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ひどいもの忘れの原因は認知症?加齢と病気の違いや医療機関受診の目安・チェックリストを紹介
更新日:2026-04-14

ひどいもの忘れの原因は認知症?加齢と病気の違いや医療機関受診の目安・チェックリストを紹介

何をしようとしたか思い出せない状況
そのもの忘れ、年齢のせい?それともMCI?

「先日会った人の名前を思い出せない」といったような「もの忘れ」は、認知症だけが原因で起こるとは限りません。

自然に起きるもの忘れと、病気などが背景にある記憶障害の原因を知れば、対策できることがあります。

本記事では、もの忘れがよく起こるようになって病気や認知機能の低下が心配な人向けに、もの忘れが起こるさまざまな原因や受診の目安について解説します。

もの忘れが起きる原因

もの忘れは、加齢や記憶に関わる脳の働きが低下するほか、睡眠不足や薬の影響などのさまざまな原因で起こります。

特に働き盛りの30~50代は、日頃から膨大な情報を処理したり、マルチタスクを行ったりすることが多く、気が付かないうちに脳が疲れてしまうことがあります。

「自分には関係ない」と思わず、思い当たることがないかチェックしてみましょう。ここでは、もの忘れが起きるさまざまな原因をご紹介します。

加齢による自然な記憶力の低下

年齢とともに、脳は少しずつ萎縮します。
これは脳細胞の減少による自然な変化ですが、記憶力を含めた認知機能が低下する原因になります。

個人差はありますが、特に80歳以上などの高齢になると、脳の萎縮ともの忘れの関係性が強くなることが示されています1

加齢によるもの忘れは、複数の要素が関わって起こると考えられています2。代表的なものには、次のようなものがあります。

  • ・情報を得る際に必要な集中力の低下
    ・情報を思い出す力の低下
    ・思い出した内容の正しさを確認し、間違いに気づく力の低下
    ・記憶を整理する力の低下による情報の混同

加齢に伴う「もの忘れ」は誰にでも起る可能性があり、一部の出来事を忘れる、ヒントがあれば思い出せる、というのが特徴です3

ストレスや疲労(脳疲労)による脳機能の低下

心身のストレスが記憶に影響を与えることがあります。

ストレスを感じたときに体内で分泌されるホルモンが、記憶や学習を司る脳の「海馬」の働きを変化させることが分かってきました。特に強いストレスがかかると、記憶の処理だけでなく脳機能全体のバランスを崩す原因になります4

また、膨大な情報を適切に処理できない「情報過多」の状態も脳のストレスの原因になることもわかっています5

心身へのストレスや情報が多すぎると、脳に負担がかかり記憶力の低下に影響します。

睡眠不足

睡眠不足は、記憶や学習の定着、認知機能の制御に悪影響を及ぼすことが知られています。

現時点ではっきりした理由はわかっていませんが、睡眠不足になると脳の神経細胞が変化して、長期記憶の定着を妨げるためと考えられているためです。
また、睡眠の深さが記憶の定着に重要で、長期記憶の形成に関わることが示唆されています6

「徹夜の勉強」「寝る間も惜しんで仕事する」といったことは逆効果で、適度な睡眠時間をとるほうが効率的です。

マルチタスクや脳への負荷の高い作業

同時に複数の作業を行う「マルチタスク」は、脳に高い負荷をかけ、記憶力に影響を与えます7

デジタル機器を使いながらマルチタスクを行うと、短期記憶で大事な情報があいまいになったり、十分に記憶できなかったりするため、「もの忘れ」が起こったように見えることがあります。
負荷が高い状態では、記憶に残りづらく、あとで思い出しづらくなるのです。

また、日常的にマルチタスクを行っていると、気が散りやすくなり、短期記憶できる量が減って長期的な記憶力の低下にもつながることが示されています8

スマホでSNSを見ながらテレビを観る、などはついやってしまいがちですが、記憶力の低下につながるので避けましょう。

アルツハイマー病や甲状腺機能低下症など疾患の影響

もの忘れが日常生活に支障をきたすほど顕著に生じる状態を認知症といい、アルツハイマー型認知症や血管性認知症など、脳の疾患が記憶障害を引き起こします9

脳の疾患の他、うつ病や、甲状腺機能低下症、ビタミンB欠乏症などでも、もの忘れや認知症の症状があらわれることがあります。
もの忘れの背景には、意外な病気が隠れていることがあるため、もの忘れが気になる場合は一度医療機関を受診してみましょう。
また、疾患によるもの忘れの中には、適切な治療によって回復が期待できるもの忘れもあります10,11

もの忘れが生じる疾患と症状

もの忘れが起こる病気にはいろいろなものがあり、症状が進行するものもあれば、適切な処置で改善する場合もあります。

ここでは、もの忘れが起こる可能性がある病気や症状について、詳しくご紹介します。

治る可能性がある・一時的なもの忘れが生じる病気や障害

認知症ではない別の病気が原因でもの忘れが生じることがあります。適切な治療で改善の可能性がある状態です。
以下に、代表的なものをご紹介します。

病気や障害

もの忘れの症状

正常圧水頭症

髄液の圧が正常範囲にも関わらず、髄液が脳室に溜まり脳を圧迫する病気。

もの忘れ、意欲や反応の低下などの認知症の症状のほか、歩行障害や尿失禁の3つの症状が典型的と言われている12

慢性硬膜下血腫

脳の表面と頭蓋骨の間の「硬膜」の下に血液がたまる病気。溜まった血液が脳を圧迫して、ぼんやりする、もの忘れがひどくなる、といった症状が起こる。だんだん血が溜まるので、症状も徐々に出てくることが多い13

ビタミンB欠乏症

種類によって、代謝障害が起こって認知機能に影響する。ビタミンB1の欠乏では、最近のことほど覚えていられない、ある時点より後のことを新しく覚えられない、嘘をつくつもりはないのに実際には起きていないことを話す、といった症状が特徴。

ビタミンB12の欠乏では、全体的に考えるのが遅くなる、情報を覚えにくい・思い出しにくくなる、注意力や集中力が低下する、といった症状が特徴的14

甲状腺機能低下症

橋本病などで甲状腺ホルモン値が異常になると、認知機能が幅広く障害され、特に記憶障害や言語障害が多く発症する。甲状腺機能低下症の種類によっては、抑うつ症状や不安を認めることがある14

(文献12,13,14を参考に編集部作成)

仮性認知症が生じる病気や障害

うつ病などの精神的な病気が原因で、思考力が低下して認知症のように見える「仮性認知症」を発症することがあります。

病気や障害

もの忘れの症状

うつ病

意欲や集中力が低下して記憶力が低下したように見えることがあるが、実際はよく覚えている。

認知症の初期もうつ病のような症状が出ることがあり、区別が難しい場合がある15

意識障害・せん妄

高齢者に起こる頻度が多く、ほかの病気や薬など、さまざまな原因で起こる。

適切な対応で数日〜数週間で改善する。抑うつ、不安などの症状が出ることがある。認知症と合併することが多い16,17

統合失調症

日常生活で理解力が低下したり、記憶力が低下したりすることがある18

(文献15,16,17,18を参考に編集部作成)

認知機能が低下・失われる病気や障害

病気による認知機能の低下は、自覚の有無や生活への影響度合いが単なる「もの忘れ」とは異なります。
早期発見で、適切な対処が求められます。

病気や障害

もの忘れの症状

アルツハイマー型認知症

最初に記憶障害が起こり、だんだん物事を計画的に進められなくなる(実行・遂行機能障害)、自分のいる場所がわからなくなる(見当識障害)などが現れる19

血管性認知症

脳血管が障害された場所によって、認知症、言語障害などさまざまな症状が現れる。進行すると、手足の麻痺や嚥下障害なども見られることがある20

パーキンソン病

動作が鈍くなったり、転びやすくなったりする身体症状に加えて、記憶、注意、遂行機能などの認知機能の障害が起こることがある21

(文献19,20,21を参考に編集部作成)

認知症のなかでも、65歳未満で発症するものを「若年性認知症」といいます。働き盛りや子育て中に発症すると生活への影響が大きいため、早めの発見と対策が大切です。

認知症と加齢によるもの忘れの違いと受診の目安

自分やご家族などの認知症を疑った場合、医療機関を受診するべきか悩む人もいるでしょう。

ここでは、認知症と加齢の「もの忘れ」の違いと医療機関を受診すべきか判断するポイントをご紹介します。
病的なものかどうか判断に迷った時に参考にしてください。

認知症と加齢による自然なもの忘れを見極めるポイント

認知症と加齢による自然なもの忘れの違いには、以下のような特徴があるとされています。原因に加えて、もの忘れが影響する範囲や程度が異なります。

認知症によるもの忘れ

加齢による自然なもの忘れ

  • ・脳の機能が持続的に低下する
  • ・日常生活や社会生活に支障が出る
  • ・体験そのものを忘れる
  • ・もの忘れの自覚がない
  • ・進行する
  • ・時間や場所がわからない、物事を計画的に実行する、言語障害なども一緒に起こってくる10,22
  • ・加齢による記憶力の低下が原因

  • ・体験の一部を忘れる

  • ・ものを置き忘れる

  • ・人の名前が思い出せない

  • ・もの忘れをしている自覚がある

  • ・進行する場合は非常にゆっくり10,22

(文献10,22を参考に編集部作成)

認知症・認知機能のチェックリストと受診の目安

ここでは、認知症・認知機能のチェックリストの一部をご紹介します。

    1. 1. 周りの人から「いつも同じ事を聞く」などのもの忘れがあると言われますか?
      2. 財布や鍵など、物を置いた場所がわからなくなることがありますか?
      3. 5分前に聞いた話を思い出せないことがありますか?
      4. 言おうとしている言葉が、すぐに出てこないことがありますか?
      5. バスや電車、自家用車などを使って一人で外出できますか?

当てはまったら即座に認知症、というものではありません。
一方で、「できない」「当てはまる」項目が多いほど、認知機能が低下し日常生活に影響している可能性があります。

もし心配になったら、専門の医療機関に一度相談してみるのもいいでしょう。

心配なもの忘れは何科を受診すべき?

もの忘れの症状のために医療機関を受診する場合、「もの忘れ外来(メモリークリニック)」や「認知症外来」を受診しましょう。認知症の診療に詳しい医師が在籍しています。

また、脳神経外科・脳神経内科でも診療を行っています。うつやストレスなどの精神的な症状もある場合は、精神科や心療内科の受診でも大丈夫です。

かかりつけ医がいれば、相談して適切な診療科への紹介状をもらってもいいでしょう。

医療機関を受診した場合、次のような検査が行われ、適切な診断につなげられます23

  • ・会話しながら行う神経心理検査
    ・MRIやCTなどの画像検査
    ・ホルモンや脂質、肝機能などを調べる血液検査

もの忘れは、認知症だけでなく、意外な病気が背景にある可能性があります。
早期の治療で症状が改善したり、逆に治療が遅れることで悪化したりするため、できるだけ早めに医療機関を受診しましょう。

認知機能の維持・認知症予防につながる生活習慣

認知機能を保つために、普段から取り入れられる生活習慣があります。いずれも、科学的な根拠が示されているものです。
すぐにできるものをご紹介しますので、ぜひ行ってみてください。

  • ・食事やサプリメントから、DHA/EPAなどのオメガ3脂肪酸を摂取する24
    ・野菜や果物から、ビタミンCなどの抗酸化物質を摂取する25
    ・1回20~30分の有酸素運動(ウォーキング、エアロバイクなど)を行う26
    ・できれば、ランニングなどペースが自分で調節できる運動よりもテニスや卓球など、・動きがあって予測が難しいスポーツを行う27
    ・社会的な関わりや社会活動に積極的に参加し、周囲の人たちとコミュニケーションをとる28

まとめ:もの忘れは病気が原因のこともある!気になったら早めの相談を

「最近、もの忘れがひどくなった」と感じるのは、脳の認知機能に変化が起こっているサインです。
加齢によるもの忘れは誰にでも起こる現象ですが、「歳のせい」だけが原因ではないと感じた場合、背景に病気が隠れていることがあります。

脳にストレスがかかるような生活習慣を見直しつつ、必要だと感じたら専門の医療機関を受診してみましょう。原因を早めに特定して早めに対処できれば、改善できる・進行を遅らせられる可能性があります。
自分らしく、健康的に過ごすため、できることから始めてみましょう。

もの忘れが気になったら専門家に相談してみよう

もの忘れが気になったら、専門の医療機関の受診も検討してみましょう。

病気が原因の場合は、適切な医療やサポートが必要になることもあります。
早めの対処が、症状の改善や、進行の抑制につながることもあるので、専門家に相談してみましょう。

参考文献


1, Didac Vidal-Piñeiro, et al: Vulnerability to memory decline in aging revealed by a mega-analysis of structural brain change. Nat Commun. 2025;16:11488.
2, M Karl Healey, et al: A Four–Component Model of Age–Related Memory Change. Psychol Rev. 2015;123(1):23–69.  
3, 日本老年医学会: 改訂版 健康長寿診療ハンドブック. [https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/publications/other/pdf/handbook2019] (最終閲覧日:2026年2月23日)
4, Lars Schwabe:Memory under stress: from single systems to network changes. Eur J Neurosci. 2017;45(4):478-489.
5, Benedikt Graf,et al:Drowning in the flood of information: a meta-analysis on the relation between information overload, behaviour, experience, and health and moderating factors.  
6, Taehyun Kim, et al:The Common Effects of Sleep Deprivation on Human Long-Term Memory and Cognitive Control Processes. Front Neurosci. 2022;16:883848.
7, Timothy K Lam, et al: The brain under cognitive workload: Neural networks underlying multitasking performance in the multi-attribute task battery. Neuropsychologia
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8, Melina R Uncapher, et al: Media multitasking and memory: Differences in working memory and long-term memory. Psychon Bull Rev. 2016;23(2):483-90.
9, 政府広報オンライン:知っておきたい認知症の基本. [https://www.gov-online.go.jp/article/202501/entry-7013.html](最終閲覧日:2026年2月23日)
10, 内閣府政府広報室:知っておきたい認知症の基本. 政府広報オンライン. [https://www.gov-online.go.jp/article/202501/entry-7013.html](最終閲覧日:2026年2月23日)
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13, 日本脳神経血管内治療学会:慢性硬膜下血腫. [https://jsnet.website/public/chronic-subdural-hematoma/](最終閲覧日:2026年2月23日)
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18, 国立精神・神経研究センター:統合失調症. こころの情報サイト. [https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=tQtLd1xVUp1wHJMQ](最終閲覧日:2026年2月23日)
19, 認知症介護研究・研修大府センター:若年性認知症支援ガイドブック 改訂版. 一誠社. 9-11.
20, 日本神経学会:血管性認知症. [https://www.neurology-jp.org/public/disease/vascular.html](最終閲覧日:2026年2月23日)
21, 柏原 健一:Parkinson病の認知症治療. 日内会誌. 2015;104:1565~1571. 
22, 国立長寿医療研究センター:もの忘れと認知症の違いはどのようなものでしょうか?. [https://www.ncgg.go.jp/dementia/about/007.html](最終閲覧日:2026年2月23日)
23, 水野 裕:もの忘れ外来って何?.認知症介護情報ネットワーク. [https://www.dcnet.gr.jp/about/monowasure03.php](最終閲覧日:2026年2月23日)
24, Bao-Zhen Wei, et al:The Relationship of Omega-3 Fatty Acids with Dementia and Cognitive Decline: Evidence from Prospective Cohort Studies of Supplementation, Dietary Intake, and Blood Markers. Am J Clin Nutr. 2023;117(6):1096-1109.
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26, J Eric Ahlskog, et al:Physical Exercise as a Preventive or Disease-Modifying Treatment of Dementia and Brain Aging. Mayo Clin Proc. 2011;86(9):876–884.
27, Takao Yamasaki:Preventive Strategies for Cognitive Decline and Dementia: Benefits of Aerobic Physical Activity, Especially Open-Skill Exercise. Brain Sci. 2023;13(3):521.
28, Pallavi Joshi, et al:Int Psychogeriatr. 2024;36(2):92-118.

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