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どうしても眠れない夜の対処法と翌朝に実践したいこと【睡眠のプロ監修】
更新日:2025-03-12

どうしても眠れない夜の対処法と翌朝に実践したいこと【睡眠のプロ監修】

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どうしても眠れない夜の対処法と翌朝に実践したいこと【睡眠のプロ監修】

「明日のために寝たいのに布団に入っても眠れない…」という経験はありませんか?就寝時間に眠れない悩みにはさまざまな原因があります。

この記事では夜に眠れないときの対処法や、眠れなくなる原因についてお話ししていきます。また、眠れないまま朝になった場合に心掛けたいポイントについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

眠れないときの対処法

眠れないときに大切なのは、睡眠に固執しないこととリラックスすることです1

無理に眠ろうとしない

どうしても眠れないときは、睡眠時間に関する固定概念を取り払いましょう。「8時間眠らなければ」などといった思い込みは、かえって睡眠のさまたげになる可能性があります。

眠れないことを過度に気にすると、さらに覚醒状態が強まって余計眠れなくなり、悪循環におちいる恐れがあるため、眠れなくても平常心を保つことが重要です2

全身をリラックスさせる

全身をリラックスさせることで良質な睡眠を促進します。仰向けになり、両手を握りしめ、全身に力を入れた後、ゆっくりと力を抜くことを繰り返しましょう。徐々に眠りにつきやすくなるだけでなく、睡眠の質が向上し、夜中に目覚める頻度が減少することも期待できます2

カフェインやアルコールが含まれていない温かい飲み物を飲むこともおすすめです。

アロマを使ってみる

ストレスや悩みで眠れない場合、アロマを試してみるのもいいでしょう。アロマは、睡眠問題の改善に効果があることが期待されています3

アロマには大きく「リフレッシュ系」と「リラックス系」の2種類があり、就寝前にはリラックス系がおすすめです。リラックス系の代表的なものにはラベンダーやカモミール、スイートオレンジ、ヒノキ、サンダルウッド、ゼラニウムの香りがありますので、好みの香りを選んで試してみると良いでしょう。

眠れないまま朝になったときの対処法

朝まで眠れなかった場合には、短時間の昼寝を取り入れるなどして、無理をしない範囲で活動を心がけることと、朝から規則正しい生活を送って体内時計を整えることが大切です。

まず、朝になったら日光を浴びることが重要です。朝日を浴びることで体内時計がリセットされ、脳の覚醒度が上昇します日中に日光を浴びることは、夜間にメラトニンという睡眠や体温などの概日リズムの調整に関わるホルモンの分泌を促進することにもつながり、睡眠の質が向上しやすくなります1

また、日光を浴びることに加えて、朝食をしっかり摂るようにしましょう。朝食も体内時計の調整に重要な役割を果たしており、朝食抜きの生活が続くと寝つきが悪くなって、睡眠不足が生じやすくなります1

昼頃に疲れを感じた場合は、作業効率を上げるために短時間の昼寝を取り入れましょう。昼寝には集中力アップや疲労回復効果が期待できます。昼寝をする場合は、15分程度にとどめることがポイントです4。30分以上の昼寝は深い睡眠に入ってしまい、目覚めた後にかえってだるさや眠気を感じる可能性があります5

ウォーキングやストレッチなどの軽い有酸素運動を取り入れるのもおすすめです。日中に体を動かすことは、入眠の促進にもつながるとされています1規則正しい生活リズムや適度な昼寝を心がけることで、不眠による活動への影響を抑えられます。

眠れない原因とは?

夜に眠れなくなってしまう原因はさまざまですが、大きく以下のようにわけられます6。眠れない状況がつづく場合には病院の受診を検討しましょう。

 ストレス
体内時計の乱れ
身体的な病気
精神的な病気
そのほかの睡眠障害
薬剤の副作用
過度の喫煙やカフェインの摂取

ストレス

日常生活でストレスや緊張がたまると、脳が興奮状態になり、眠りにつきにくくなります。

特に真面目で神経質な性格の人は、ストレスをより感じやすく、不眠のリスクが高まりやすいといわれています6

体内時計の乱れ

夜ふかしや不規則な生活習慣により昼と夜の区別がつかなくなると、体内時計が乱れ、不眠症状におちいりやすくなります6。夜勤勤務や海外渡航による時差ボケも体内時計を狂わせやすい要因です。

身体的な病気

高血圧や心疾患による息苦しさ、呼吸器疾患による咳、腎臓病による頻尿、関節リウマチによる痛みなど、病気特有の症状が睡眠をさまたげることがあります7。これらの症状により、快適な睡眠環境を維持することが難しくなります。

精神的な病気

うつ病をはじめとする精神疾患は、不眠症状につながる例が多いです。不眠や過眠症状のほか、気分の落ち込みが頻繁にあったり、あらゆることに意欲や興味がなくなったりする場合は、精神疾患を疑う必要があります。うつ病だけでなく、双極性障害や不安障害、適応障害などとの関連も報告されています2

そのほかの睡眠障害

睡眠に直接関わる病気として挙げられるのは、睡眠時無呼吸症候群やレストレスレッグス症候群などです。睡眠中に呼吸の異常が起きたり、手足の異常な運動が起きたりして頻繁に目が覚めてしまいます。結果として睡眠の質が低下し、不眠症状や日中の疲労感につながります7

薬剤の副作用

高血圧症の降圧剤や、がん治療の抗がん剤などは、副作用として不眠症状を引き起こす場合があります。また、アレルギー症状に用いられる抗ヒスタミン剤なども、日中の眠気が強まって昼寝をしてしまうことで、夜間の不眠につながる場合があります6

過度の喫煙やカフェインの摂取

タバコに含まれるニコチンや、コーヒーや紅茶に含まれるカフェインには覚醒作用があり、睡眠に悪影響を及ぼす可能性があります6。さらにカフェインには利尿作用もあるため、夜間に目覚めやすくなります。

夜眠るために日頃からできること

夜にぐっすり眠るためには、日頃の生活習慣を見直すことが大切です1。毎日決まった時間に就寝・起床することを心がけ、朝食を摂ることで体内時計を整えましょう。さらに、適度な運動を習慣化することも大切です。また、ストレスは睡眠の質の低下にもつながりやすいため、ヨガや音楽鑑賞など、自分に合ったリラックス方法を見つけましょう。寝る前のお酒やカフェインの摂取は浅い眠りにつながってしまうため、できるだけ避けてください。

まとめ

夜どうしても眠れないときは、眠れない状況を気にしないこと、全身でリラックスをすることが大切です。眠れないまま朝になってもあわてず、無理のない範囲でいつも通り生活しましょう。生活習慣の見直しを心がけても眠れない日が続く場合は、医療機関に受診することも検討してみてくださいね。

(参考文献)
1, 厚生労働省:健康づくりのための睡眠ガイド2023. [https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf](最終閲覧日:2025年2月20日)
2, 日本神経治療学会:治療指針作成委員会: 標準的神経治療:不眠・過眠と概日リズム障害.[https://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/fuminkamin.pdf](最終閲覧日:2025年2月17日)
3, Cheong MJ,et al: A systematic literature review and meta-analysis of the clinical effects of aroma inhalation therapy on sleep problems. Medicine (Baltimore). 2021 Mar 5;100(9):e24652.
4, Sanae Oriyama, et al: Effects of two 15-min naps on the subjective sleepiness, fatigue and heart rate variability of night shift nurses. Ind Health. 2014;52(1):25-35.
5, Michele Lastella, et al: To Nap or Not to Nap? A Systematic Review Evaluating Napping Behavior in Athletes and the Impact on Various Measures of Athletic Performance. 2021;13:841-862.
6, 三島和夫: 不眠症. e-ヘルスネット.[https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-001.html](最終閲覧日:2025年2月17日)
7, Daniel J Taylor et al: Comorbidity of chronic insomnia with medical problems. Sleep.2007;30(2): 213-218.
8, 日本呼吸器学会:睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン作成委員会: 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020. [https://www.jrs.or.jp/publication/file/guidelines_sas2020.pdf](最終閲覧日:2025年2月17日)

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