「脂質異常症の管理」認知機能を維持させるポイント
中年期の脂質異常症の管理は、認知機能低下や認知症発症のリスク低減につながることが示唆されており、「行ってもよい」としています。
中年期の悪玉コレステロール増は認知症発症につながるおそれあり
脂質異常とは、血液中の①LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)値が高い、②トリグリセライド(中性脂肪)値が高い、③HDLコレステロール(いわゆる善玉コレステロール)値が低い—この3種類です1。脂質異常症が進むと動脈硬化によって血管が狭くなり1、心臓の血管が詰まると心筋梗塞、脳の血管が詰まると脳梗塞を引き起こします。
中年期の高コレステロール血症は認知症と関連することが報告されており2,3、認知機能低下や認知症のリスクを抑えるためには、特に悪玉コレステロールの増加に注意する必要があります。
脂質異常症診断基準(空腹時採血)
- 高LDLコレステロール血症:LDLコレステロール値 140mg/dL以上
- 低HDLコレステロール血症:HDLコレステロール値 40mg/dL未満
- 高トリグリセライド血症:トリグリセライド値 150mg/dL以上
基本は食事療法と運動療法
<飽和脂肪酸を含む食品を摂り過ぎない>
悪玉コレステロールが増加する原因として、飽和脂肪酸が知られています。脂身のある肉・バター・生クリーム、動物性油脂を含むお菓子や加工食品を減らし、コレステロールを多く含む食品も食べすぎないように気をつけましょう1。コレステロールの排出を促す食物繊維の多い食品(玄米、納豆、野菜、海藻、こんにゃくなど)も積極的に摂りましょう。
中性脂肪の値が高くなる原因は、エネルギーの摂り過ぎです。特に甘いもの、揚げ物、アルコールなどの摂り過ぎに注意しましょう1。
<適正体重を達成・維持しましょう>
食事の改善と並行して運動を行い、適正体重までの減量・維持に取り組むことも大切です。大人の場合、「身長(m)×身長(m)×22」を適正な体重(kg)の目安にします4。
(参考文献)
1,厚生労働省e-ヘルスネット:脂質異常症
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-004.html(最終閲覧日:2021年12月8日)
2,Hersi M, et al. Neurotoxicology. 2017:143-187.
3,Reitz C. Curr Atheroscler Rep. 2013;15(3):307.
4,公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/koureisha-shokuji/tyojyu-eiyou.html(最終閲覧日:2021年12月8日)