「一人暮らしになった認知症の父」認知症介護家族の悩み
要介護1だったアルツハイマーの父(80代後半)と母(80代後半)は二人暮らしをしていましたが、父が嫌がるためサービスも使わず、母が一人で介護をしていました。要介護の更新の手続きも行っていません。3日前、母の言ったことが気に障ったのか父が母を突き飛ばし、母は大腿骨を骨折し、手術となりました。私は近隣に住んでいますが、サラリーマンのため長期の休暇は取れず父の介護をどうしたらよいか、悩んでいます。
息子:50代
介護家族:周囲に協力を頼みましょう
突然に介護の問題が降りかかって戸惑っておられることでしょう。一人で抱え込まずに、まずご兄弟やご親族等に相談しましょう。
包括支援センター職員:介護保険要介護認定申請の手続きを
なんとか工夫して、サービスの利用につなぐことが必要だと思います。大至急で要介護認定申請の手続きをしましょう。認定の更新ができていないので、一から申請しなおす必要があります。地域包括支援センターでケアマネジャー選任のお手伝いもします。ケアマネジャーが決まれば申請の手続きも代行してくれます。緊急の場合には申請した日からサービスを利用することができるので、早急にヘルパー派遣、デイサービスや小規模多機能型居宅介護の利用、あるいは、グループホーム、老健施設等への入所を考える必要があるかもしれません。
世話人:お父さんの現状を知ることが大切です
介護休業(注1)がとりやすい職場であればいいのですが、現実的にはなかなか難しいかもしれません。仕事をしながらでは大変かもしれませんが、一時的にでも一緒に住んでみることはできないでしょうか。お父さんは今何ができて、何ができないのか、支援があれば一人で暮らすことができるのか、状態を把握しましょう。
注1)申し出ることによって家族の介護のために通算して最大93日間休業することができる制度。また、休業することによって無給あるいは減収になる場合には、介護休業給付金の制度もあります。
厚労省の介護休業関連サイト「厚労省 介護休業」で検索
医師:暴力行為があった時は認知症専門医への受診が必要です
すぐにかかりつけ医の先生に相談し必要なら専門医につなげてもらってください。暴力的な行為等、混乱が強くなっている場合には、お父様自身もけがをする可能性があります。
世話人:お母さんの今後についても考えておきましょう
お母さんも高齢なので、退院しても、お父さんの介護は困難かもしれません。お二人の介護をしなくてはならない状況も予測されます。いろいろと不安はあると思いますが、周囲に協力を求めたり、サービス、制度を積極的に利用して介護をしながら仕事を続けられるようにしてください。お近くに「男性介護者のつどい」があれば参加をお勧めします。また「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」(注2)という団体も全国的に活動し、さまざまな情報を提供しています。
注2)ホームページ「男性介護ネット」で検索
「ぽ~れぽ~れ」通巻423号(2015年10月25日発行)