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高血圧を改善するために今すぐできる3つの対策を紹介します
更新日:2025-05-28

高血圧を改善するために今すぐできる3つの対策を紹介します

高血圧を改善するために今すぐできる3つの対策を紹介します

健康診断などで「血圧が高いので食事や運動などの生活習慣を改善させましょう」と言われたことはありませんか?

高血圧をそのままにしておくと、血管の動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞、認知症などに影響をもたらす可能性があります。

本記事では、高血圧を改善するために今すぐできる「食事療法」「運動療法」「治療」の3つの対策についてご紹介します。

高血圧がもたらす主な病気

高血圧によって動脈硬化が進んだ結果、さまざまな病気を引き起こします。

心筋梗塞

心臓の表面にある血管は、動脈硬化が進行すると粥腫(コレステロールの塊)が付着して狭くなることがあります。心筋梗塞はこれらの狭くなった血管で粥腫の崩壊によってできた血栓が血管を詰まらせることで、心筋の細胞が壊死してしまう病気です1。激しい胸痛などの症状がみられます。

発症の平均年齢は男性65歳、女性75歳で、発症から30日以内の死亡率は9.4%の非常に危険な病気です1

脳梗塞

脳梗塞は、脳の血管が詰まることで脳の一部が壊死してしまう病気です。脳梗塞の発症メカニズムにはさまざまなものがありますが、動脈硬化による血管の変性によって生じるものも少なくありません。麻痺や失語などの症状がみられます。

発症の平均年齢は76.1歳です2。脳梗塞の部位や大きさで、死亡率や後遺症の程度に差があります。

脳梗塞、脳出血、くも膜下出血を含めた脳卒中は、要介護となる原因疾患の2位(16.1%)に該当しますが、より重度の介護が必要とされる要介護4や要介護5では、原因疾患の1位となっています3。後遺症によって要介護状態に陥る危険性の高い病気です。

脳出血

脳出血は高血圧によって変性した脳の細い血管の破綻によって脳の内部に出血を起こす病気です。麻痺や失語などの症状がみられます。

発症の平均年齢は71.0歳です2。脳梗塞と同じように、出血の部位や大きさで、死亡率や後遺症の程度に差があります。

脳出血について詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひご覧ください。

くも膜下出血

くも膜下出血は、脳動脈瘤や脳動静脈奇形が破綻し、脳の表面やくも膜下腔(くもまくかくう)に出血をきたす病気です。高血圧は脳動脈瘤ができてしまう原因と破裂してしまう原因それぞれに関わっています。

激しい頭痛や意識障害などの症状がみられます。発症の平均年齢は65.8歳です2

大動脈解離

大動脈解離は、三層構造になっている血管の壁の2層目が高血圧などの影響で剥離して、大動脈の走行に沿って1〜2cm以上の長さをもち2腔になった(血管内部で2つに隔てられた)状態です。身体の重要な臓器への血流障害や大出血をきたす危険な病態です。

発症のピークは男性70歳代、女性80歳代で、24時間以内の死亡率は93%ときわめて危険な病気です1

認知症

認知症のうち、血管性認知症は脳梗塞が原因となります。

血管性認知症を含め、認知症は要介護となる原因疾患の1位(23.6%)となっています3

血管性認知症について詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひご覧ください。

高血圧を改善する食事のポイント

高血圧の改善には、食生活の見直しが必要です。次のポイントを意識した食事を心がけましょう。

塩分の量に気をつける

塩分の摂りすぎは血圧上昇と関連しています。

塩分摂取量の目標値は、成人男性7.5g未満、成人女性6.6g未満とされていますが、高血圧の改善のためには1日6g未満が推奨されています4

インスタント食品や加工食品には塩分が多く含まれるため、なるべく避けるようにしましょう。

カリウムを多く含む食品を選ぶ

カリウムには、体内の余分なナトリウム(塩分)を排出する働きがあり、血圧を下げる働きが期待できます4

カリウムを多く含む食品は、ほうれん草やアボカド、バナナなどの野菜や果物です。

日々の食卓にサラダなどで1品補うと良いでしょう。

アルコールの量に気をつける

飲酒の習慣は血圧上昇の原因になります。1日あたりの飲酒の量は下記を下回るようにしましょう4

<1日あたりの飲酒の上限の目安(男性)>

  • ・   日本酒 1合(180mL)
    ・   ビール中瓶 1本(500mL)
    ・   チューハイ 1缶(350mL)
    ・   ワイン グラス2杯(200mL)
    ・   ウイスキー ダブル1杯(60mL)
     ※女性はこの半分を目安にしましょう

バランスの良い食事を心がける

高血圧を改善するためには、「塩分の量に気をつける」「カリウムを多く含む食品を選ぶ」「アルコールの量に気をつける」だけでなく栄養をバランスよく摂ることが大切です。

野菜・果物・低脂肪乳製品が豊富で、飽和脂肪酸とコレステロールが少ない食事や地中海食やノルディック食などのあまり馴染みのない食事などがバランスの良い食事の例として挙げられています。

ただ、魚中心で味噌汁などの発酵食品を含んだ伝統的な日本食はこれらの食事パターンと近いといわれており、減塩と組み合わせると良いでしょう4

高血圧を改善する運動のポイント  

  • 適度な運動を毎日続けることも、高血圧の改善に効果的です。
    運動のポイントは以下の通りです4

    ・   スロージョギングやランニングのような持続的な有酸素運動
    ・   運動強度の目安は最大強度の40〜60%
    ・   1回につき少なくとも10分以上、1日合計40分以上
    ・   ストレッチなどを組み合わせるとさらに良い

まずは、無理のない範囲で運動を習慣化していきましょう。

高血圧を改善する治療

軽度の高血圧であれば、これまで説明した食事や運動などの工夫である程度の改善がみられることもありますが、年齢が65歳以上であることや脂質異常症、喫煙歴がある場合、血圧が140/90mmHgを超える場合、薬物療法が検討されます4

薬物療法は食事療法と運動療法を併用して行います。血圧値が正常値化したら薬物療法をいったん終了することもあるので、これらの併用はとても重要です。

まとめ

高血圧によって起こりうる病気、今すぐにできる高血圧への対策について解説しました。食事や運動など、高血圧の改善のためにご自身で取り組めることもあります。

病気にならないためにも、1つでも多くの改善策に取り組むことをおすすめします。無理のない範囲から始めていきましょう。

(参考文献)

1, 日本循環器学会, 他:第1章 概念, 定義, 疫学. 急性冠症候群ガイドライン(2020年改訂版).  2020. p11-23.

2, 国立循環器病研究センター:「脳卒中レジストリを用いた我が国の脳卒中診療実態の把握」報告書 2024年.
[https://strokedatabank.ncvc.go.jp/f12kQnRl/wp-content/uploads/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%84%B3%E5%8D%92%E4%B8%AD%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%90%E3%83%B3%E3%82%AF%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B82024%E5%B9%B4.pdf](最終閲覧日:2025年5月21日)

3, 厚生労働省:介護の状況. 2022(令和4)年国民生活基礎調査の概況.
[https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/dl/05.pdf](最終閲覧日:2025年5月21日)

4, 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会, 編:第4章 生活習慣の修正. 高血圧治療ガイドライン.  p64‐75.

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