喫煙がご自身や周囲の方の健康に悪影響を及ぼすことは言うまでもありません。タバコをやめたいと思っているけどなかなか踏み出せない…。そのような悩みを抱えていませんか?
禁煙にはいくつか方法がありますので、ご自身に合った方法を選択しましょう。例えば、自力で取り組む方法以外に薬を使ったり、禁煙外来を受診したりといくつかの方法があります。
ご自身で禁煙に取り組むコツ
まず、禁煙補助薬や医療機関に頼らず、ご自身で禁煙を行う際のコツをご紹介します。
禁煙する理由を明確にする
禁煙への意欲を高めるため、なぜ禁煙したいのか理由を明確にしておきましょう。禁煙がつらくなったとき、初心に帰って考え直すことができます1。
禁煙の開始日を決める
思い立ったらすぐに行動したい方もいるかもしれませんが、禁煙に対する意思を固めるために、まずは禁煙を始める日を決めましょう1。
- ・ 記念日や区切りの日など覚えやすい日
- ・ 仕事がひと段落して、精神的・時間的にもゆとりがあるとき
- ・ 年末年始などの長期休み など
休日に喫煙本数が多くなりやすい場合、仕事の日から禁煙をスタートするなど、ご自身の喫煙傾向によって決める方法もあります。
周囲に禁煙宣言をする
自分だけでは決意が揺らいでしまう方もいるかもしれません。禁煙の決意を家族や友人、職場の同僚などに禁煙の宣言をしておくのもいいでしょう。
喫煙したくなったときの対処法を決めておく
うっかり誘惑に負けてタバコを吸いたくなり、過度にイライラしたりしないよう、あらかじめ喫煙したくなったときの対処法を考えておきましょう1。ご自身がどのようなタイミングや状況でタバコを吸いたくなるのかパターンを思い返し、タバコを吸う代わりの行動を考えてみましょう。
タバコを吸いたくなる場面の例 |
喫煙の代わりの行動の例 |
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朝起きてすぐ |
顔を洗う |
食後 |
歯磨きをする |
仕事の休憩時間中 |
職場の方に禁煙の話をする |
イライラしたとき |
深呼吸やストレッチをする |
お酒を飲んでいるとき |
冷水を飲む |
(文献1、2を参考に表を作成)
禁煙補助薬について
市販の禁煙補助薬を使うと禁断症状が緩和され、より楽に禁煙できることがあります2。禁断症状は、禁煙開始後2~14日の間に現れる、タバコを吸いたい欲求やイライラ、眠気などの症状のことです3。
現在使用できる禁煙補助薬には、ニコチン製剤であるニコチンガムとニコチンパッチがあります3。自力で禁煙する場合に比べ、これらを使用することで禁煙の成功率が高まることが報告されています4, 5。
禁煙外来を受診する
一定の条件を満たした医療機関では、禁煙治療を目的とした専門外来を設けています。
以下の要件をすべて満たしている場合には、12週間に5回の禁煙治療に健康保険が適用されます6。
1. ニコチン依存症に係るスクリーニングテスト(TDS、後述)で5点以上、ニコチン依存症と診断された方
2. 35歳以上の場合、ブリンクマン指数(=1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上の方
3. 直ちに禁煙することを希望されている方
4. 「禁煙治療のための標準手順書4」に則った禁煙治療について説明を受け、当該治療を受けることを文書により同意された方
また、2020年12月からは、医療機器として国から認められた「禁煙治療用アプリ及びCOチェッカー」も保険で使えるようになりました6。
禁煙に失敗している方やニコチン依存度が高い方は禁煙外来の利用を検討しましょう。
あなたのニコチン依存度をチェックしよう
ニコチン依存症かどうかを評価するためのスケールとしてよく用いられるのが、ニコチン依存症のスクリーニングテスト(TDS)です2。
禁煙方法を選択する上で、ご自身のニコチン依存度を把握することは重要です。また、TDSは先に述べた禁煙治療の保険適用要件にも含まれています。この機会にぜひチェックしてみてください。
ニコチン依存症のスクリーニングテスト(TDS)
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設問内容 |
はい1点 |
いいえ0点 |
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問1 |
自分が吸うつもりよりも、ずっと多くタバコを吸ってしまうことがありましたか |
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問2 |
禁煙や本数を減らそうと試みて、できなかったことがありましたか |
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問3 |
禁煙したり本数を減らそうとしたときに、タバコがほしくてほしくてたまらなくなることがありましたか |
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問4 |
禁煙したり本数を減らしたときに、次のどれかがありましたか(イライラ、神経質、落ちつかない、集中しにくい、ゆううつ、頭痛、眠気、胃のむかつき、脈が遅い、手のふるえ、食欲または体重増加) |
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問5 |
問4でうかがった症状を消すために、またタバコを吸い始めることがありましたか |
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問6 |
重い病気にかかったときに、タバコはよくないとわかっているのに吸うことがありましたか |
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問7 |
タバコのために自分に健康問題が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか |
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問8 |
タバコのために自分に精神的問題(※)が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか |
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問9 |
自分はタバコに依存していると感じることがありましたか |
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問10 |
タバコが吸えないような仕事やつきあいを避けることが何度かありましたか |
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合計 |
※禁煙や本数を減らした時に出現する離脱症状(いわゆる禁断症状)ではなく、喫煙することによって神経質になったり、不安や抑うつなどの症状が出現している状態。
(文献2より引用して表を作成)
まとめ|「そろそろタバコをやめたい・・・」禁煙の方法の選択肢やコツについて解説します
禁煙は決して簡単な道のりではありませんが、将来の健康を守るためにも重要です。禁煙の方法はご自身のライフスタイルやニコチン依存度に合わせて選択肢があり、まずはなぜ禁煙したいのか?という理由を明確にしましょう。
無理のない禁煙開始日を設定したり、周囲にも禁煙宣言をすることで、モチベーションを維持しやすくなります。また、事前にタバコを吸いたくなった時の具体的な対処法を考え、ご自身のニコチン依存度を把握することも、適切な禁煙方法を選ぶ上で役に立つでしょう。
ご自身でやり方を迷った場合、禁煙外来への相談も有効な選択肢です。
今回ご紹介した方法からご自身に合うやり方を見つけて、まずは一歩踏み出してみましょう。