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ゲームは認知症の予防になるの? 脳の活性化につながるゲームやトレーニングを紹介
更新日:2024/10/01

ゲームは認知症の予防になるの? 脳の活性化につながるゲームやトレーニングを紹介

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ゲームは認知症の予防になるの? 脳の活性化につながるゲームやトレーニングを紹介

「最近、自分自身のもの忘れが多くなった」「家族のもの忘れが多く、認知症にならないだろうか?」など、認知症が心配になることはないでしょうか?

 認知症の予防には、脳を活性化させ、認知機能を維持・向上させることが効果的です。

趣味を持つ人では認知症の罹患リスクが低いという研究1がありますが、海外にはゲームが高齢者の脳の記憶システムに効果があったという研究2もあります。この記事では、ゲームが認知症予防に期待できる理由やおすすめのゲームについて詳しく解説します。

楽しく認知症予防をされたい方や、家族に認知症予防に取り組んでいただきたい方は是非ご覧ください。

※「認知症予防」とは、認知症の「リスク低減」「進行抑制」を意味しています。

認知症予防にゲームが期待できる理由

まず、なぜ認知症の予防にゲームが期待できる可能性があるのかを述べます。

脳の活性化

ゲームはルールを知る、内容や対戦相手を分析する、戦略を練る、与えられた時間をどのように使うか管理する、反省を活かし改善するなど、さまざまな手順のなかで脳を使います。
時には同時に複数の観点で検討する場面もあり、脳の活性化につながるでしょう。

ストレス発散

ストレスは認知機能の低下を引き起こす一因となるため、ストレスを軽減することで認知症予防につながる可能性があります。リラックスできるゲームや楽しさを感じられるゲームは、日常生活のストレスを軽減し、精神的健康の向上に寄与します。

社会的なつながり

家族や友人と一緒にゲームを楽しむことは、孤立感を和らげ、社会的なサポートネットワークを維持するのに役立ちます。これにより、精神的な健康も向上し、認知症リスクが低減される可能性があります。

健康管理

ゲームの種類によっては、頭脳だけでなく身体を動かす場合があります。身体活動により脳への血流が増え、酸素や栄養素が豊富に供給されることで脳細胞の健康が維持されます。

モチベーション

自己効力感(自分の能力に対する信頼感)と達成感を提供し、日常生活に活力を与えます。目標を達成する喜びや、ゲーム内での進歩、仲間と一緒に取り組む交流の楽しさを感じることで、他の活動にもチャレンジする気持ちが生まれるかもしれません。 

 

認知症の予防を期待できるゲームの特徴とゲームの例

では、どのようなゲームをすると良いのでしょうか? ゲームの例を紹介します。

コミュニケーションを促進するゲーム

他のプレイヤーとの対話や戦略を必要とするため、社交性を高め、認知機能を刺激します。
プレイヤー同士の交流が増え、楽しみながら脳を鍛えることが期待できます。

モノポリーや人生ゲームなどのボードゲーム

モノポリーは、世界110か国以上で約10億人にプレイされているボードゲームです。26人でサイコロを振って土地を奪い合います。
人生ゲームはルーレットを回し、様々なライフイベントを体験しながら億万長者を目指すすごろくゲームです。26人で遊べます。
どちらもボードゲームはもちろん、スマートフォンゲーム、テレビゲームとしても発売されています。

身体活動を伴うゲーム

手足を動かしたり、仲間と協力して身体を使ったりするゲームは、脳の運動をしながら、心身ともに健康を保つことが期待されます。
WHOのガイドラインにおいても、身体活動をする人は認知機能が低下しにくく、認知症・血管性認知症・アルツハイマー型認知症の発症リスクが低いと記されています3

知的課題と運動を同時に行うプレパサイズなどのエクササイズ

「プレパサイズ」は、手足を動かしながら知的課題の実践を行うデュアルタスクの運動です。立位や座位を選択でき、その日の調子や状況に合わせて運動を楽しむことができます。

風船送りゲームや伝言ゲームなどのレクリエーション

風船送りゲームは、道具や姿勢を決めて、隣の人に風船を渡すゲームです。手を触れずにうちわを使って渡したり、両手で風船を持って頭の上から風船を渡したり、いろんな方法で楽しむことができるゲームです。

このように風船を使ったゲームや伝言ゲームは、楽しく身体を動かすことができ、同時にコミュニケーション能力も鍛えられます。これらのゲームは、グループで行うことが多いため、社交性の向上にも役立ちます。 

挑戦や学習要素を含むゲーム

毎回違う情報を取り入れたり、考えたりすることで、脳の活性化につながる可能性があります。

言語を学ぶアプリや歴史クイズなど知識を深めることができるゲーム

言語学習は、新鮮な情報を取り入れ、検討し、応用するといったステップがあり多くの脳の機能を使います。また、歴史クイズは、過去の出来事や人物に関する知識を深め、論理的思考や記憶の強化に役立ちます。

脳を活性化させるゲーム

パズルや記憶ゲーム、戦略ゲームも記憶力や論理的思考など脳のさまざまな機能を鍛えるのに最適です。

クロスワードパズルや数独などのパズルゲーム

クロスワードパズルは、ヒントを元に推測した言葉(カギ)でタテとヨコのマスを埋めていくパズルです。
数独は3×3のグループ(ブロック)に区切られた 9×9の正方形の枠内に1〜9までの数字を入れて、どの列・どの行、どのブロックにも同じ数字が一つだけ当てはまるように完成させるパズルです。
いずれも、論理的思考や問題解決能力、記憶力や集中力を高める効果が期待されます。

神経衰弱やジグソーパズルなどの記憶ゲーム

神経衰弱は、カードを2枚ずつめくりながらどこに何の数字があるかを覚え、ペアを探していく遊びで、短期記憶や長期記憶を鍛えるのに役立ちます。
また、ジグソーパズルは一枚の絵をいくつかのピースに分け、バラバラになった状態から、ピースの形や模様をもとに再び組み立てて完成させるパズルで、視覚的な記憶力に影響があります。

麻雀やチェス、将棋などの戦略ゲーム

麻雀やチェス、将棋といった昔からあるボードゲームは、はじめやすい点もいいポイントですが、相手がどんな手を仕掛けてくるかを想像して先を読んだり、手指を動かしたりすることで、脳が活性化される可能性があります。

脳トレーニングゲーム

近年さまざまな脳のトレーニングに特化したさまざまなゲームが開発されています。

「考える、記憶する、判断する」ことで脳への刺激を促すことはWHOのガイドラインで推奨されています3。ゲーム感覚で脳を鍛えるコンテンツにチャレンジしてみましょう。

認知症の予防に向けてゲームを楽しく続けるコツ

認知症予防に繋げるためにゲームに取り組む場合、継続することも重要なポイントの一つです。無理なく続けられるコツを紹介します。

難易度を適切に設定する

ゲームは、簡単すぎると退屈で張り合いがなく、難しすぎると楽しめず挫折感につながる場合があります。
適切なレベルでゲームをすることで、適度な負荷を感じることができ、脳を効果的に刺激できます。
条件を追加することで難度を上げたり、レベルが徐々に難しくなるゲームを選択するなどして、楽しく挑戦できる状態を目指しましょう。

勝ち負けよりも楽しむ雰囲気を大切にする

過度に勝ち負けにこだわると、ゲームをすることがストレスになってしまったり、一緒に遊んでいる相手との雰囲気を壊してしまうこともあります。
挑戦したこと、誰かと一緒にできたこと、失敗も次に繋がることなどに目を向け、前向きに取り組みましょう。

安全面に配慮する

ケガや体調不良などを防ぐため、ゲームに取り組む時の環境や自身の状態を整え、安全に配慮しましょう。
例えば身体を動かすゲームでは、周囲の障害物は片付けて、準備体操を行うことが大切です。長時間座って行うゲームでは、正しい姿勢を心掛け、時々ストレッチを行うなど工夫しましょう。また、画面を見るようなゲームでは、利用時間の制限や休憩を設けることも目の健康のために大切です。

家族や友達と一緒にやってみる

家族や友人と一緒にゲームをプレイすることは、絆が深まるだけでなく、新しい知識やスキルを学ぶ機会を得たり、達成感を分かち合ったり、競争心を持ったりすることでゲームを続けていく動機となります。

毎日の習慣に組み込む

朝のコーヒータイムや夜のリラックスタイムに10~15分ほどゲームの時間を作るなど、日常の動作の中にちょっとした楽しみとして組み込むことで、無理なく継続しやすくなります。
また、楽しさや達成感といったポジティブな体験が習慣化することで、毎日をより豊かに過ごすことができるでしょう。

ゲーム以外の認知症予防が期待できる活動

ここまで認知症予防が期待できるゲームについて具体的に紹介してきましたが、ゲーム以外にも取り組めることがあります。

厚生労働省の『あたまとからだを元気にするMCIハンドブック』を基に、ゲーム以外にも認知機能改善に効果的な取り組みを紹介します4

芸術活動

絵画や書道などの芸術活動は、認知機能を改善する可能性があることが報告されています。
脳や手指を使うだけでなく、作品を鑑賞し会話することでより多くの刺激を得ることができるでしょう。

 対人交流

人との交流が少ないと認知症になる可能性が高まることが、複数の研究によって示されています。また対面だけでなく、電話やビデオ通話などの非対面での交流を組み合わせることで、認知症リスクが低下する可能性が報告されています。

例えば、習い事や地域の集まりを通して、同居人以外とも積極的に交流しましょう。

外出

外出はストレス発散や運動不足解消のほか、多くの情報を得ることでの脳の活性化などさまざまな利点があります。
特に日中の外出は、日の光を浴びて、睡眠などによい影響がもたらされます。

外出頻度が週に1回未満の人は、ほぼ毎日外出する人と比べて要介護状態に陥るリスクが高まると言われているため、積極的に外出をしましょう。 

食事や運動

運動不足や食生活の乱れ、生活習慣病の管理不徹底などは、認知症の危険因子として考えられます。どれか1つを一定期間対策すればよいわけではなく、複数の対策を継続的に行うことが重要です。

認知症予防が期待できる食事例:サバみそ鍋

エイコサペンタエン酸(EPA) やドコサヘキサエン酸(DHA)を多く含む青魚は認知症リスクの低下との関連性が高いとWHOガイドラインで言及されています3。サバなどの青魚を使った料理は認知症予防に効果的なので是非積極的に食べてみてください。

認知症の予防活動は早い段階から楽しみながら始めよう

認知症は、早期に気づき、より早く次の行動を検討することが重要です。ゲームを続けるなかで、ご自身の変化に早期に気づくことができるかもしれません。

この記事で紹介したゲームは、現時点では長期的な認知症予防効果があるかは明らかではありませんが、脳の活性化、ストレス発散、社会的なつながりの強化など、さまざまな効果が期待できます。
まずは興味のあるゲームや短時間でできるゲームに気軽に楽しみながら継続して取り組むことで、より豊かな生活を送りましょう。

(参考文献)

1, Matsumura T, et al: Hobby Engagement and Risk of Disabling Dementia. J Epidemiol. 2023;33(9):456-63.

2, West GL, et al:Playing Super Mario 64 increases hippocampal grey matter in older adults. PLoS One. 2017;12(12):e0187779.

3, WHOガイドライン. 認知機能低下および認知症のリスク低減. 2020.(最終閲覧日:2024926日)

4, 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター. あたまとからだを元気にする MCIハンドブック. (最終閲覧日:2024926日)