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脳とアドレナリンの関係|役割・分泌メカニズムや過剰分泌・リスクを解説
更新日:2026-05-28

脳とアドレナリンの関係|役割・分泌メカニズムや過剰分泌・リスクを解説

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赤と黒のミットにパンチをする
そのもの忘れ、年齢のせい?それともMCI?

大切なプレゼンの前、あるいはヒヤリとした瞬間に心臓がドキドキして手に汗をかいた経験はありませんか。

こうした身体反応は交感神経が活性化することで生じており、その過程においてアドレナリンというホルモンが重要な役割を担っています。

アドレナリンは心臓や血管、気管支などに作用して、身体を緊急事態に対応できる状態にするホルモンですが、その分泌が過剰になったり不足したりすると、健康上のさまざまな問題につながることがあります。

この記事では、アドレナリンの基本的な仕組み、分泌のメカニズムから日常生活で心がけたいことまで、詳しく解説します。

アドレナリンとは

アドレナリンは、ドーパミンやノルアドレナリンとともにカテコールアミンと呼ばれるホルモンの一種です。

カテコールアミンは、ストレスや興奮に反応して分泌される物質のグループで、心拍や血圧、血糖値などの調節に深く関わっています1

主に副腎髄質から血液中に分泌されるほか、脳内では神経伝達物質としても働いています。医療現場ではエピネフリンと呼ばれることもあります。

アドレナリンは、アミノ酸の一種であるチロシンを原料として、ドーパミン→ノルアドレナリン→アドレナリンという順番で身体の中で作られます1

身体の働きを一定に保ち、生命を維持するための反応に欠かせない物質であり、危機的な状況や急なストレスに反応して分泌量が増えます2
危険を感じた時の身体の生理的な反応、いわゆる闘争・逃走反応(戦うか逃げるか)において中心的な役割を担っています2

アドレナリン分泌のメカニズム

アドレナリンが身体に作用する経路は大きく2つに分けられます。
1つはホルモンとして副腎髄質から血液中に分泌される経路、もう1つは神経伝達物質として一部の交感神経末端(アドレナリン作動性ニューロン)から局所的に放出される経路です。

ここでは、分泌に関わる器官、脳との関係、そしてノルアドレナリンとの違いについて説明します。

アドレナリンが分泌される器官

アドレナリンの大部分は副腎髄質で産生され、血液中に放出されます1

身体が危険やストレスにさらされると、交感神経の働きが高まり副腎髄質を刺激されて、チロシンからドーパミン、ノルアドレナリンを経てアドレナリンが合成、分泌されます2, 3

一方、脳の奥にある脳幹と呼ばれる部分でも少量のアドレナリンが作られており、神経伝達物質として脳内の情報伝達に関わっています。

アドレナリンと脳の関係

アドレナリンは、脳の働きにも影響を与えます。

副腎から血液中に分泌されたアドレナリンは、血液脳関門(血液から脳への物質の出入りを制限するバリア機能)があるため、脳には直接届きにくいことが知られています4

代わりに、アドレナリンは迷走神経という神経を刺激し、その信号が脳幹に伝わることで脳内のノルアドレナリンの放出が促され、間接的に脳の機能に影響を及ぼすと考えられています4

さらに、この迷走神経を介した経路が、感情を伴う体験の記憶の定着にも関わっていることが、動物実験やヒトを対象にした研究で示されています5

アドレナリンとノルアドレナリンの違い

アドレナリンとノルアドレナリンはどちらもチロシンから作られるカテコールアミンで、化学構造もよく似ています。
ノルアドレナリンにわずかな化学的変化(メチル基の付加)が加わったものがアドレナリンです1

両者はともにストレスへの対応に関わりますが、主な分泌場所や作用の特徴に違いがあります。

物質

アドレナリン

ノルアドレナリン

主な分泌場所1

副腎髄質、脳幹

交感神経のニューロン、

中枢神経、副腎髄質

主な働き

心機能亢進、血糖値上昇

気管支拡張など2

血圧上昇、基礎代謝の亢進
覚醒・集中力・意欲向上など2, 6, 7

(文献1,2,6,7より編集部作成)

アドレナリンの主な役割

アドレナリンは、身体がストレスや危険にさらされたときに、複数の臓器に対して素早く作用し、身体機能を一時的に高める役割を果たします。

また、ノルアドレナリンの働きを活発にする作用もあるため、脳の覚醒や集中力にも間接的に影響を及ぼします。アドレナリンの主な作用を紹介します。

心臓の機能を高める(血圧の上昇)

アドレナリンは心臓のβ1受容体(アドレナリンの信号を受け取るタンパク質)に結合して心拍数を速め、1回の拍動で送り出す血液の量を増やします2

その結果、心臓のポンプ機能が高まって血圧が上昇し、筋肉などの末梢の組織へ酸素や栄養がより多く届くようになります2

血糖値上昇(エネルギーの供給)

アドレナリンは肝臓や筋肉でエネルギー源となるグリコーゲンの分解を促し、血中の糖分(グルコース)を増加させます8

これにより、脳や筋肉に素早くエネルギーを供給できるようになります。低血糖のときに血糖値を回復させる仕組みとしても重要な役割を果たしています8

気管支拡張(酸素を取り込む量の増加)

アドレナリンは、肺や骨格筋、血管にあるβ2受容体を活性化し、気管支平滑筋をゆるめて気道を広げる働きを持っています2
これにより、より多くの酸素を肺に取り込めるようになります。この気管支拡張作用は、喘息発作時の治療にも活用されています9

消化機能の抑制(エネルギーの有効活用)

アドレナリンは消化管への血流を減少させ、消化活動を遅らせる働きがあります。これは、緊急時に消化よりも心臓や筋肉などへの血流を優先的に確保するための仕組みです2

アナフィラキシー治療

アドレナリンは治療薬としても使われます。
アナフィラキシー(重度のアレルギー反応)では、気道がむくんで狭くなったり血圧が急激に低下したりしますが、アドレナリンを筋肉に注射することで血管を収縮させ、気管支を広げて、呼吸や血液の循環を回復させることができます9

「エピペン」の名前で知っている方もいるかもしれませんね10

感情的な記憶の定着

恐怖や感動を伴う出来事が、普段の出来事より強く記憶に残った経験はないでしょうか。

動物実験やヒトを対象にした研究では、アドレナリンが迷走神経を介して脳内のノルアドレナリンの働きを活発にし、感情に関わる脳の領域(扁桃体)に作用することで、感情を伴う体験が長期記憶として定着しやすくなる可能性が示されています5

また、ノルアドレナリンに作用するため、ノルアドレナリンの働きである集中力アップや脳の覚醒にも間接的に関わっています。

アドレナリンが不足・分泌量が減る原因と影響

副腎の病気などで副腎の機能が低下すると、アドレナリンの分泌も減少することがあります。
アドレナリンを含めたカテコールアミンの分泌量が減ると、さまざまな影響が出ると考えられています。主なものを見てみましょう。

低血圧

アドレナリンはノルアドレナリンとともに、血管を収縮させたり心拍数を増やしたりすることで血圧を保つ働きをしています。これらの分泌が低下すると血圧が下がりやすくなります。

この自律神経の調節に機能異常が生じて交感神経の活動が低下すると、血圧の維持がうまく働かなくなり、立ちくらみの原因となる起立性低血圧が起こることがあります10

重度の場合には失神や転倒につながり、ケガや事故など日常生活に大きな影響を及ぼすこともあります。

無気力・抑うつ状態

アドレナリンは身体だけでなく、脳の中でも神経伝達物質として働いており、行動を起こすための仕組みに関わっています。
脳幹にはアドレナリンを使って他の神経細胞に信号を伝える細胞があり、これらが身体を動かそうとする働きを調節しています。

この脳内アドレナリンの仕組みがうつ病の患者で機能低下していること、そして複数の抗うつ薬がこの仕組みを回復させることが報告されています11
アドレナリンの分泌が慢性的に減少すると、こうした脳の活性化が弱まり、無気力につながる可能性があります。

集中力の低下

アドレナリンは、脳の集中力を支えるノルアドレナリンの働きを間接的に後押ししている可能性があります。
脳の覚醒や注意の持続に中心的な役割を果たしているのはノルアドレナリンですが、副腎から血液中に分泌されたアドレナリンは迷走神経を刺激し、その信号が脳幹に伝わることで脳内のノルアドレナリンの放出を促す可能性が示唆されています4

副腎の機能が低下してアドレナリンの分泌が減ると、こうした間接的な経路を通じて脳の覚醒や注意の維持にも影響が出る可能性が考えられます。

アドレナリンが過剰に分泌された場合のリスク・悪影響

アドレナリンを含むカテコールアミンの分泌が過剰になると、身体に負担がかかって悪影響を及ぼすことがあります。

心臓への負担

アドレナリンを含むカテコールアミンが過剰分泌すると、心拍数と血圧が急激に上昇し、心臓の筋肉が必要とする酸素の量が大幅に増えます12

その結果、心臓の筋肉に十分な血液が届かなくなる心筋虚血や、脈が乱れる不整脈が起こりやすくなります12

また、アドレナリンを含めたカテコールアミンが心臓に持続的に作用すると、心臓の筋肉が傷つき、心筋症や心不全へと進展することも報告されています12

高血糖

アドレナリンには血糖値を急激に引き上げる作用があり、カテコールアミンのなかで糖代謝への影響が強いことが知られています13

アドレナリンが過剰に分泌されると、肝臓でのグリコーゲン分解や糖新生(アミノ酸などから新たにブドウ糖を作り出す仕組み)が促進されるとともに、インスリンによるグリコーゲンの合成(糖の貯蔵)が抑制され、血糖値が急上昇します13

短期的には、エネルギー(ブドウ糖)が増え、頭や身体のパフォーマンス向上に役立ちますが、慢性的なストレスによるアドレナリンの過剰分泌は、血糖コントロールにも悪影響を及ぼし、血管疾患や免疫力の低下などにつながる可能性があります。

慢性疲労

アドレナリンはストレスへの対応に欠かせないホルモンですが、慢性的なストレスでアドレナリンの分泌が長期間にわたり高い状態が続くと、心血管系や免疫系などにさまざまな悪影響を及ぼす可能性が報告されています4
また、慢性疲労症候群の患者では、安静時のアドレナリンの血中濃度が健常者よりも低く、運動に対するアドレナリンの分泌反応も鈍くなっていることが示されています14
このようなアドレナリンの調節異常が、慢性的な疲労感に関わっている可能性があります。

睡眠の質の悪化(不眠・睡眠不足)

アドレナリンの血中濃度は睡眠と覚醒のリズムに連動しています。
ある研究では、睡眠中にアドレナリンの血中濃度が有意に低下し、朝の目覚めとともに上昇することが示されています15
一方で、夜間に目が覚めたときにはアドレナリンの血中濃度が有意に上昇することも報告されています16

慢性的なストレスなどでアドレナリンの分泌調節が乱れると、昼間なのに元気がでなかったり夜なのに目が冴えて眠れないなど、睡眠の質や生活リズムにも影響が及ぶ可能性があります。

アドレナリン分泌の増やし方・ホルモンバランスを整えるポイント

アドレナリンの分泌を適切に保つために、日常生活で心がけると良いことがあります。

ホルモンバランスを整えるための具体的な方法をご紹介します。

適度な運動

適度な運動を習慣化することは、ストレス時のアドレナリンの過剰な分泌を和らげるのに役立つ可能性があります。

運動を習慣的に続けると、同じ強度の負荷に対するカテコールアミンの分泌反応が穏やかになっていくことが報告されています17
目安としては、週150分程度(1日20〜30分程度)の中等度の有酸素運動が推奨されています17

具体的には、散歩や軽いジョギング、サイクリングなどを、少し息が弾むくらいの強度で行うのがポイントです20
日常生活の中で取り入れやすいものから始めてみましょう。

食生活の見直し

日常の食事や飲み物は、アドレナリンの分泌に影響を及ぼすことがあります。
たとえばカフェインを摂取すると、血中のアドレナリン濃度が一時的に大きく上昇することが報告されています18。アルコールについても、摂取後にアドレナリンの血中濃度が相対的に上昇することが示されています19
日常的にこれらの嗜好品を多量に摂る習慣がある方は、アドレナリンの過剰な変動を招きやすくなる可能性があるため、量を意識してみるとよいかもしれません。

また、アドレナリンが身体の中で正常に合成されるためには、その材料となるチロシン(アミノ酸)のほか、合成過程で必要なビタミンB6やビタミンCなどの栄養素を食事からしっかり摂ることも大切です。

ストレスコントロール

日々のストレスをゼロにすることは難しいですが、意識的に心身をリラックスさせる時間をつくることが、アドレナリンの分泌を穏やかにする上で役立つ可能性があります。

瞑想を継続的に行った群では血中のアドレナリン濃度が低下し、その効果が8ヶ月後まで持続したという報告があります20
また、12週間のヨガプログラムでも血漿アドレナリンの低下が確認されています21。自分に合った方法で、日常の中にリラックスできる時間を取り入れてみましょう。

アドレナリンに関するよくある疑問

アドレナリンに関して、よく聞かれる疑問についてご紹介します。

アドレナリンの別名は?エピネフリンとの違いは?

アドレナリンは「エピネフリン」とも呼ばれることがありますが、同じ物質を指します。化学構造や作用に違いはありませんが、国によって呼び方が異なります。

厚生労働大臣が定める「日本薬局方(2006年第15改正)」で、日本ではアドレナリンが正式名称となりました。一方、アメリカでは「エピネフリン」という呼称が主流です1

アドレナリンの分泌を促す食べ物やサプリメントはある?

アドレナリンの分泌量を増やす食べ物として、現時点で学術的に裏付けされたものはありません。

ただし、アドレナリンの材料になる栄養素や、合成を助ける栄養素を食事から十分に摂ることは、身体の中で正常にアドレナリンが作られるために重要です。

栄養素

豊富な食品22

チロシン

卵白、かずのこ、大豆、鰹節、チーズなど

ビタミンB6

唐辛子、にんにく、バジル、パセリなど

ビタミンC

アセロラ、青汁、グァバ、赤ピーマンなど

(文献25を参考に編集部作成)

まとめ:アドレナリンは危機的な状況に対応するために欠かせない!規則的な生活で整えよう

アドレナリンは、ストレスや危機的な状況に対応するために欠かせないホルモンです。

心機能を高めたりや血糖値の上昇など、ノルアドレナリンと共に身体能力を高める重要な役割を持っていますが、過剰や不足は心身に悪影響を与えます。

適度な運動やバランスの取れた食生活、ストレスコントロールを心がけることで、アドレナリンの分泌を適切に保ち、心身の健康を維持していきましょう。

参考文献

1, 徳岡 宏文, 他:アドレナリン. 脳科学辞典. [https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%82%A2%E3%83%89%E3%83%AC%E3%83%8A%E3%83%AA%E3%83%B3](最終閲覧日:2026年5月14日)
2, Khalil B, et al:Physiology, Catecholamines. StatPearls [Internet]. [https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK507716/](最終閲覧日:2026年5月14日)
3, 尾仲 達史:ストレス反応とその脳内機構. 日本薬理学雑誌.2005;126(3):170-73.
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21, Lim SA, et al:Regular yoga practice improves antioxidant status, immune function, and stress hormone releases in young healthy people: a randomized, double-blind, controlled pilot study. J Altern Complement Med. 2015;2:530-538.
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