「レビー小体型認知症と診断された母」認知症介護家族の悩み
同居している実母(76歳)は、神経内科の医師からレビー小体型認知症の診断を受けました。もの忘れはひどくないのですが、「窓際のカーテンのところに女の子がいる」「壁に黒い虫がたくさんいる」と夜中に私を起こします。食事の時には、「虫が入っている」と食べようとせず、いつも飲んでいる薬なのに「毒が入っている」と拒否することもあり困っています。
娘:60代
看護師:あなたには見えなくても、お母様には見えています
見えないものが見える幻視は、レビー小体型認知症の初期に起こる症状の一つです。寝ている時であれば、電気をつけて部屋を明るくし「いなくなったね」と声をかけるとか、柄のない食器に入れ替えることで見えなくなることもあります。また、薬を拒否する時があることも主治医に伝えましょう。
介護施設職員:環境を変えてみましょう
お母さんの不安が強くなければ「姿が見えていても悪さはしないから大丈夫」と繰り返し説明することで安心されると思います。壁の飾り物やカーテンの模様が人や虫に見えることがあります。思いきって部屋の模様替えをしてみるのもいいかもしれません。
医師:記録によって本人のリズム(日内変動)もわかり治療に役立つ
レビー小体型認知症は、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症に次いで発症率の高い認知症ですが、幻視等の症状のために介護が難しい場合があります。受診された時に、いつ、どのような場面で…など、状況を具体的に主治医に伝えられるよう記録して持参すると治療に役立つと思います。
介護経験者:介護者があわてないで冷静になりましょう
この認知症は色々な症状があらわれ、ご苦労されていらっしゃることでしょう。幻視の敵を追い払うために攻撃的になったり、いないはずの孫がいるなどと言うこともありました。否定してはいけないとわかっていても腹が立ち、声を荒げたことが何度もありました。症状として理解でき、冷静に対応できるようになるまでしんどい思いをしましたが、病気について勉強し、覚悟を決めて付き合うことで楽になりました。この病気は、ふるえなどの症状で転びやすいので、怪我をさせないように注意してくださいね。
ケアマネジャー:多くの情報こそ介護のコツ
世間では、もの忘れが認知症の症状だと思っておられる方はまだまだ多いと思いますが、この病気は違います。「レビー小体型認知症家族を支える会」、本(※)やホームページにも対応の方法や介護のコツについての情報があります。サービスを利用する場合には、介護スタッフにもレビー小体型認知症について理解をしてもらうことが大切です。
「レビー小体型認知症の介護がわかるガイドブック」小阪憲司・羽田野政治/著(メディカ出版)
「ぽ~れぽ~れ」通巻410号(2014年9月25日発行)