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認知症の親の介護に関するQ&A

認知症の親の介護に関するQ&A

認知症の親に「物を盗られた」と言われて困っています

このような症状を「物盗られ妄想」といいます。妄想は“訂正不能な誤った確信”ですので、患者さんへの訂正や説明は期待できないことを介護者へ理解いただきましょう。

介護者は、妄想に困っているわけではなく、理解できなくて困惑している場合が多いです。

対応例

  • 関心を別のものに向かわせましょう
    「おやつを食べてから探しませんか」など、患者さんの関心や話題を別のものに向かわせ、一呼吸おくと忘れてしまうことがあります。
  • 丁寧に聞いてみましょう
    否定したり、怒ったりせず、患者さんの訴えを丁寧に聞きましょう。訴えを否定すると「自分のことを信用しない。やはり犯人は家族の誰かだ!」ということになるかもしれません。共感したり、うなずくなどの態度が患者さんを安心させます。

「物盗られ妄想」は、一番熱心に介護している人に対して向きます。患者さんと介護者との関係が悪化している場合は、サービスを利用するなど物理的に離れる時間を作ることも必要です。

認知症の親が、夕方になると家に帰りたがります

対応例

  • 注意をそらせてみましょう
    患者さんの関心を別の方向にそらすという方法はいかがでしょうか?
    たとえば、「今日はもう暗いので明日の朝送っていきますよ」などです。
  • 一度出かけて納得してもらいます
    自宅へ誘導するという方法もあります。たとえば、出かけようとした際に「一緒に帰ろう」と自宅の周辺をドライブし、「到着しましたよ」と自宅に戻る方法もあります。

認知症の親がデイサービスの利用を嫌がるのですが

無理矢理あるいは、ごまかして施設に連れていくと「馬鹿にするのか!」と怒り出すことがありますので、介護者と患者さんで良く話し合ってもらいましょう。

かかりつけ医の先生がサービスの利用を勧めることも大切です(医師の言うことは比較的聞き入れてくれることが多いです)。

対応例

  • 家族、介護者が一緒に行きましょう
    ご家族や介護者の方が一緒に施設に行き、患者さんの不安を取り除いてはいかがでしょうか。
    終日から半日と一緒にいる時間を少しずつ短くしていく方法もあります。
  • ヘルパーさんから誘ってもらいましょう
    利用予定の施設からヘルパーさんを派遣してもらい顔なじみになり、その後手伝ってもらいながらサービスの利用を勧めるという方法もあります。
  • 利用施設を変えてみましょう
    利用する施設を変更してみてはいかがでしょうか? 患者さんと施設の雰囲気が合わないという可能性があります。環境の調整が有効なこともあります。

認知症の親の口座から預金を引き出すことはできますか?

認知症のため判断能力が不十分となり、自分で銀行口座から預金を引き出せなくなってしまった場合、法的には、たとえ親族であっても本人に代わって銀行口座からお金を引き出したり、口座を解約することはできません。

本人に代わって口座からお金を引き出すためには、きちんと法的な手続きを取り、家庭裁判所に「成年後見人」の選任を申し立てる必要があります。

成年後見人であれば、本人に代わって本人の銀行口座のお金を引き出したり管理することができます。

認知症の親の自動車の運転が心配なのですが

自動車の運転には、運動能力、判断力など多くの機能が必要です。 万が一の事故を考え、運転はひかえるように、ご家族から伝えてもらいましょう。

回答

ご家族が口頭で伝えても運転してしまう場合は・・・

  • 医師に診断書を書いてもらいましょう 
    「運転は禁止」の診断書を書いてもらい、ご本人に署名してもらうなど、納得してもらいます。
  • 自動車を本人の目にふれないようにしましょう
    自動車を別の駐車場に移すなどして、本人の目にふれないようにします。
  • 運転免許試験場や警察に相談しましょう
    運転免許試験場や警察に相談し、高齢者講習(70歳以上)で運転を控えるよう告げてもらいましょう。

認知症により、ひとり歩きがみられて困っています

目的もなく、歩き回っているように見える行動は、病気により、結果的にひとり歩きと判断されてしまいます。

患者さんの行動を頭から否定するのではなく、行動を理解する、受容する気持ちを持った接し方をするように介護者へお話しましょう。

対応例

  • 地域への協力をお願いしましょう
    近所の人や交番に事情を話しておきましょう。
  • 連絡先がわかるようにしましょう
    洋服のタグなどに連絡先を記入しましょう。
  • 外出がわかるようにしましょう
    玄関などに鈴をつけ、出かけた際に気づくようにしましょう。

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認知症の母親が高額商品を購入させられました

対応例

まずは、お近くの「消費者生活センター」に相談しましょう。「クーリング・オフ」の手続きがとれる可能性があります。クーリング・オフ制度の対象とならない場合も、商品の嘘の説明による詐欺や誤認による契約取り消し、認知症により契約を判断する能力を欠いていたとして契約が無効となるケースもあります。

次に予防策をとることも大切です。一度悪徳業者にひっかかってしまうと、何度も被害にあう場合があります。

  1. 担当のケアマネジャーに相談し、関係者と情報共有し、常に異変がないか、人の目を多くして確認できる体制づくり
  2. 主治医に認知症の状況を確認し、契約等、法律上の手続き関係を本人に代わって実施できるようにする「成年後見制度」の手続き

などを検討しましょう。

認知症の母に何回言っても理解してもらえません

理解力の低下は病気の症状の一つであることを介護者へご理解いただき、ふさわしい対応を心がけてもらうようにしましょう。

対応例

  • 動作を一つ一つ伝えましょう
    短い文章なら理解できるのなら、一つ一つの動作を手短かに指示し、一つの動作が完了したら、次の指示をだすように心がけてください。

    たとえば、「玉ねぎを炒めてください」と言わずに、
    1.「玉ねぎを冷蔵庫から出してください」
    2.「玉ねぎを薄く切ってください」
    3.「玉ねぎを炒めてください」
  • 丁寧に話しましょう
    一つ一つの言葉をはっきり、ゆっくりと話しかけてください。
    患者さんは、言葉への理解のスピードが少し遅くなっているので、ゆっくり話すことで内容を理解しやすくなります。

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認知症の母のトイレの失敗はどうしたらいいのでしょう?

患者さんは失敗の認識がないので、叱る、怒る、なじるなど否定的な言動をすると、家族に悪感情を抱くこともあることを介護者に理解いただくことが必要です。

対応例

  • 定期的にトイレに誘ってみましょう
    定期的(3~4時間ごと)に「トイレに行きましょう」と誘導してみてください。その時、患者さんにやさしく触れながら行うと成功の可能性が高くなります。
  • トイレの場所をわかりやすくしましょう
    トイレの場所がわかる様に貼り紙などをするのも良いでしょう。
  • 夕食後の飲み物はひかえましょう
    夕食後は、利尿作用のある飲み物(コーヒー、お茶など)を可能なかぎり減らすことも一つの方法です。

認知症の母が隣の家のものを壊してしまいました

対応例

一部の損害保険会社の個人賠償責任保険は、認知症の方が事故で損害を与えた場合も保険金が支払われることが約款に明記されています。

個人賠償責任保険とは、他人のものを壊したり、他人にケガをさせてしまったときなどに、 法律上の損害賠償責任を負う場合に保険金が支払われる保険です。

民法上、損害を与えた人が重度の認知症など「責任無能力者」の場合、本人が賠償責任を負うことはありませんが、その人の家族などが「監督義務者」として代わりに賠償責任を負う可能性は否めません。ご加入の個人賠償責任保険の契約内容を確認してみましょう。

認知症の方が健康に暮らすためのヒント

毎日の心がけ

  1. 栄養
    毎日の食事は、腹八分目に抑え、野菜、魚を中心とした、バランスの良い食事を心がけましょう。また、脱水に注意し水分を十分にとりましょう。
  2. 運動
    加齢に伴う体力の低下を抑え、気持ちをリラックスさせるために、散歩など適度な運動をしましょう。決して無理をせずにご家族とも協力して行います。
  3. 気分転換
    好きな音楽を聴いたり、家族や友人とのおしゃべりは良い気分転換になります。疲れたときは昼寝も良い方法ですが、寝過ぎると夜に寝られなくなってしまうため、30分程度にしましょう。

もうひと工夫

  • カレンダー、日めくりの日付を、毎日確認する習慣をつけましょう。
    また季節に意識を向けることで生活に変化がうまれます。
  • メモ帳などに大切な予定や連絡先を書き、身につける習慣をつけましょう。
  • 良く使うものは置き場所を決めてシールなどで見出しを付けましょう。
    またトイレにも『トイレ』と書いた紙をはるのも良い方法です。
  • 財布などの貴重品はヒモやチェーンで衣服とつなぎ紛失を防ぎます。

時間を意識する

  • 時計を身につけ、今の時刻を認識することで生活にリズムをつけましょう。

危険防止

  1. 身分の証明
    外出時には名前、住所、連絡先などの分かるものを身につけましょう。
  2. 車の運転
    車の運転は多くの能力を必要とする高等技術です。
    主治医と相談し運転を控えることも大切です。
  3. 転倒防止
    自宅内では足が引っ掛かるものを片付け、階段は明るく見やすくしましょう。また、スリッパや滑りやすい靴下も要注意です。

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この記事の補足情報

著者情報

  • PROFILE/ プロフィール

    川畑 信也

    八千代病院神経内科部長/愛知県認知症疾患医療センター長

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