社会福祉士の声
※インタビュー内容はすべて取材当時のものです。年齢や所属機関等、変更となっている場合がございます。
より便利に、より心強くなった地域のネットワークが、あなたを支えています!
まずは、『地域包括支援センター』について教えてください。
【大友】ここは、高齢者に関する地域の総合相談窓口です。地域の困りごとは、ここで対応しています。さらに、横浜市の場合、『地域包括支援センター』の機能を持たせている『地域ケアプラザ』では、子育てや障害の相談なども受け付けています。今は、ひとつの家庭に相談ごとが複合していることが多いですよね。それぞれをバラバラにではなく一括相談でき、情報もバラバラにならない。ワンストップで支えていくことを目指した公共の機関です。相談は無料なんですよ。
『地域包括支援センター』は、どこにあるのでしょうか。
【大友】横浜市の場合は、地域ケアプラザ(119カ所)と一部の特別養護老人ホーム(7カ所)に『地域包括支援センター』の機能を持たせています。全国には約4,000カ所の『地域包括支援センター』がありますが、地域によって市役所の中もあれば、病院の中など、その所在は異なります。
以前と比べ、認知症の相談は増えていますか。
【大友】「認知症のことで相談したい」というよりは、「介護保険を使いたい」といった相談が多いですが、よくよく聞くと認知症の話が出てくることが大変多くなりました。高齢者の相談の中でも、件数は増えてきていますね。
認知症を疑ったとき、どうしたらよいでしょうか。
【大友】まずはお電話ください。病院や介護サービスなどの情報提供はもちろん、緊急性が高く、付き添う方が誰もいないひとり暮らしの高齢者の方などは、状況次第で受診に付き添う場合もあります。かかりつけ医がいない場合や、いきなり受診というのは難しい場合もあるので、ご家庭の様子を伺いながら「今度、一緒に病院に行ってみましょう」「体調も診てもらってはどうでしょう」などとお話ししながら、受診を勧めることもあります。
家族と離れて暮らしている場合も、相談できますか。
【大友】もちろんできます。最近では親御さんが地方に一人で暮らしているケースが増えています。そのような場合、「私たちの方から相談していいですか」と了解を得たうえで、親御さんの地域と連絡を取り、家に近い病院や介護施設を紹介することもしています。離れていても、その人を取り巻く人たちと連携して見守っていくことが大切なんですね。
地域のネットワークについてお聞かせください。
【大友】私が担当する地区では、認知症の方の支援方法を検討する会(ミーティング)があり、参加しています。地元の医師や弁護士、ヘルパーなど30人ほどが集まり、認知症の症例を持ち寄って情報交換するのです。この会でお互いに話すようになり、自分の情報も先生の診断につながっていることを感じています。認知症は、診断が難しい病気と言われています。きちんと食事ができているかなど、生活状況や家族も含め、私たちはその人の状況を医師に伝えています。
印象に残っているケースはありますか。
【大友】以前、ご家族の様子がおかしいと相談に来た方がいました。先述のミーティングで症状を話したところ、「それはレビー小体型認知症ではないのでは」という意見がありました。結果、認知症の中でも異なる種類の認知症だということが分かりました。今までも一般的に知られているアルツハイマー型の認知症の講習会は行ってきましたが、地域の方向けにより具体的な認知症の講習会をしました。そうした中で地域の方の理解も進み、その方も周りの人に支えられて過ごしています。
相談から発展して、地域が認知症に関心をもつようにもなるのですね。
【大友】いろんな人が集まって本人を支えるネットワークができつつあり、全国でも、こういったものがもっとできるといいと思います。私たちも、わからないことはまず保健師に聞き、そして知っているお医者さんに相談してみようということができます。つながっていくことで、その地域はもっともっと強くなっていくのです。
他にも相談するメリットはありますか?
【大友】相談することで、本人の気持ちの整理もつくということがあります。また、家族だけでは前に進まないことも、私たちが悩みや状況に応じて専門家と連携し、解決策を考えます。ときには、良かれと思ってやっていることが、じつは判断が違うということも。私たちは地元の人も施設もよく知っていますから、そのネットワークを上手に活用してほしいですね。
最後に、相談にくる人へひとことお願いします。
【大友】最初の相談に必要なのは、勇気だと思います。私も知らないところに相談するときには勇気がいります。だから初めての人は相当勇気がいると思います。年齢的にも人の世話になりたくないというのもあるでしょう。でも相談する方がいい。一度で解決しなくても、次の手段が絶対あります。あきらめないで相談してもらえれば、私たちもあきらめません!まずは気軽に相談してください。それができれば大きな一歩なので!
困ったときには、とにかく一度相談してみることが大切という大友さん。
情報提供だけでは終わらないきめ細かいサポートが、今日も地域の人々を見守っているのだということを実感しました。
社会福祉法人 恩賜財団 済生会支部神奈川県済生会
横浜市六浦地域ケアプラザ 地域包括支援センター
〒236-0031 神奈川県横浜市金沢区六浦5-20-2
TEL.045-786-8801
FAX.045-786-8802