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まだら認知症とは?特徴やご家族ができる対応について解説します
更新日:2025-05-28

まだら認知症とは?特徴やご家族ができる対応について解説します

まだら認知症とは?特徴やご家族ができる対応について解説します

認知症のなかに、「まだら認知症」と呼ばれる症状があります。記憶障害があっても病識や判断力は保たれている1、認知機能の低下が不均一に現れる、症状が安定しているように見えても急に悪化するという特徴があります。

本記事では、いわゆる「まだら認知症」の原因や治療法に加え、当事者のご家族がどのように関わればよいかを解説します。

どんな方に「まだら認知症」の症状がみられるのか

血管性認知症のご本人に、いわゆる「まだら認知症」の症状がみられることがあります。

血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの脳血管の病気が原因で発症する認知症です。認知症全体の約20%を占め、アルツハイマー型認知症に次いで多いとされています2。脳梗塞や脳出血は男性の発症率が高いため、血管性認知症も男性に多いことが特徴です3

血管性認知症のリスクを高める要因として、脳血管の動脈硬化を引き起こす糖尿病・高血圧・脂質異常症・喫煙・運動不足・心疾患などが挙げられます4

症状は他の認知症と大きな違いはありません。初期は記憶障害が軽く、遂行機能障害と呼ばれる、仕事や家事などの一連の作業を効率よく行う能力の低下から発症するケースが多いとされています5

詳しくは下記の記事をご参照ください。

まだら認知症の症状に対する治療とは?

血管性認知症の症状や進行を緩やかにするために、薬物療法やリハビリテーションが行われることがあります。

薬物療法

血管性認知症では攻撃的になったり、興奮状態になったりなど、感情がコントロールできなくなることがあり、これらの症状に対して塩酸チアプリドといわれる薬剤が使用されることがあります。また、意欲低下に対しては脳血流を改善する薬が有効な場合があります6

血管性認知症の治療で重要なのは、脳梗塞や脳出血といった脳疾患の再発を防ぐことです。そのため、再発予防として抗凝固薬や抗血小板薬が用いられます6。さらに、脳疾患の原因となる高血圧や糖尿病の管理も重要であり、これらをコントロールするための薬剤が使用されることもあります6

リハビリテーション

まだら認知症の症状のあるご本人にリハビリテーションが行われることがあります。その方法はさまざまで、回想法・認知的アプローチ・音楽療法・運動療法などがあります7

リハビリテーションの方法

特徴

回想法

・    過去の体験を回想させる

・    内容に共感することで情緒の安定や意欲の向上を図る

認知的アプローチ

(認知刺激療法・認知訓練・認知リハビリテーション)

・    認知刺激療法:グループワークにおいてさまざまな活動を行い、社会性の向上をめざす

・    認知訓練:机上やコンピュータ上で記憶課題を行う

・    認知リハビリテーション:実生活に沿って動作を対象者ごとに目標を設定して行う

音楽療法

・    音楽活動を通して自己肯定や対人交流が促進される

・    聴くだけではなく歌唱・演奏・ダンスを行うこともある

運動療法

・    運動習慣が認知症症状を軽減する

・    有酸素運動が好ましく、45~60分くらいの運動を週3回行うことが推奨される

(文献7を参考に作成)

「まだら認知症」に対してご家族ができることは?

いわゆる「まだら認知症」は特徴的な症状であるため、ご家族が戸惑うことも少なくありません。しかし、ご家族が負担を感じている様子が伝わると、ご本人の不安が強まり、症状の悪化につながる可能性もあるので気をつけるようにしましょう。

症状を観察して記録する

まだら認知症の症状を日々記録することで、症状が改善しているのか、悪化しているのかを把握しやすくなります。そして、記録した内容をかかりつけ医の先生に伝えることで、より適切な認知症治療やケアにつなげられます。

ご本人の日常の様子や服薬状況、気になる言動や行動は記録し、診察の際に相談してみましょう。

家庭の環境を整備する

家庭の環境を整えることも、ご本人の生活を支えるうえで大切です。まだら認知症の症状のあるご本人は、できることとできないことがはっきりしている傾向がありますので、症状を観察し、できないことが明確な場合は環境を調整しましょう。

安心できる空間をつくることも大切です。例えば、落ち着けるように座る位置を決めたり、昔から使用しているなじみの物を用意するといったサポートを行い、不安の少ない生活環境を整えましょう。

介護サービスを活用する

介護サービスを適切に利用することで、ご本人だけでなく、ご家族の負担も軽減されることが期待できます。介護保険や介護サービスについて詳しく知りたい方は、下記の記事をご参照ください。

まとめ

いわゆる「まだら認知症」は、血管性認知症のご本人にみられることがあります。

まだら認知症の特徴的な症状に対して、戸惑うご家族は少なくありません。症状を理解し、余裕をもって接することで、ご本人の安心感に繋がるでしょう。

困った場合はご家族だけで抱えこまず、医療や介護専門職の力を借りることも検討してください。

(参考文献)

1, 猪原匡史:血管性認知症の病態と治療-脳小血管病を中心に-. 神経治療. 2017;34:13-7.

2, 日本神経学会監修:認知症の病型による割合は変化しているか. 認知症ガイドライン. 2017. p12-3.
[https://www.neurology-jp.org/guidelinem/degl/degl_2017_01.pdf](最終閲覧日:2025年5月20日)

3, Akhter F, et al: Vascular Dementia and Underlying Sex Differences. Front Aging Neurosci. 2021;8:13

4, 長田 乾, 他:血管性認知症とアルツハイマー病の血管性因子. 老年期認知症研究会誌. 2011.

5, 北川一夫:高齢者の脳血管性認知症. 日本老年医学会雑誌. 2017;54:519-23.

6, 国立長寿医療研究センター 認知症臨床研究・治験ネットワーク:認知症の治療.
[https://www.ncgg.go.jp/hospital/ictr/crnd/general/general05.html](最終閲覧日:2025年5月20日)

7, 田中尚文:認知症リハビリテーションの現状とエビデンス. The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine. 2018;55:653-7.

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