体重管理にさまざまな影響が懸念されており、認知機能障害および認知症の認知機能障害にも関係していると示唆されています1。
この記事では、WHOガイドライン『認知機能低下および認知症のリスク低減』をもとに、肥満が認知症とどのように関係しているのかや、適切な体重管理のポイントについて解説します。
「中年期」の過体重や肥満は、認知機能低下や認知症のリスクを低減するために「行ってもよい」としています。なお、日本人は欧米人に比べ肥満者が少なく、老年期の痩せは認知症の危険因子であることから2、適正な体重を目指すことが大切です。
中年期の肥満を改善しましょう
過体重(体格指数[BMI]が25以上30未満)や肥満(BMI 30以上)は世界中で急増しています3。中年期の過体重と肥満は高齢期の認知症の発症リスクを高めるとされています4,5。
減量の基本は食事改善と運動
食事の摂取エネルギーが運動による消費エネルギーを上回り、過剰分が蓄積されると体重が増えます。減量の基本はバランスのよい食事と適度な運動です。「簡単に減量ができる」といったダイエット食品やサプリメントなども出回っていますが、不確実な情報に左右されず、生活習慣を見直すことで減量しましょう。
食事については、炭水化物の摂り過ぎを控えましょう。グリセミック指数(血糖値上昇の度合い)の低い食品(豆、レンズ豆、オートミールなど)を摂ることもよいでしょう。
運動については、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を行いましょう。オフィスワークなどで座っている時間が長い人は、意識的に歩くようにするなど、座ったままの時間を減らすよう心がけてください。
急激な減量や低体重は危険です。特に持病のある場合は医師に相談し、適切なペースで減量に取り組みましょう。
老年期はやせに気をつけましょう
中年期の過体重や肥満は認知症のリスクファクターとなりますが、一方、65歳以上の老年期にはやせがリスクファクターとなり、肥満・過体重は認知症の発症に抑制的に働きます。これをobesity paradoxといいます。
老年期にはやせすぎないようにフレイルやサルコペニアに注意しつつ、体重を維持しながら筋力をつける生活を心掛けましょう。筋トレを行う場合、大きな筋肉が多くある両足を使ったメニューが効率よく筋量を増やせます。体重が低下傾向にあるときには認知機能をこまめに確認するようにしましょう。
一方、BMI 30以上になると脳血管障害のリスクが上昇するため、その配慮も必要です。
まとめ:適切な体重管理で認知機能を維持しよう
中年期の過体重・肥満と老年期のやせは、認知症のリスクファクターであるとされています。ご自身の適正体重を把握し、健康的な食生活や運動習慣を心がけていきましょう。また、特定健診を毎年受診し、生活習慣病の早期発見に努めることも大切です。





