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もの忘れ外来とは?受診の目安や、代表的な検査・テストを解説
更新日:2025-01-09

もの忘れ外来とは?受診の目安や、代表的な検査・テストを解説

もの忘れ外来とは?受診の目安や、代表的な検査・テストを解説

「朝ご飯を食べたのに忘れてしまう」「有名人の名前をよく思い出せない」などの症状が多くなり、認知症ではないかと悩んでいませんか。

この記事では、もの忘れ外来とは何か、受診の目安や代表的な検査などを解説します。

もの忘れの症状に悩んでいるものの、何科を受診すべきか分からず不安を感じている方の手助けになれれば幸いです。

もの忘れ外来とは?

もの忘れ外来とは、いわゆる「もの忘れ」の症状があるご本人に対して、その症状の原因を調べて、適切な治療につなげるための外来のことです。

もの忘れの症状が加齢にともなうものなのか、認知症によるものなのか診断し、予防に向けた指導も行われます。

※ここでの「予防」とは、「リスク低減」「進行抑制」を意味しています。

もの忘れ外来を担当するのは、おもに脳神経内科や精神科や老年内科などです。

症状に気づいたタイミングや認知症の前段階であるMCI(軽度認知障害)の時点で受診すると、症状の進行を緩やかにしたり、健常の状態に戻したりできる可能性があります¹。


もの忘れ外来を受診する目安

年齢を重ねると、誰もが少しずつ記憶力や理解力などに不安を感じることがあるかもしれません。

MCI(軽度認知障害)や認知症の症状であった場合、放っておくことでさらに症状が悪化する恐れがあります。

次の症状があるときは、もの忘れ外来の受診の目安になると考えられます。

もの忘れが気になり始めている

「鍵や財布の置き場所を忘れていつも物を探している」「ついさっき話した内容を覚えていない」などのもの忘れが増えてきた場合です。

家族や友人の名前を思い出せない

家族や友人の名前を突然思い出せないといった症状が繰り返されるときは、認知機能が低下している可能性があります。

間違いをよく指摘される

家族や同僚の方から「最近よく間違えるね」「このミスは前にも言ったよ」などと指摘されることが増えている場合も注意が必要です。 

とくに、簡単な計算やよく知っているはずの家までの道順を間違えることが多くなる場合、それは認知機能の低下を示しているかもしれません。

ヒントを与えられても出来事を思い出せない

他人からヒントを与えられても、その出来事を思い出せない場合は、単なるもの忘れではなく、認知症の可能性があります。

もの忘れ外来で受けられる検査とテスト

もの忘れ外来では、次のような検査やテストを受けます。

・問診
・神経心理検査
・画像検査
・生理学検査
・血液検査

これらの検査をもとに医師が診察して、ご本人と医師で相談しながら治療方法や今後の対応などを決めます。

問診

もの忘れ外来を受診した際には、まず問診を行い、医師が次のようなことを確認します。

・具体的な症状
・これまでの経緯
・日常生活で困っていること

ご本人だけでは、質問に十分に答えられず、問診が正しく行われない恐れがあります。

そのため、医療機関を受診するときは、ご家族も付き添うことをおすすめします。

神経心理検査

問診と併せて、認知機能の状況を確認するために、次の神経心理検査を行います2

・長谷川式簡易認知機能スケール
・ミニメンタルステート検査
・もの忘れ簡易スクリーニング検査

さまざまな質問を通じて記憶力や計算力、見当識力(時間や場所、人物、周囲の様子などから自分が置かれている状況を理解する力)などを調べます。

神経心理検査については、その他、注意力検査、前頭葉機能検査、心理検査などもあります。

認知症やその疑いがある方の抱えている問題を把握できるため、認知症の早期発見や治療内容などに役立てられます。

画像検査

もの忘れ外来では、必要に応じてCTやMRIの検査も行います。

脳の萎縮や脳梗塞、その他の疾患などの病気が隠れていないかを確認するためです。


ほかにも、脳の働きが低下している部位を画像で調べる脳血流シンチグラフィー等の検査を行います。脳血流シンチグラフィーには、SPECT(単一光子放射断層撮影)があります。その他、PET(陽電子放出断層撮影)などの画像検査もあります。

生理学検査

もの忘れ外来では、脳の機能低下の有無を調べるために脳波の検査を行うこともあります。

てんかんやその他の疾患など、認知症と区別が必要な病気の診断の際に役立ちます。

血液検査

もの忘れ外来を受診したご本人の状況によって、血液検査をすることもあります。

もの忘れの症状は生活習慣病が関わっている場合もあるため、血液検査でのチェックも重要です。生活習慣病とは、具体的には、糖尿病、高血圧、肥満(メタボリックシンドローム)、脂質異常症などがあります。

また、甲状腺ホルモンやビタミン、感染症などの異常がないかを確認して、認知症とは別の病気がないかも判断します。

その他、髄液検査にて、アルツハイマー病のバイオマーカー(アミロイドβ、リン酸化タウ蛋白)を検査する場合もあります。


まとめ|もの忘れ外来とは?受診の目安や、代表的な検査・テストを解説

もの忘れ外来とは「もの忘れ」の症状がある場合、その症状の原因を調べて、早期に治療を受けられるようにする外来のことです。

また、65歳以上の場合、認知症とうつ病は双方に影響しあっており、認知症の前ぶれとして、気分の落ち込みなどの抑うつ症状もみられることもあり、その場合も、もの忘れ外来での医師の診断は重要です1

この記事がもの忘れの症状に悩んでいるものの、どこへ受診すべきか分からず不安を感じている方の手助けになれれば幸いです。

(参考文献)
1,国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター.あたまとからだを元気にする MCIハンドブック
https://www.mhlw.go.jp/content/001100282.pdf(最終閲覧日:2024年12月12日)

2, もの忘れ簡易スクリーニング検査|一般社団法人 日本認知症予防学会
https://ninchishou.jp/publics/index/288/(最終閲覧日:2024年12月12日)

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