「『介護日誌』~2014年暮れから正月へ~」認知症介護体験談
2014.12.3 老健入所している妻と私
持病のある私は、朝から倦怠感、足のむくみで体力・歩行力共に欠如し、週2回程の妻の施設通いも辛くなりました。時に電話で状況を尋ね、18日振りに行き、会う前にフロア責任者に様子を聞いた所、3日前突然奇声を上げて落ち着かない状態となり、今朝も頓服的に安定剤を投与したとの事。案じていた事が本物と知り、「なんの連絡もなかった!」と苦情を言いつつも、早速妻の元へ行きました。先に私の訪問を知った妻が満面の笑みを浮かべ、身を震わせるような姿でおり、「申し訳ない事をした」と滲む涙を抑えつつ、恥じらいもなく抱きしめてしまい、妻の激しい感情に手を添えて個室に連れて行った程でした。
介護する私の健康の影響
大声で訳も分からぬ事を懸命に話す態度に、否定も出来ずにしばらくうなずきながら対応を考慮。タイミングを見て『浜辺のうた』を歌うと驚き!目を見開き・首でリズムを取り・手をたたき出して一緒に歌いひと安心。童謡、唱歌等2~3曲歌い、おやつの時間のよしで終了。別人のように明るい表情に戻ってくれ安心。帰宅後電話で様子を聞くと、笑顔を浮かべテレビを見ているとの事。介護する立場の自分が健康でないと大変な迷惑をかけてしまうと改めて認識しました。
2014.12.26 思いも付かぬ事態
クリスマスも終わり今年もあとわずか、なんとなく気忙しく感じますが、何も出来ない自分に苛立ちを覚えます。
最近妻が男を見れば、“お父さん”と呼び、夜は就寝時間になると落ち着かずに廊下をうろつき、係員を悩ませる。私が行くと半分は訳の分からぬ言葉で大きな声で話す…等、変化が生じています。
昨日病院での診断、医師が言うには
・ 環境の変化が大きな要因と考えられるので、当面外泊は控える
・ 頓服用として安定剤を、また寝る前に睡眠剤を付与
したがって、今年は妻不在の正月となる、思いも付かぬ事態です。
2015.1.2 二人の正月
年末年始の外泊を断念しての寂しい新年でしたが、少量ずつおせちを詰め合わせ、施設に出掛けました。元気そうで何よりでしたが、寝る時間になってもなかなか寝付けないということです。部屋で早速おせちを振る舞った。一つ一つこれは何の料理だと聞いてみたが、首をひねり、“美味しい”の連発、その身振りが愛おしい。最後に…、これは?首をかしげるばかり、「お母さんの名前は?」、“カズコさぁ…あぁ、カズノコ!”、自分の名前は記憶にあるようだ。どうして色々な料理を食べてもらったか分かる? 今日は何日? と言い唄ってみた。「もういくつ寝ると…お正月」。「…あ、お正月だ」と、やっと分かってくれた。
○妻とのお付き合い
・ 微笑みながら目をみつめつつ話しかけ
・ 腹を立てずに根気よく叱らず怒らず
・ 常に穏やかな態度で接する
こんな事に気をつけ、悪化する自分の持病との闘いは気を使う。今年もこんな事の繰り返しだろうが、決して負けはしない、と改めて心に誓った。
「ぽ~れぽ~れ」通巻417号(2015年4月25日発行)