですが、それを実現するにはいろいろな課題があります。
今、包括支援センターでは、職員が携帯電話を持ち24時間体制で地域のさまざまな相談に対応しようとしています。特に高齢者には、ちょっとでも困ったことがあったら私たちに連絡してくださいね、と声をかけています。

現在、住民の方が発起人となったボランティアグループ「わんわんパトロールあい」の活動協力をしています。犬の散歩や買い物帰りのついでに、子どもや認知症の徘徊高齢者などを見守る活動です。夜間に住民の方から保護したので相談に乗ってほしいという連絡を受けたことがありました。他の地域をみても24時間体制はなかなかありません。高齢者の場合、生命にかかわる緊急時を想定しなければならないので、可能な限り対応していきたいですね。

インタビューを通して実感したのは、活動内容を定めない地域包括支援センターの姿勢です。「地域包括支援センターと地元の人たちとの関係をもっと密接なものにしたい」というお二人の積極的な気持ちが強く伝わってきました。

医療法人花咲会 レストア川崎地域包括支援センター

〒216-0011 神奈川県川崎市宮前区犬蔵2-25-9
TEL.044-976-9590
FAX.044-976-9591

運営主体:医療法人花咲会
スタッフ:看護師・ケアマネージャー・介護福祉士・社会福祉士