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なぜ認知症の早期診断・早期発見が重要なのか?そのメリットを解説します
更新日:2025-01-29

なぜ認知症の早期診断・早期発見が重要なのか?そのメリットを解説します

なぜ認知症の早期診断・早期発見が重要なのか?そのメリットを解説します

最近、「頻繁に物の置き場所を忘れてしまう」「よく約束を忘れてしまう」「同じことを何度も聞く、と家族から注意される」といったことはありませんか?

本記事では、認知症の早期診断のメリットや、どのような流れで診断が行われるのかについて、詳しく解説します。

認知症の早期診断のメリット

認知症の前段階であるMCI(軽度認知障害)という早い段階から適切な対策をとることにより、認知機能の低下を遅らせたり、健常な状態に戻ったりする可能性があります1
そのため、「早期診断・早期発見が重要」と言われています。

原因疾患を特定する

認知症の原因としてアルツハイマー病が半数以上を占めていますが、以下のような、症状の改善が期待できる疾患(病気)も存在します1
原因を特定することで適切な治療に繋げることができる場合があります。

(例)
・正常圧水頭症
・慢性硬膜下血腫
・甲状腺機能低下症
・ビタミン欠乏症
など

今後の生活の準備ができる

認知症の早期診断により、その後の生活について早めに備えることができます。

例えば、認知機能の低下が進んで判断が難しくなることで、どのような介護サービスが必要か、住環境をどう整えるかなどをしっかり考えられないかもしれません。

認知症のご本人の希望を早めの段階でご家族と共有して備えることで、症状が進行した際の不安や混乱を軽減できるでしょう。

介護保険の申請手続きや成年後見制度の利用、財産管理の方法などについても準備を進めることができます。

介護者の負担を軽減できる

認知症が進行すると、夜間のひとり歩きや暴言・暴力などの症状があらわれ、在宅での介護においてご家族の負担が増すことが考えられます。

認知症の早期発見により、早めに適切なケアプランを立てることができたり、ご自身に合う介護サービスを探したりすることができるため、介護者の負担軽減につながるでしょう。

認知症を早期発見するのが難しいのはなぜ?

認知症の早期発見には多くのメリットがある一方で、実際にはいくつかの理由から難しい場合があります。

その理由のひとつは、認知症の初期症状が加齢によるもの忘れと区別がつきにくい場合があることです。「物を置いた場所を忘れる」「人の名前がすぐに出てこない」といった症状は、年を重ねると誰にでも起こると考えてしまいがちです。

そのため、年のせいと見過ごしてしまい受診のきっかけを逃してしまうことがあります。

また、認知症はゆっくりと進行していく病気であるため、症状の変化に気づきにくいのです。ご家族や身近な人でも、日々の変化を見落としてしまい、症状の進行に気づかないかもしれません。

さらに、ご本人が認知機能の低下を認めたがらない、あるいは認知症について知ることを恐れているケースもあります。認知症についての思い込みや診断を受けることへの不安など、さまざまな感情が受診をためらわせる要因です。

ご家族が受診を勧めても拒否する場合、強要することはかえって状況を悪化させるおそれもあるため、慎重な対応が求められます。

 

認知症を早期発見するためにはどこに相談したらいいの?

もの忘れの症状が心配になったとき、どこに相談すればいいのか迷う方もいるでしょう。

適切な窓口を選ぶことは、早期発見と適切な治療につながる大切な一歩です。

もの忘れ外来・認知症専門の外来

もの忘れ外来や認知症専門の外来に相談すると、専門医が問診や各種検査による診断を行います。
受診される際は、ご本人だけでは、質問に十分に答えられず、問診が正しく行われない恐れがありますのでご家族と一緒に受診することが推奨されます。

かかりつけ医

認知症を疑ったときには、かかりつけ医に相談することも検討してみましょう。

長年診てもらっているかかりつけ医は、健康状態や既往歴をよく理解しています。そのため、もの忘れや行動の変化に気づきやすい場合があります。

また、ほかの病気との鑑別も行いやすく、必要に応じて専門医を紹介してもらうことも期待できます。

どのような方法で診断が行われるか

認知症の診断は、いくつかの段階を経て慎重に進められます。
ひとつの検査だけで診断が確定するわけではなく、複数の検査結果から総合的に医師が診断します。一般的な流れは次のとおりです。

1.    医師による問診
2.    画像検査
3.    神経心理検査
4.    診断

まず、医師が問診をします。
認知症のご本人やご家族から、現在の症状、いつから症状が現れ始めたか、日常生活で困っていることなど、詳しい状況を聞き取ります。
自覚していない症状や、日常生活の変化などをご家族が客観的に伝えることも大切です。

次に、必要に応じてMRIやCTなどの画像検査を行い、脳の萎縮の程度や脳梗塞などほかの病気がないかを確認します。

さらに、神経心理検査を行い、記憶力や注意力、集中力などの認知機能を評価します。例えば、長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)やミニメンタルステート検査(MMSE)などです。

これらの問診や画像検査、神経心理検査などの結果をもとに医師が診断します。

まとめ|なぜ認知症の早期診断・早期発見が重要なのか?そのメリットを解説

もの忘れの症状があっても、「まだ大丈夫」「きっと年のせいだから」と放置してしまうと、認知機能の低下が進行し、ご本人もご家族も大きな負担を抱えることになるかもしれません。

早期に診断を受けて早めの対策を行うことで、認知機能の低下を遅らせるだけでなく、今後の生活についても備えることができます。

(参考文献)
1, 国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター:あたまとからだを元気にする MCIハンドブック 第2版. 2024. p9.
[https://www.ncgg.go.jp/ncgg-overview/pamphlet/documents/mcihandbook-v2.pdf](最終閲覧日:2025年1月29日)

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