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MMSEとは?注意点や検査の流れについてもあわせて解説!
更新日:2024/06/28

MMSEとは?注意点や検査の流れについてもあわせて解説!

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MMSEとは?注意点や検査の流れについてもあわせて解説!

MMSEとは、認知機能障害をスクリーニングする検査の一つです。日本でも多くの医療現場や介護の現場で使われています。ここではMMSEや注意点、検査の流れについて解説します。

MMSEは認知機能を評価するためのスクリーニングテスト

Mini Mental State Examination(精神状態短時間検査)、略称MMSEは、認知機能を評価するためのスクリーニングテストです。
10分〜15分程度の短時間で評価できますが、テスト結果だけで認知症かどうかを判断するのではなく、病前能力や診察時の心身の状態を十分考慮して、判断します。
MMSEの原版は英語です。日本では当初、翻訳や文化的適応が適切でない、ただ日本語に変換しただけの日本語版を使っていました。しかし2006年、原版に忠実な翻訳と日本文化にマッチしたMMSE日本語版(MMSE-J)が作成されました。

MMSEの料金について

MMSEは元々保険請求ができない検査でしたが、平成30年の診療報酬の改定で評価され、保険請求できるようになっています。

MMSEのスクリーニング検査の流れ

ここでは、MMSEのスクリーニング検査の流れを説明します。

MMSEの事前準備

MMSEで使用するものは以下のとおりです。評価用紙以外、特別なものは必要ありません。

  • MMSEの評価用紙
  • 鉛筆と消しゴム
  • 時計または鍵
  • 白紙

MMSEの評価方法

MMSEは以下の11の項目で構成されています。

【MMSEの評価方法】

評価項目 設問数
時間の見当識 5
  • 今日は何日ですか
  • 今日は何曜日ですか
  • 今の季節を教えてください
場所の見当識 5
  • ここは都道府県でいうと何ですか
  • ここは何市ですか
  • ここはどこですか
  • ここは何階ですか
  • ここは何地方ですか
即時想起 3
  • これから言う言葉を繰り返し言ってください。「さくら、犬、自動車」はい、どうぞ
注意と計算力 5
  • 100から順番に7を繰り返し引いてください
  • 「フジノヤマ」を逆から読んでください
遅延再生 3
  • さっき、私が行った3つの言葉は何でしたか?
物品呼称 2
  • 時計(または鍵)を見せながら「これは何ですか?」
  • 鉛筆を見せながら「これは何ですか?」
文の復唱 1
  • 今から私がいう文を覚えてくり返しいってください。「みんなで力をあわせて綱を引きます」
口頭指示 3
  • 今から私がいうとおりにしてください。1.右手にこの紙を持ってください。2.それを半分に折りたたんでください。3.そして私にください
書字指示 1
  • 指示を書いた紙を見せて、本人はその紙に書いてある指示を音読もしくは黙読した後、その指示とおりに行動する
自発書字 1
  • 目で見て、鉛筆で紙に書く
図形模写 1
  • 交差した2つの五角形が書かれた紙を渡されるので、正確に模写する

正解1点、不正解0点で採点し、満点は30点です。1問あたりの制限時間は10秒/問で、返答がなければ不正解となります。

MMSEの採点基準

MMSEの採点基準は以下のとおりです。

【MMSEの採点基準】

MMSEの点数 診断
28~30点 異常なし
24~27点 軽度認知障害(MCI)が疑われる
23点以下 認知症が疑われる

30問中29問が言語機能を用いる検査のため、軽症例、病前能力の高い場合、視空間認知障害が主症状の場合には認知症とは診断されにくい一方、軽度でも言語機能障害のある場合には低得点となります。
こういった病前能力や診察時の心身の状態を考慮して判断するため、医療機関で検査を受けることが望ましいです。

MMSEによる重症度の判定

詳細な認知症の重症度の判定には臨床認知症尺度(Clinical Dementia Rating, CDR)を使うことが望ましいですが、簡易にMMSEでも判定できます。
MMSEによる重症度の判定は、以下のとおりです。

【MMSEによる重症度の判定】

  軽度 中等度 重度
MMSE 21点以上 11~20点 0~10点

出典:日本老年医学会|認知症の重症度の判定

MMSEと改訂長谷川式簡易知能評価スケールの違い

よく知られた認知症スクリーニング検査に、「改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)」があります。MMSEと改訂長谷川式簡易知能評価スケールとの違いは以下のとおりです。

【MMSEと改訂長谷川式簡易知能評価スケールとの比較】

  MMSE 改訂長谷川式簡易知能評価スケール
検査方法 口述、記述、動作、模写 すべて口述
項目数 11項目 9項目
問題数 30問 30問
採点基準 23点以下を認知症疑い 20点以下を認知症疑い
使用している国 世界中(原版は英語) 日本がメイン

改訂長谷川式簡易知能評価スケールはMMSEと高い相関があります。
改訂長谷川式簡易知能評価スケールはすべて言語を使う検査で、記憶に関する項目はMMSEより多く、一般に20点以下を認知症疑いと判断します。
以下のページに「改訂長谷川式簡易知能評価スケール」の詳細があります。

MMSEの注意点

MMSEを使う際には、以下の点に注意する必要があります。

  • 点数が低くても認知症とは限らない
  • うつ病の可能性もある
  • 文字が書けない場合は、「改訂長谷川式簡易知能評価スケール」の検査を検討
  • あくまでも検査のため、訓練としてMMSEの評価内容を使用しない

MMSEで点数が悪くても、認知症とは限りません。認知症以外の疾患の可能性もあるため、まずは専門医に相談しましょう。
また、本人の感情にも配慮して、家族が協力することも重要です。
文字が書けない場合は、「改訂長谷川式簡易知能評価スケール」検査を検討し、また訓練として使わないことも大切なことです。

(参考文献)
1, 杉下守弘ら: 認知神経科学. 2018; 20: 91–110.
2, 日本神経学会:認知症診断ガイドライン2017, p.25,2017
3, 日本老年医学会: 認知機能の評価法と認知症の診断 (https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/tool/tool_02.html 最終閲覧日:2024年6月12日)