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認知症のもの忘れ(1.軽度)の対応法
更新日:2021/12/08

認知症のもの忘れ(1.軽度)の対応法

認知症のもの忘れ(1.軽度)の対応法

もの忘れはすべての認知症患者さんに多かれ少なかれ出現する普遍的な症状です。
特に、アルツハイマー型認知症の方にはごく初期から「もの忘れ」の症状が出ます。

また、アルツハイマー型認知症の方のもの忘れは非常に強く、体験全部を忘れてしまうこともよくあります。ですから「そんな約束はしていない」「そんな電話は受けていない」と言い、周りの人と言い争いにもなりやすいのです。
周りの人が参ってしまうほど、繰り返し同じ質問をするのもこの病気の方に多い行動です。

レビー小体型認知症の方の「もの忘れ」は軽いことが多く、初期にはほとんど目立たないこともあります。
しかし、なかにはアルツハイマー型認知症のように出来事そのものを忘れてしまうくらい「もの忘れ」の強い方もおられます。
どの認知症の方も、おおむね新しい出来事から忘れ、古い記憶は長く残ります。また、特に初期にはご本人にももの忘れの自覚がありますから、メモをとったりしてご自身で対応されることがあります。

対応法

ご本人も「なんだかおかしいな」ということには気がついています

特に初期においては、ご本人も口には出されないながらも健康な時とは違う状態にあることに気づいています。
何か自分のなかでおかしなことが起こっていることに対する不安でいっぱいですが、同時にそれを認めたくない気持ちも強くあって、周囲からの指摘や叱責には過剰に反応しがちです。

面倒がらない、叱らない、無理に訓練しようとしない

同じことを何度も言ったり、同じものを何度も探しまわったり・・・。
初めの数回なら付き合えても、回数が重なると周囲の方もうんざりしてくるでしょう。ついつい叱ったり、いやな顔をしてしまいがちです。熱心さのあまり、何とかして記憶を戻させようと訓練のようなことを始められるご家族もいらっしゃいます。
しかし、できない体験がたくさん積み重なると、ご本人は自信を失いますし、辛い思いばかりが後に残ります。ご本人の望まない訓練はお勧めできません。

いっそう強い信頼関係を

できるだけ丁寧に対応してご本人とこれまで以上にいっそう強い信頼関係を作ることに努めましょう。

  • 顔を見てにこやかに対応する。
  • 初期ならメモを利用するなどで、かなりもの忘れを補うことができます。
  • 規則正しい生活パターンを初期のうちから作っておくと、混乱することが減り、たとえもの忘れがあっても生活の支障になりにくいようです。朝は7時に起きて顔を洗い、朝ご飯は7時30分、食後トイレに行き……というように、ある程度時間割に沿った生活を送りましょう。
  • 物の置き場所も決めて、「眼鏡は電話の横」のように書いて、目につきやすい所に貼っておくとよいでしょう。
  • リモコンでアラーム音を流すことのできる器具なども販売されていますので財布や鍵など紛失しやすいものには、使ってみてはどうでしょうか。
  • 何度も同じことを言う場合は、さりげなくお茶に誘ったり、髪の毛をとかしたりして、何か別のことに気持ちを向けてもらう工夫も有効です。
  • 何度も同じことを言うということは、前に答えてもらった内容も忘れているということです。

毎回違った答え方をしようと考え込んで、介護する方が疲れてしまうこともあります。まじめに聞いたうえでなら何度でも同じように答えてかまいません。
穏やかに誠意をもって前回と同じ対応をしてはいかがでしょうか。

火の始末にはくれぐれもご注意を

「得意な煮物を家族のために作ってあげよう」と思い、鍋に火をかけたものの、何かほかのことに気を取られて忘れてしまい、危うく火事に、ということが起こりえます。
もし火事になったら、という結果の重大性にあまりピンときていない様子もアルツハイマー型認知症の方には目立ちます。
近頃の調理器具はIH(電磁)など火を使わないものや、ガス器具でもセンサーで自動消火するものが増えています。
安全にはくれぐれも気をつけて、適切な手段を講じてください。