「もしかしたら糖尿病の初期症状があらわれているかも」と不安になっていませんか?
本記事では受診の目安にもなる糖尿病の初期症状を紹介しますので、ぜひお役立てください。
糖尿病とはどんな病気?
糖尿病は血液中のブドウ糖(血糖)の濃度が慢性的に高くなる疾患(病気)です。血糖値を下げるホルモン「インスリン」の分泌量が少なくなったり、インスリンの働きが弱くなったりすることで発症し、結果として血糖値が常に高い状態となってしまいます。
高血糖状態を放置すると、さまざまな合併症を引き起こす可能性があるため、適切な血糖コントロールが重要です。
糖尿病の分類について
糖尿病は主に4つのタイプに分類されます1。
・1型糖尿病
1型糖尿病は、膵臓のβ細胞が破壊されてインスリンがほとんど分泌されなくなる自己免疫疾患です。急激にインスリン依存になるタイプと徐々にインスリン分泌機能が働かなくなるタイプがあります。
若年期に発症するケースが多く、世界の糖尿病患者の5~10%が1型糖尿病といわれています2。
・2型糖尿病
2型糖尿病は最も一般的なタイプで、インスリンの分泌量が減少したり、インスリンの働きが悪くなったりすることで発症します。
45歳以上の中高年になると多くみられ、食生活や運動習慣、肥満などの生活習慣が大きく関与し、遺伝的な要因があることも特徴のひとつです。糖尿病患者の約90%がこのタイプです3。
・妊娠糖尿病
妊娠糖尿病は妊娠中に初めて発見または発症する糖尿病で、日本内分泌学会では妊娠中の女性の12.08%に妊娠糖尿病があると指摘しています4。
妊娠中に胎盤から分泌されるホルモンの影響で、インスリンの抵抗性が強くなってしまうことが原因のひとつだと言われており、多くの場合は出産後に改善しますが、将来的には2型糖尿病を発症するリスクがあります5。
・その他(二次性糖尿病)
他の疾患が原因で発症するものや薬の副作用で発症するもの、感染症により発症する糖尿病がこのタイプです。
糖尿病の初期症状について
糖尿病の初期では、自覚症状がほとんどありません。自覚症状があらわれたときには、病状が進行している可能性があります6。
症状は個人差があり、必ずしもすべての症状があらわれるわけではありません。少しでも身体の違和感を抱いた際には、下記の表を参考にしてください。
種類 |
主な初期症状 |
非該当 |
発症速度 |
備考 |
---|---|---|---|---|
1型糖尿病 |
自己免疫疾患により急激に発症 |
・口渇・多飲・多尿・急激な体重減少・全身倦怠感・吐き気・嘔吐・意識障害 |
急性(数日~数カ月) |
若年期に多い。急激な症状の進行がみられる。 |
2型糖尿病 |
生活習慣が主な原因 |
・口渇・多尿・疲れやすさ・緩やかな体重減少・傷の治りが遅い・視界がぼやける |
緩徐(数カ月~数年) |
40歳以上の中高年に多い。症状が徐々に進行する。 |
妊娠糖尿病 |
妊娠中に初めて発見される高血糖状態 |
・通常は自覚症状に乏しい・妊娠高血圧症候群などのリスク増加 |
妊娠中期~後期 |
妊婦健診での検査で発見されることが多い。出産後に改善する場合が多い。 |
その他(二次性糖尿病) |
薬の副作用や感染症などが原因 |
・口渇・多尿・疲れやすさ・緩やかな体重減少・傷の治りが遅い |
緩徐(数ヶ月~数年) |
膵疾患や肝疾患やステロイド薬を服用している方が発症しやすい。 |
(文献1を参考に表を作成)
一番はじめにあらわれる症状は?
糖尿病の自覚症状として、初期に現れる症状は人によって異なります。喉の乾き(口渇)や頻尿、疲労感などはよく見られる症状です。傷の治りにくさや感染症にかかりやすくなるなど、体調の変化で気づくこともあります7。
症状があらわれる順番はあるの?
糖尿病の症状があらわれるのに、明確な順序はありません。そのため、糖尿病の初期はどのような症状があらわれやすいのかを理解し、受診のタイミングをご自身で判断する必要があります。
糖尿病の症状が進行し、合併症を発症する際には以下の症状があらわれるケースが多いです8。
糖尿病性神経障害 |
・感覚障害・歩行困難・下肢の激しい痛みを伴う・頻脈・起立性低血圧・尿失禁・消化不良・吐き気・下痢・便秘 |
糖尿病網膜症 |
・視力が著しく低下 |
糖尿病性腎症 |
・むくみ・貧血・高血圧・腎不全を引き起こす可能性あり |
(文献8を参考に表を作成)
女性はかゆみがあらわれることも
女性特有の初期症状として挙げられるのが、陰部のかゆみです。糖を貯蔵しておく場所のひとつである皮膚のなかの糖分が増えすぎると、汗の中の糖の値も高くなり、外陰部が刺激されます。するとカンジダ菌などの菌が繁殖しやすくなり、強い痒みを引き起こすと言われています9。
糖尿病の初期症状に気づくための検診
糖尿病を初期の段階で気づく手段に、定期的な検診や会社での健康診断があります。どちらも確定診断ではありませんが、ご自身の血糖値の状態を知る大切な手段です。
定期的な検診
定期的な健康診断で体重や血糖値をチェックすることで、糖尿病の早期発見につながります。
会社の健康診断
会社員などが受ける健康診断では、血糖値の検査結果が含まれていると思います。年齢によって検査項目を追加することもできるため、オプションで詳しく検査してもらうのもよいでしょう。
まとめ
糖尿病の初期症状は、自覚症状がほとんどありません。そのため、症状があらわれた頃にすでに進行している可能性があります。
定期的な健康診断を受けることが早期発見の鍵となりますが、普段の食生活に気をつけたりや運動習慣をつけることで予防することも可能です。
糖尿病の初期症状を知り、自分の状態と向き合った上で、糖尿病かもしれないと少しでも不安に感じることがあれば、医療機関の受診を検討しましょう。