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2024年施行の認知症基本法とは?わかりやすく解説!抑えるべき要点をまとめて紹介
更新日:2024/10/11

2024年施行の認知症基本法とは?わかりやすく解説!抑えるべき要点をまとめて紹介

2024年施行の認知症基本法とは?わかりやすく解説!抑えるべき要点をまとめて紹介

2024年1月1日、認知症の当事者が個性と能力を十分に発揮して共生できる社会の実現を推進する法律、認知症基本法が施行されました。その内容をわかりやすく解説します。

認知症基本法の目的とは?

正式名称は「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」といいます。2023年6月14日に成立し、2024年1月1日に施行されました。
認知症の当事者を含めた国民一人一人が個性と能力を十分に発揮し、人格と個性を尊重して支え合いながら共生する、活力ある社会(共生社会)の実現を推進することが目的です。
政府はこの認知症基本法に基づいて、認知症施策推進基本計画の策定を進めています。

認知症の日および認知症月間について

毎年9月21日の「世界アルツハイマーデー」にあわせ、日本では認知症基本法において、この日を「認知症の日」と定めています。
2024年9月には認知症基本法が施行されて初めての「認知症の日」を迎え、各地で認知症に対する関心と理解を深める取り組みが行われました。

 

認知症基本法の7つの基本理念をわかりやすく説明すると?

認知症の当事者が尊厳を持って、周囲の方々と支え合いながら希望をもって暮らせるよう、認知症施策の基本理念として以下の7つが定められています1

権利と意思の尊重

認知症の当事者が、他の人と同じように基本的人権を持つ個人として、自分の意思で日常生活を送ることができること。

正しい理解の促進

国民が、認知症についての正しい知識と、認知症の当事者に関する正しい理解を深めることができること

障壁の除去

認知症の当事者にとっての障壁を取り除くことによって、全ての認知症の当事者が安心して自立した生活を送ることができるとともに、意見を表明する機会や社会活動への参加の機会を確保して個性と能力を十分に発揮することができること。

適切なサービスの提供

認知症の当事者の意向を尊重しながら、質の高い医療や福祉サービスが途切れなく提供されること。

家族への支援

認知症の当事者だけでなく、その家族も支援し、当事者と家族が地域で安心して生活できること。

研究の推進と普及

認知症などに関する研究を推進するとともに、認知症の予防や診断・治療、リハビリテーション、社会参加など、研究の成果を広く国民が享受できる環境を整備すること。

総合的な取り組み

教育や地域づくり、雇用、医療、福祉などの関連分野で総合的な取り組みとして行われること。

認知症基本法の8つの基本的施策をわかりやすく説明すると?

認知症基本法には、下記の8つの基本的施策1が制定されています。

認知症の当事者に関する国民の理解の増進等

認知症基本法の目的である、共生社会の実現の促進のために、認知症に関する正しい知識や認知症の当事者に関する正しい理解を深められるようにする施策です。

認知症の当事者の生活におけるバリアフリー化の推進

認知症の当事者が自立し、安心して生活できる地域づくりや、自立した日常生活・社会的生活を営むことを推進するための施策です。

認知症の当事者の社会参加の機会の確保等

認知症になった当事者が生きがいを持って暮らすことができるよう、社会参加の機会を確保したり、就労を支援する施策です。

認知症の当事者の意思決定の支援および権利利益の保護

認知症の当事者の意思決定の適切な支援に関する指針の策定やわかりやすい情報提供の促進など、意思決定の適切な支援や権利利益の保護のために必要な施策です。

保健医療サービスおよび福祉サービスの提供体制の整備等

認知症の当事者が地域に関係なく医療を受けることができるとともに、適切な医療・福祉サービスを継続的に受けることができるための施策です。

相談体制の整備等

認知症の当事者や家族からの相談に対し、個々の状況に配慮しつつ応じることができ、孤立を防ぐための体制を整備する施策。

研究等の推進等

認知症の解明、予防、治療、リハビリテーションなどの研究やその成果の普及、また共生社会の整備などに関する研究やその成果の活用のための施策です。

認知症の予防等

希望者がエビデンスに基づく予防に取り組むことができ、早期の診断や対応の促進を行うための施策です。

 

認知症基本法における国や地方公共団体などの責務

認知症基本法によって、国・地方公共団体・国民それぞれに責務が定められています。

国の責務

国の責務として、基本理念に則り、総合的かつ計画的に施策を策定して実施する責務が規定されています。

地方公共団体の責務

地方自治体は、国と役割を分担し、地域に応じた施策を総合的かつ計画的に策定して実施する責務を負うとされています。

国民の責務

国民についても、認知症に関する正しい知識および認知症の当事者に関する正しい理解を深めるとともに、認知症基本法の目的である共生社会の実現に寄与するよう努める責務が規定されています。

認知症基本法の施行によって何が変わるのか?

認知症基本法の施行によって、認知症に対する意識や取り組みが変わり、さらなる認知症の当事者やご家族への支援の強化が期待されています。

また、認知症基本法では「当事者の参画」が謳われており、当事者が主体となって認知症施策を推進すること、例えば研究開発における当事者の参画なども期待されています2

(参考文献)

1, 厚生労働省ホームページ. 
https://www.mhlw.go.jp/content/001212852.pdf (最終閲覧日2024年10月7日)

2, 日本医療政策機構ホームページ.
https://hgpi.org/lecture/column-36.html(最終閲覧日2024年10月7日)