theotol-logo
高齢のご家族をサポートするために、そして認知機能の維持のためにスマートフォンを活用しましょう
更新日:2025-05-22

高齢のご家族をサポートするために、そして認知機能の維持のためにスマートフォンを活用しましょう

高齢のご家族をサポートするために、そして認知機能の維持のためにスマートフォンを活用しましょう

総務省の報告によると、2023年には60〜69歳の78.3%、70〜79歳の49.4%がスマートフォンでインターネットを利用しています1

「高齢な親がスマートフォンでたくさん買い物をしていないだろうか・・・」
「MCI(軽度認知障害)と診断された親のひとり歩きが心配・・・」
このような悩みがある方もいるでしょうが、スマートフォンの適切な設定によって、ご家族が事前に対策できることがあります。

また、2024年に閣議決定された認知症施策推進基本計画では、「認知症のご本人を含む高齢者が必要とする情報を受け取ることができるよう、高齢者に対しスマートフォンの活用を推進する」2という記載がありますが、近年はスマートフォンで行える脳トレーニング(脳トレ)などのアプリケーションも増えており、認知機能の維持にもスマートフォンの活用が期待されています。

この記事では

  • ・高齢なご家族がいらっしゃる方が知っておきたいスマートフォン設定
    ・もの忘れの対策や認知機能の維持のためにスマートフォンでできること

についてご紹介します。

高齢なご家族の安全な暮らしを支えるために知っておきたいスマートフォンの設定

不適切な利用を防ぐフィルタリング設定、詐欺から守る着信拒否設定、そして位置情報の共有による見守りは、高齢者やそのご家族の生活の心強い味方となるでしょう。ここでは、ご家族が知っておきたいスマートフォンの設定についてお伝えします。

フィルタリング(利用制限)を設定する

スマートフォンを使う際、必要のない機能や有害な情報に触れないためにフィルタリング(利用制限)を設定することも検討しましょう。意図しない発信や高額な買い物を防ぐためにご家族や決まった相手に発信を限定する機能があります。

携帯各社が提供しているフィルタリングサービスを利用することで、詐欺サイト、SNS上の過激な投稿などを自動的にブロックできます。近年増えているフィッシング詐欺(SMSやメールで偽のリンクを送りつけ、個人情報を盗む手口)から守るためには、知らないメールは開かない・URLをタップしないという対策が欠かせません。

未登録の電話番号からの着信は拒否をしておく

詐欺や悪質な勧誘電話から守るため、スマートフォンの着信拒否設定も活用しましょう。多くのスマートフォンには、電話帳に登録していない番号や非通知の番号からの着信を自動的にブロックする機能があります。

認知症のご本人は判断力が低下していることもあるため、見知らぬ電話に出てしまうと思わぬ詐欺の被害にあう恐れがあります。そこで、信頼できる相手以外からの電話はつながらないようにする設定にしておくとよいでしょう。電話だけでなく、繰り返し送られる不審なショートメッセージについても受信拒否リストに入れておくことで防ぐことができます。

位置情報を共有して見守り体制を整える

スマートフォンの位置情報を家族と共有できる設定にし、万一に備えてGPS機能を活用しましょう。スマートフォンとGPSを組み合わせた見守りにより、ひとり歩きで道に迷ってしまった場合でも早期発見・保護につながることがあります。

GPS発信機の貸与や見守りサービスを提供している自治体もあります。位置情報の共有はプライバシーとの兼ね合いもありますが、ご本人とご家族の安心のために必要最低限の範囲で導入を検討すると良いでしょう。

もの忘れの対策や認知機能の維持のためのスマートフォンの活用

スマートフォンなどのテクノロジーの利用頻度が高いほど認知機能低下のリスクが低いと言及している報告3があります。スマートフォンで日々の出来事を記録したり、予定管理を行うことでもの忘れの対策にもなり、脳トレアプリを利用することで認知機能の維持にもつながる可能性があります4

写真や日記アプリなどを活用する

カメラや日記アプリを使って、日々の出来事を記録する習慣をつけてみましょう。例えば、その日にあった出来事を写真に撮り、簡単なコメントや日記を書いて残します。こうした記録をつける行為自体が脳への良い刺激になり、後で写真を見返すことで、その時の情景や会話を思い出し、家族や友人との会話のきっかけにもなるでしょう。

スケジュールやリマインドアプリで予定や服薬の管理を行う

年齢を重ねると、記憶力や理解力などに少しずつ不安を感じることがあるかもしれません。そこで、カレンダーアプリやリマインダー(通知)機能を活用して、毎日の服薬の時間をアラームでセットしておけば、決まった時刻に音や画面表示で知らせてくれるので、飲み忘れを防ぐことに繋がります。

同様に通院日や友人との約束、趣味のサークルの日程などもカレンダーに登録して通知させることで予定を再確認できます。

ヘルスケアアプリを導入して運動を習慣づける

スマートフォンには歩数計や活動量計のアプリがあります。日々の歩行数や運動時間を簡単に記録できます。「毎日8,000歩は歩く」「週3回は体操をする」など目標を設定し、アプリで進捗をチェックしてみましょう。

ゲーム感覚で歩数チャレンジに取り組めるアプリもあり、スマホの健康アプリを活用して生活習慣を改善したところ、中高年の認知機能の維持・向上に良い影響が認められたとの報告があります5

脳トレアプリを導入する

脳トレアプリと呼ばれる、脳を鍛えるゲームやクイズアプリが多くあり、計算問題、パズル、記憶ゲーム、漢字クイズなど、その内容はさまざまです。例えば、記憶力を試すゲームに毎日挑戦すると、スコアを伸ばそうと意欲が湧き、それが記憶力維持のトレーニングになると考えられます。

料理のレシピを覚えたり、新しい趣味に挑戦したりすることも立派な脳トレになりますが、スマホアプリは手軽に続けられる点で有用です。暇なときに新聞を読む代わりに脳トレゲームをする、といった形で無理なく継続してみてください。

まとめ

スマートフォンは高齢のご家族のサポートや認知機能の維持に役立つツールです。見守りや健康管理、日々の予定や服薬の管理など、さまざまな機能を活用することで安心できる毎日に寄与するでしょう。また、脳トレやヘルスケアアプリに継続的に取り組むことで、認知機能の維持にもつながる可能性があります。

本記事で紹介した内容をご家族のサポートやご自身の将来のためにぜひ活用してみてください。

(参考文献)

1, 総務省:令和5年通信利用動向調査 ポイント. 2024.
[https://www.soumu.go.jp/main_content/000950621.pdf](最終閲覧日:2025年5月19日)

2, 厚生労働省:認知症施策推進基本計画. 2024.
[https://www.mhlw.go.jp/content/001344090.pdf](最終閲覧日:2025年5月19日)

3, Benge JF, et al:A meta-analysis of technology use and cognitive aging. Nat Hum Behav. 2025. Online ahead of print.

4, 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター:脳トレーニングゲーム. あたまとからだを元気にする MCIハンドブック 第2版. p56-7.(最終閲覧日:2025年5月19日) 
[https://www.ncgg.go.jp/ncgg-overview/pamphlet/documents/mcihandbook-v2.pdf]

5, Kokubun K, et al:Smartphone app for lifestyle improvement improves brain health and boosts the vitality and cognitive function of healthy middle-aged adults. Brain Behav. 2024;14(5):e3500.

この記事を読んだ人におすすめの記事

【第1話】雨戸を閉めたい認知症の義父とやめてほしい家族。義父が納得してくれた方法とは?

【第1話】雨戸を閉めたい認知症の義父とやめてほしい家族。義父が納得してくれた方法とは?

2025-05-16
    「そろそろタバコをやめたい・・・」禁煙の方法の選択肢やコツについて解説します

    「そろそろタバコをやめたい・・・」禁煙の方法の選択肢やコツについて解説します

    2025-05-22
      なぜ認知症になるの?認知症の原因を種類ごとに解説

      なぜ認知症になるの?認知症の原因を種類ごとに解説

      2024-06-28