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認知症ケアパスとは|ご自身に適切な相談先やサービスを知るためのツール
更新日:2026-05-26

認知症ケアパスとは|ご自身に適切な相談先やサービスを知るためのツール

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「認知症ケアパス」とは何か?

認知症ケアパスは、認知症への備えの段階から、いつ・どこで・どんな医療・介護サービスを受けられるか、各市町村が地域の実情に合わせて作成したものです1

「地域包括ケアシステム」の一環として位置づけられています。「地域包括ケアシステム」とは、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供される仕組みのことです2。認知症ケアパスは、この仕組みを認知症のご本人やご家族にわかりやすく伝えるためのツールといえます。

認知症と診断されると、「これからどうなるんだろう」「どんなサービスが使えるのだろう」と不安を感じる方は少なくありません。しかし、認知症ケアパスを見れば、先の流れを把握でき、適切なサービスを選びやすくなります。

自治体によっては「認知症ガイドブック」「あんしんガイド」「認知症サポートブック」など、呼び名はさまざまです。いずれも、認知症と診断された場合の相談窓口や利用できるサービスなど、今後の生活に役立つ情報がまとめられています。

認知症ケアパスを持つメリット

認知症ケアパスを手元に置いておくと、次のようなメリットがあります。

病気の進行を見通せて、心の準備ができる

認知症は、どのような経過をたどるかは人によって異なります。ただし、大まかな「道筋」を知っておくことで、将来起こりうる変化に心の準備ができます。

「この段階になったらこういうサービスが使える」とご家族がわかっていれば、漠然とした不安は軽減されるでしょう。先の見通しが立つことで、精神的な負担も和らぐでしょう。

利用できる介護サービスや必要な情報がわかる

認知症ケアパスには、介護保険サービスだけでなく、地域の認知症カフェや家族会、見守りネットワーク、ボランティアによる支援など、さまざまな情報が掲載されています。

「こんなサービスがあったのか」と後から気づくことがないよう、早い段階で全体像を把握しておくことが大切です。知っているのと知らないのとでは、いざという時の選択肢は大きく変わります。

家族だけで抱え込まず、相談先とつながれる

認知症ケアパスを見れば、お住まいの地域の相談先がすぐにわかります。認知症に関する相談窓口は、地域包括支援センターやかかりつけ医、市区町村の窓口など複数あり、それぞれ役割が異なります。そのため、いざという時に「いったいどこに連絡すればよいか」と戸惑う方も少なくありません。認知症ケアパスには、こうした相談先が整理されているため、迷わず適切な支援にアクセスできるようになります。

認知症ケアパスの基本的な構成

認知症の進行度合いに応じて、利用できるサービスや支援を段階的に示しています。以下に例を提示します。

進行度合い

認知症の進行

状態の目安

主な対応・利用できるサービス

発症前〜初期

認知症の疑いがある状態。軽い症状はあるが日常生活は自立している状態

もの忘れが気になる、探し物が増える、同じことを何度も聞く

かかりつけ医・地域包括支援センターへの相談

軽度〜中等度

見守りがあれば日常生活は自立できる状態

料理の手順が分からなくなる、道に迷う、生活に支障が出始める

介護認定の申請、デイサービス・訪問介護の利用開始

中等度〜重度

日常生活にサポートや介護が必要な状態

ひとり歩き、排泄のトラブル、BPSDが目立ち始める

ショートステイの活用、施設入居の検討

重度

常に介護が必要な状態

寝たきり、言葉での意思疎通が難しくなる

療養型施設・介護施設での看取りケア、在宅訪問医療

(作成、監修:中谷ミホ)

※認知症の進行には個人差があります。あくまで一般的な目安であり、必ずしもこの通りの経過をたどるわけではありません。

認知症の発症前〜初期の内容

「同じことを何度も聞く」「探し物が増える」「あれ、それ、あの人など代名詞が増える」といった、もの忘れが気になり始める段階です。日常生活は概ね自立していますが、ご本人やご家族が「少し様子がおかしい」と感じ始めます。

この段階での早期発見・早期対応がとても重要です。認知症は早期に適切な対応を始めることで、進行を緩やかにしたり、ご本人らしい生活を長く続けられる可能性が高まります。

まずは、「かかりつけ医」や「地域包括支援センター」に相談してみましょう。

地域包括支援センターは、高齢者の保健医療・介護に関する総合相談窓口で、無料で利用できます。必要に応じて「もの忘れ外来」や「認知症疾患医療センター」などの専門医療機関を紹介してもらえるほか、医療・介護の専門職がご自宅を訪問して支援を行う「認知症初期集中支援チーム」につなげてくれる窓口にもなります。

地域包括支援センターの連絡先は、市区町村の広報誌やホームページで確認できますので、心配事があれば相談しましょう。

軽度〜中等度認知症の内容

料理の手順がわからなくなる、買い物で同じものを何度も購入する、外出先で道に迷うなど、記憶障害により日常生活に支障が出始める段階です。金銭管理や服薬管理が難しくなるほか、季節に合わない服を選んだり、身だしなみへの関心が薄れたりすることもあります。

この段階では、日常生活にサポートが必要になってくるため、介護保険サービスの利用を検討しましょう。市区町村の窓口で「要介護認定」の申請を行い、認定を受けるとケアマネジャー(介護支援専門員)がケアプランを作成してくれます。

利用できる主なサービスには、デイサービス(通所介護)や訪問介護(ホームヘルプ)があります。デイサービスは、日中に施設へ通い、レクリエーションや入浴、食事、排泄介助などを受けられるサービスです。ご本人の社会参加の機会となるだけでなく、ご家族の介護負担軽減にもつながります。

中等度〜重度認知症の内容

ひとり歩きや、排泄のトラブル、昼夜逆転などが見られるようになります。BPSD(行動・心理症状)が現れやすくなり、ご家族の介護負担が大きくなる時期です。

ご家族の休息(レスパイト)のために、ショートステイ(短期入所生活介護)の活用を検討しましょう。数日から数週間、施設に宿泊しながら介護を受けられるサービスです。ご家族が休息を取ることは、長く介護を続けるためにとても大切です。

また、在宅での介護が難しくなってきた場合は、グループホーム(認知症対応型共同生活介護)や特別養護老人ホーム(特養)など、施設への入居を検討する時期でもあります。ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談しながら、ご本人・ご家族にとって最善の選択を考えましょう。

重度認知症の内容

寝たきりの状態となり、言葉でのコミュニケーションが難しくなります。食事や水分を十分に摂れなくなることもあります。この段階では、ご本人の尊厳を大切にした看取りケアが中心となります。療養型施設や介護施設での看取り、または在宅での訪問医療・訪問看護を利用しながらの看取りなど、ご本人・ご家族の希望に沿った形を選ぶことができます。

ご本人の意思が明確なうちに「どこで最期を迎えたいか」「どのような医療を望むか」といった考えを確認し、ケアマネジャーや主治医と話し合いましょう3

認知症ケアパスの入手方法

地域によって配布場所は異なりますが、基本的には以下の場所で受け取れます。

  • ・市区町村役所の高齢者福祉課・介護保険課窓口
  • ・地域包括支援センター(高齢者総合相談センター)
  • ・自治体のホームページからのダウンロード
  • ・その他の行政施設や各支援窓口

多くの自治体はPDF版を公開しており、スマートフォンやパソコンからダウンロードできます。「○○市 認知症ケアパス」「○○市 認知症ガイドブック」などで検索してみてください。自治体によっては、市民(区民)センター、社会福祉協議会などでも配布しています。

まだ認知症ケアパスを作成していない市町村もありますが、厚生労働省の調査(2019年度)によると、全国の1,488市町村(作成率85.5%)で作成済みです。お住まいの地域の状況については、市区町村の高齢者福祉担当部局や地域包括支援センターにお問い合わせください。

認知症ケアパスを活用できる場面

家族で将来について話し合うとき

認知症ケアパスは、診断を受けてから使い始めるものと思われがちですが、ご本人が元気なうちから活用できます。

たとえば、自治体によっては、認知症ケアパスに、ご本人やご家族の「想い」を書き込む欄が設けられています4。「将来、どこで暮らしたいか」「どんな介護を受けたいか」「大切にしている価値観は何か」などを一緒に話し合うことで、自然と将来について考えるきっかけになるでしょう。

元気なうちに意向を共有しておけば、いざというときにご家族も判断しやすくなります。ぜひ認知症ケアパスを家族で話し合うきっかけとして活用してみてください。

受診・相談のきっかけとして活用

認知症ケアパスに「認知症の気づきチェックリスト」5を掲載している自治体もあります。

「ものを置いた場所がわからなくなることがありますか?」「今日が何月何日かわからなくなるときがありますか?」といった質問に答える形式で、初期の変化に気づくきっかけになります。受診や相談を検討する目安として活用するとよいでしょう。

ケアマネジャーに相談する時に持参

介護保険サービスを利用する際は、ケアマネジャーがケアプランを作成します。このとき、認知症ケアパスを持参して一緒に確認することで、今後の見通しや支援の方向性について共通認識を持ちやすくなります。ご家族の意向も伝わりやすくなり、一貫したチームケアを受けやすくなるでしょう。

まとめ

認知症の進行には個人差がありますが、大まかな「道筋」を知っておくだけでも、将来への不安は大きく軽減されます。認知症ケアパスは、いざというときに家族を支えてくれる「お守り」のような存在です。今すぐ必要でなくても、手元に用意しておくことで安心につながります。

お住まいの自治体のホームページや市区町村の窓口・地域包括支援センターなどで入手できますので、ぜひ一度、目を通してみてください。

参考文献

1, 厚生労働省:認知症ケアパス.
[https://www.mhlw.go.jp/content/000686391.pdf](最終閲覧日:2026年1月22日)
2, 健康長寿ネット:地域包括ケアシステムとは.
[https://www.tyojyu.or.jp/net/kaigo-seido/chiiki-shien/chiikihokatsukeashisutemu.html](最終閲覧日:2026年1月22日)
3, 厚生労働省:人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)してみませんか?
[https://www.mhlw.go.jp/stf/web_magazine/closeup/23.html](最終閲覧日:2026年1月22日)
4, 世田谷区:認知症あんしんガイドブック(認知症ケアパス)
[https://www.city.setagaya.lg.jp/02087/2941.html#p1](最終閲覧日:2026年1月22日)
5, 東京都福祉局:自分でできる認知症の気づきチェックリスト.
[https://www.ninchishounavi.metro.tokyo.lg.jp/kisochishiki/checklist/](最終閲覧日:2026年4月13日)

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