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MCI(軽度認知障害)と診断されたらどうなる?治療方法や相談先を解説
更新日:2024-11-21

MCI(軽度認知障害)と診断されたらどうなる?治療方法や相談先を解説

MCI(軽度認知障害)と診断されたらどうなる?治療方法や相談先を解説

「もしかしたら自分や家族がMCIかもしれない」と感じて、不安な気持ちになっていませんか。MCI(軽度認知障害)は認知症の前段階です。MCIと診断された場合も、早期に適切な対応をすることで進行を遅らせたり、生活の質を向上させたりすることができます。

この記事では、MCIの治療や日常生活でどのような困りごとが起こりうるのか、そしてその対処法を解説します。また、もの忘れやMCIに関する困りごとの相談先についても説明します。

MCI(軽度認知障害)とは

MCI(軽度認知障害)とは「注意力や記憶力などの認知機能は低下しているものの、日常生活には支障をきたしていない状態のこと」です。健常な状態と認知症の中間の段階であり、日本では約400万人の高齢者がMCIであるといわれています1

MCIは適切に対処することで病状の進行を抑えられる可能性があります。そのため、早期発見と早期対策を行うことが大切です。

MCIと認知症の違いについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

MCIと診断された場合の治療

MCIと診断された場合の主な治療法には、生活習慣の改善と薬物療法の2つがあります。早期に適切な治療を行うことで、認知機能の低下を抑えることが期待できます。

生活習慣の改善

MCIの進行を防ぐために生活習慣の改善が欠かせません。

具体的には、以下のように運動を取り入れたり、食事を見直したりして健康的な生活習慣を目指しましょう2

週3回以上の水泳やジョギングなど中強度以上の運動(※)

主食・主菜・副菜と品目のバランスがとれた食事

1日5~7時間の十分な睡眠

中強度以上の運動:息が少しはずむものの、一緒に運動している人と会話ができる程度の運動のこと

食事では旬の食材を取り入れたり、色とりどりの料理を楽しんだりすることも大切です。ご家族やご友人と会話をしながら食事をすることで、心身ともに良い影響を与えます。

加えて、社会的な活動認知トレーニングも効果的です。定期的にご友人と会うことや、クロスワードパズルや脳トレーニングゲームに挑戦することは、脳の活性化やストレス軽減につながります。また、喫煙過度の飲酒は、認知症の発症リスクを高めるため、これらの習慣を控えることも重要です3,4

薬物療法

症状の特徴によって様々な種類の薬剤が使用されます。薬はできるだけ種類・量が少ないほうが望ましく、認知機能に影響がある薬剤もまれにあります。ですから、担当医や保険薬局の薬剤師から、処方薬の内容や副作用について、十分な説明を受けるようにしてください。

早期の発見で予後が変わる可能性も

MCIは、認知症へ進行するリスクがある状態です。ただし、早期に発見して対策を行うことで、認知機能の維持や改善、そして認知症を発症するまでの期間が伸びる可能性があります。

実際に、MCIの方が1年以内に認知症に移行する割合は5~15%であり、必ずしも全員が認知症になるわけではありません。さらに、1年で16~41%の方が健常なレベルに戻っているという研究結果も報告されています2,5

ご家族や周囲の関わりはMCIの早期発見において重要です。「もの忘れが多くなった」「最近、よく同じ質問をするようになった」など、ご家族が日常の小さな変化に気づくことが早期発見のカギとなります。

気になる変化がある場合には、まずはチェックリストを活用してみましょう。

日常生活での困りごとへの対策方法

MCIは、認知症ほど日常生活に大きく支障をきたすわけではありません。

ただし「物をよくなくすようになった」「約束事を覚えられなくなった」など、今までできていたことがスムーズにできなくなる困りごとに直面することがあります。この状況が続くと、ご本人にとって大きなストレスになる可能性があります。

こうした日常生活の困りごとへの対策として、物を同じ場所に戻す習慣をつけたり、冷蔵庫や玄関のドアなど目につきやすい場所に約束事を書いたメモを貼ったりする対策が必要です。忘れ物や約束事を忘れないような手助けとなり、ストレスを軽減できるでしょう。

生活の中での工夫や対策については、こちらの記事をご覧ください。

MCIやもの忘れに関する相談先

もしMCIの疑いがある、または不安を感じた場合は、まずはかかりつけ医に相談しましょう。

かかりつけ医は、ご本人の状況を知っており、必要に応じて精神科や心療内科などの専門医、もしくは地域の支援窓口や専門機関の紹介をしてくれるでしょう。

ご家族も一緒に医師の説明を受けることで、MCIに対する理解が深まり、より良いサポートができるようになるでしょう。

また、MCIと診断された場合も、日常生活の困りごとなどを専門家に相談できる窓口や、ご本人やご家族が集い情報交換できる場もありますので、ぜひ活用してください。

相談先の詳細については、こちらの記事をご覧ください。

MCIと診断されても早期の対応で進行を遅らせることが期待できる

MCIと診断された場合も、早期に適切な対応を行うことで認知機能の低下を抑制し、認知症への進行を遅らせることが期待できます。ご本人の生活の様子に異変を感じたら、早めにかかりつけ医に相談しましょう。

(参考文献)

1, 厚生労働科学研究費補助金疾病・障害対策研究分野認知症対策総合研究. 都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応(平成23年度~24年度総合研究報告書). 2013年

2, 国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター. あたまとからだを元気にするMCIハンドブック. (最終閲覧日:2024年10月21日)

3, 厚生労働省e-ヘルスネット:アルコールと認知症.(最終閲覧日:2024年10月25日)

4, Zhong G, et al. PLoS One. 2015;10(3):e0118333.

5, Bruscoli M, et al: Int Psychogeriatr. 2004; 16(2): 129-140.

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