認知症でも一人暮らしを続けるには?リスク・支援サービス・限界の判断軸
一人暮らしの家族が認知症と診断されると「この先も一人で暮らせるのだろうか」と心配になる人は多いでしょう。
認知症の人でも、症状が軽く、本人の力と周囲の支援によって一人暮らしを続けられる場合があります。一方で、もの忘れなどによる火災や服薬ミス、ひとり歩きなど、生活上のリスクに注意が必要です。
認知症で一人暮らしが可能なのか、直面するリスクや活用したい支援サービス・制度、生活上の工夫などを越後谷直子先生(緑園ストレスケアクリニック院長)が解説します。
この記事でわかること
認知症当事者はいつまで一人暮らしを継続できるかの目安
認知症当事者の一人暮らしの注意点と対策・生活の工夫
認知症当事者が一人暮らしをする際に検討したいサービスや制度
高齢者の独居の実態
日本では高齢化に伴い、高齢の一人暮らしも増えています。
65歳以上の一人暮らしの人の割合は年々増加している
内閣府が発表している「令和8年版高齢社会白書」によると、65歳以上の人口における一人暮らしの人の割合は、2020年時点で男性は15.0%、女性は22.1%となっています。
一人暮らしの割合は今後も増加が予想されており、2050年には男性は26.1%、女性は29.3%と、3割近くの方が一人暮らしになると推計されています。
性別 | 2020年(実績値) | 2050年(推計値) |
|---|---|---|
男性 | 15.0% | 26.1% |
女性 | 22.1% | 29.3% |
65歳以上の一人暮らしの者の動向(文献1を参考に作成)
高齢になるほど一人暮らしは難しくなる
高齢になるほどさまざまな理由から自立した生活が難しくなり、一人暮らしを続けられなくなります。
認知機能の低下や認知症も、一人暮らしを中断する要因の1つです。
令和4年における認知症の高齢者数は443.2万人(有病率12.3%)、MCI(軽度認知障害)の高齢者数は558.5万人(有病率15.5%)と推計されており、高齢者人口の増加に伴って認知機能の低下を抱える人も増えると予想されています。
独居高齢者を担当した介護支援専門員への調査では、認知症の有無にかかわらず、平均83〜84歳で一人暮らしを中断していたことが報告されています。
今後も高齢者の増加に伴い、認知症の方が増えることが予想される中、高齢者の生活の自立や支援のあり方が身近な課題となっています。
認知症でも一人暮らしは可能?日常生活の自立度で考える一人暮らし継続判断の目安
認知症になったからといってすぐに一人暮らしができなくなるわけではありません。認知症の程度や環境によっては、一人暮らしが可能なこともあります。
一方で、認知症が進行し日常生活に支障をきたすようであれば、追加の支援や一人暮らしの中止を検討する必要があります。
ここでは、認知症高齢者の日常生活の自立度を参考に、一人暮らし継続の判断目安を考えてみましょう。
自立できていれば一人暮らしの継続は可能(目安:認知症高齢者の日常生活自立度ランク1)
認知症高齢者の日常生活自立度ランク1は、家庭内や社会的に日常生活がほぼ自立できている状態です。
何らかの認知症を有していても、日常生活に大きな支障がなく、トラブルなく自立できる状態であれば一人暮らしも可能でしょう。
日常生活に支障が出たら要注意(目安:認知症高齢者の日常生活自立度ランク2以上)
認知症高齢者の日常生活自立度のランクが2以上になると、認知症の進行により日常生活に支障が出始めるため、一人暮らしを継続できるかどうかの再検討が必要です。
この段階では、道迷いが増えたり金銭管理や服薬管理ができなくなったりするため、行方不明や金銭トラブル、服薬管理の不備による健康悪化など、当事者の安全な生活を脅かすリスクが高まります。
安全に一人暮らしを継続するには、家族の協力や自治体・介護サービスの利用も含め、本人の変化に気づき、サポートできる見守り環境を整えることが重要です。
自立困難になる前に一人暮らしの見直しを(目安:認知症高齢者の日常生活自立度ランク3〜M)
認知症高齢者の日常生活自立度が3以上の場合は、一人暮らしは難しくなります。
このランクになると日常生活に支障が出るだけではなく当事者の命に関わる危険も高まるほか、程度によっては常に目を離すことができない状態になるためです。
例えば、着替えや食事、排便などの日常的な動作がうまくできない、火の不始末などが見られるようになります。
これらの症状が見られる場合は、在宅介護や施設入居への切り替えを進めましょう。
- 越後谷先生

認知症の方が一人暮らしをする場合には、現状の自立度に関わらず症状の進行に備え、家族などによる見守りが必要と考えます。本人の生活の自立を尊重しつつ、安全に過ごせる環境を整えてください。
認知症の一人暮らしで直面する主なリスク

認知症の一人暮らしでは、生活のさまざまな場面で問題が起こる可能性があります。
場合によってはご本人の健康や身体にも悪影響を及ぼすことがあるため、事前の対策が重要です。認知症の一人暮らしで直面しやすい主なリスクを紹介します。
火災・事故のリスクと家族の監督責任
認知症の一人暮らしで注意したいのが、火災や事故です。
令和6年中に発生したコンロによる火災は2,718件で、そのうち「放置する、忘れる」ことが原因となったものが1,067件と最多でした。
認知症が進むと、火を使ったこと自体を忘れる、途中で別のことに気を取られるといった場面が増えるため、消し忘れは起こりやすくなります。ストーブやアイロンのつけっぱなしも同様です。
火災が起きたときの危険も、高齢になるほど高まります。同じく令和6年中の住宅火災による死者1,030人のうち、65歳以上が779人と全体の75.6%を占めており、死に至った経過では「逃げ遅れ」が最も多くなっています。
出火を防ぐ工夫に加えて、火災警報器が作動する状態か、逃げ道に物が積まれていないかも確認しておきましょう。
事故が起こると、場合によっては家族の監督責任が問われることがあります。過去に、認知症のある高齢者が線路内に立ち入って列車と衝突し、鉄道会社が家族に損害賠償を求めた裁判がありました。この事案では家族の賠償責任は認めませんでしたが、損害の内容や状況的に責任が認められる場合には、賠償が求められる可能性があります。想定されるリスクを踏まえ、事故そのものを防ぐ備えが大切です。
ひとり歩きによる行方不明と熱中症・低体温症のリスク
ひとり歩きは、行方不明や熱中症・低体温症などにつながるリスクがあります。
ひとり歩きは認知症でよく見られる症状の1つで、自宅を自分の家だと認識できずに外に出る、退職した会社に出勤しようとするなどのケースが見られるのが特徴です。警察庁の発表によると、令和7年に認知症を原因・動機とした行方不明者は17,345人で、行方不明者全体の21.6%に上ります。
また、ひとり歩きだけではなく、季節に合わせた服装選びができないことで夏場には熱中症、冬には低体温症などにつながる可能性があります。
詐欺・悪質商法・資産凍結などの金銭トラブル
認知症によって判断力や記憶力が低下すると、詐欺や悪質商法などの被害に遭う可能性が高まります。
契約内容を十分に理解できないまま商品やサービスを購入する、同じ商品を繰り返し契約する、不要な住宅工事の契約など、高齢者を狙った消費者トラブルに巻き込まれる可能性があるのです。

また、通帳やキャッシュカードの管理が難しくなり、暗証番号を他人に伝えてしまうなど、財産を失う危険につながることもあります。この他、認知症が進行して判断能力が低下すると、ATMの使用が困難になるだけでなく、口座の凍結により本人による預金の引き出しや契約手続きが難しくなるケースも少なくありません。
認知機能が低下した状態での一人暮らしでは、財産をだまし取られるリスクと本人による金銭管理が難しくなるリスクの両方が生じる可能性があります。
服薬ミス・低栄養・脱水など健康管理のリスク
認知症の一人暮らしでは、服薬管理のミスや食生活の乱れなどによって毎日の健康管理にも悪影響を及ぼす可能性があります。
もの忘れなどが進行すると、薬を飲み忘れたり薬を飲んだことを忘れて重ねて服用したりすることで、治療の効果が得られなくなったり思わぬ症状が出たりする可能性があります。
また、調理や買い物が難しくなり、食事の回数が減ったり同じ食品ばかりを食べたりして栄養が偏ると健康に悪影響が生じる可能性があります。認知症の影響で空腹や喉の渇きを自覚しにくくなる場合には、食事や水分の不足に気づきにくくなることもあります。
こうした状態が続くと、体力や筋力の低下や、栄養失調や脱水、感染症など、さらなる健康問題を引き起こす可能性があります。
社会的孤立によるBPSDの悪化
一人暮らしが社会的孤立を招き、不安や抑うつ、不眠、ひとり歩きといったBPSD(周辺症状、行動・心理症状)の悪化を招くリスクもあります。
一人暮らしで人との接触が減ると、会話や外出などで得られる脳への刺激が少なくなります。
また、「一人ぼっちになった」「見捨てられた」といった孤独感や不安が心理的なストレスとなり、昼夜逆転や睡眠の乱れ、怒り、妄想などのBPSDにつながることがあります。
孤立していると本人の変化や困りごとを周囲が把握する機会も減り、症状や生活上の問題が深刻になってから発見されるリスクもあります。
- 越後谷先生

認知症だからといって、直ちに一人暮らしができなくなるとは限りません。一方で、行方不明や失火、服薬管理など、命の危険や健康状態の悪化につながるリスクも高まります。自立できているように見えても、リスクを想定して環境を整えるようにしましょう。
一人暮らしで活用したい支援サービス・制度

認知症の一人暮らしのリスクを減らし、より安心して生活できる環境を整えるには、さまざまな支援サービスや制度を活用することが大切です。
認知症の一人暮らしで活用できる公的支援や見守りサービスの特徴を紹介します。
介護保険サービス(訪問介護・デイサービス・小規模多機能型)
一人暮らしの認知症の人に活用しやすい介護保険サービスには、主に以下の3つがあります。
介護保険サービスの種類 | 特徴 |
|---|---|
訪問介護 | 自宅での生活を支える |
デイサービス | 日中に施設へ通って食事や入浴、交流などの支援を受ける |
小規模多機能型居宅介護 | 施設への通いを中心に訪問や宿泊を組み合わせられる |
介護保険サービスの特徴(文献9を参考に作成)
訪問介護では在宅で家事や身の回りの支援を受けられる一方、デイサービスでは在宅では難しい他者との交流の機会を増やすことができます。
小規模多機能型居宅介護は認知症の程度や生活状況の変化に合わせて柔軟に支援を受けられる点が特徴です。
これらの介護保険サービスの自己負担額は原則1割(所得により2〜3割)ですが、実際の費用は要介護度や利用回数、地域などによって異なります。利用を検討する際は、担当のケアマネジャーやサービスを提供している事業所に確認しましょう。
認知症対応型通所介護は認知症の人を対象とし、当事者の状態に合わせた支援を受けやすい点が特徴です。認知症への理解が深く、症状の程度にあわせた適切な支援を受けられます。
一方、一般的なデイサービスでは、認知症の症状が軽い場合は安心して過ごせることもありますが、症状が進行すると十分に対応できない可能性があります。
どちらが合うかは、認知症の進行度だけでなく、本人の性格や他の利用者との相性、送迎のしやすさなども含めて検討しましょう。
自治体・地域の見守りサービス(生活支援・緊急通報など)

自治体によっては、一人暮らしの高齢者を対象にした見守りサービスを提供していることもあります。
例えば、定期的な安否確認や日頃からの声かけのほか、急な体調不良や怪我などの際に助けを求める手段として緊急通報装置の貸し出しなどのサービスがあります。また、生活支援サービスの一環として配食サービスを利用できる場合があります。
利用条件や料金は自治体によって異なるため、住んでいる地域の高齢者福祉窓口や地域包括支援センターに確認しましょう。
民間のサービス(GPS・見守りカメラ・身元保証など)
GPSや見守りカメラ、身元保証サービスなどの見守りに役立つ民間サービスの利用もおすすめです。
GPSや見守りカメラであれば、自宅での様子を遠隔で家族が確認でき、怪我や事故などのトラブルがあった場合でも早く気づくきっかけになります。
また、入院時などの連帯保証や緊急連絡を引き受ける身元保証サービスもあります。身元保証サービスは身元保証会社が本人の身元を保証するサービスです。
ただし、これらのサービスを利用する場合はプライバシーへの配慮や本人の意思への配慮が必要です。認知症が進行する可能性に備え、本人に判断能力があり、意思が確認できるうちに話し合っておきましょう。
サービスの利用には基本料や身元保証料のほか、契約手数料や預託金などがかかる点も押さえておきましょう。総務省の「身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査」では、調査に協力した事業者の例として、利用開始時に必要な額が少なくとも100万円以上であったことが報告されています。
地域包括支援センター・認知症初期集中支援チームへの相談
「一人暮らしを続けられるか分からない」と感じたら、地域包括支援センターや認知症初期集中支援チームといった公的機関に相談するのも1つの手です。
地域包括支援センターは、高齢者の介護や生活、健康などの相談ができるサービスです。必要に応じて介護サービスや医療機関などにつなぐ役割を担っています。
認知症初期集中支援チームは、認知症が疑われる人やその家族を早期に支援するための仕組みです。
「火の消し忘れが増えた」「薬の管理が難しい」などの困りごとや不安の相談の他、日頃のケアや対応に関する悩みがあればこれらの機関に相談しましょう。
成年後見制度(市町村長申立てを含む)
成年後見制度は、認知症などによって判断能力が低下している人の財産や生活を守るための制度です。本人の判断能力が十分なうちに自分で後見人などを選ぶ任意後見制度と、申し立てをもとに家庭裁判所が後見人などを選ぶ法定後見制度があります。
成年後見制度であれば、家族がいない場合でも一定の条件を満たせば市町村長が申立てを行う仕組みがあります。そのため「身寄りがないから成年後見制度は使えない」とは限りません。
ただし、制度の利用には手続きや費用が必要です。早めに市区町村や地域包括支援センターへ相談しましょう。
特別養護老人ホームの特例入所
一人暮らしが難しいと判断される場合には、特別養護老人ホーム(特養)に特例入所できることもあります。
特別養護老人ホームは、原則として要介護3以上の人が対象です。ただし、要介護1・2でも、日常生活を送ることが困難な場合、身寄りがない場合など、在宅で生活することが難しいと判断される場合には特例的に入所が認められることがあります。
一人暮らしで支援が必要な場合は、ケアマネジャーや自治体に特例入所について相談してみましょう。
死後事務委任契約で「最期の手続き」に備える
死後事務委任契約を活用し、本人が亡くなった後の手続きについても事前に整理しておきましょう。
葬儀や納骨、行政手続き、住居の片付けなど、死後にはさまざまな手続きが発生します。死後事務委任契約では、これらの手続きを生前に委任できます。
契約内容や契約費用、委任できる範囲は個別に確認することが重要です。身寄りがない人ほど事前に専門家に相談しましょう。
将来に備えたサービスや制度にはさまざまなものがありますが、いずれも万能なものではなく、費用が生じるものもあります。例えば、成年後見制度はニーズの多様化に対応すべく見直しが検討されており、死後事務委任契約も誰とどのように契約するかによってはトラブルが生じる可能性があります。利用の際には、家族や信頼できる専門家と相談し、可能な限り内容を吟味してから利用しましょう。
一人暮らしを支える生活の工夫
認知症の一人暮らしを支えるには、当事者の症状に応じた適切な支援を活用したり、もしもに備えて環境を整えることが大切です。
取り入れやすい工夫について、食事・薬・お金・持ち物・デジタル機器の5つの観点でみてみましょう 。
食事の管理(配食サービスや施設提供の食事を活用)
買い物や料理が難しいときには、配食サービスを利用したり、電子レンジで温めるだけの食品を用意したりしましょう。
配食サービスの中には、食事を届ける際に本人の安否を確認する仕組みを設けているものもあります。温めるだけで食べられる冷凍食品やレトルト食品は調理がうまくできなくても食べられるため、欠食を防ぐことにつながります。
また、デイサービスを利用している場合は、そこで昼食をとるのも効果的です。手作りの食事にこだわるのではなく、本人が無理なく食べ続けられる環境を整えましょう。
薬の管理(一包化・お薬カレンダー・訪問調剤)
一包化やお薬カレンダーなどを活用し、服薬管理しやすくするのが効果的です。
一包化では一度に飲む薬が1つの袋にまとめられているため、複数の薬を飲む場合の飲み間違いや重複などを防げます。お薬カレンダーであれば、薬を飲む曜日や時間ごとに分けて入れることで服薬状況を可視化でき、飲み忘れ予防につながります。
また、通院などが難しい場合は、「訪問調剤」も活用しましょう。薬剤師が自宅まで薬を届け、服薬指導などもしてくれます。
お金の管理は「判断能力があるうち」に
本人の判断能力が十分にあるうちに、将来のお金の管理について話し合っておきましょう。具体的には、家族信託や任意後見制度などがあります。
家族信託は、信託契約によって現金や不動産などの財産の管理・活用を家族に託す仕組みです。任意後見制度は、判断能力が十分なうちに支援してほしい人と公正証書で契約を結び、判断能力が低下した後に家庭裁判所が任意後見監督人を選任することで効力が生じます。
どちらも本人の意思を確認したうえで契約するものであり、認知症が進行して判断能力が失われたとみなされると利用できません。
お金の問題は家族間でも話しづらい話題のため、早めに専門家へ相談し、本人の意思を確認しながら準備することが大切です。
物の管理
よく使う物の定位置を決め、大事なものは決まった場所で保管しましょう。
認知症が進むと、財布や鍵、通帳などをどこに置いたか分からなくなり、探し物が増えることがあります。鍵は玄関の決まった場所に置く、財布は専用のトレーに入れるなど、置き場所を固定すると探す負担を減らせます。
通帳や印鑑なども、本人に確認した上で安全に保管できる場所にしまいましょう。
スマートフォンやGPS機器の活用
スマートフォンやGPSなど、デジタル機器の活用も助けになります。
家族と定期的にビデオ通話をしたり電話で安否を確認したりすることで、離れていても生活の様子や困りごとなどを確認できます。また、いつも身につけている靴や服にGPSをつけることで、万が一ひとり歩きで外出してしまっても今どこにいるかを把握できます。
これにより、一人暮らしの生活や介護の負担の軽減が期待できます。ただし、デジタル機器によっては操作が難しいものはうまく使えず負担になるため、簡単に使えるものを活用することが重要です。
一人暮らしの限界|在宅・施設介護への移行のタイミング
認知症の進行具合や利用できる支援サービスによっては、一人暮らしの継続が難しくなることもあります。日常生活に支障が出て、本人の健康が損なわれる可能性がでてきたら一人暮らしを見直すタイミングです。
一人暮らしから在宅・施設介護への移行する目安としては、以下のような変化が挙げられます。
一人暮らしから在宅・施設介護への移行する目安
火の消し忘れがある
転倒の危険性が高くなっている
ひとり歩きが繰り返される
外出先でトラブルが増えた
食事や服薬、排泄、入浴などができない
訪問介護やデイサービスなどでケアしきれない
このように、一人での生活が困難と判断される場合には一人暮らしそのものを見直しましょう。家族が介護に疲弊している場合も、専門職と一緒に考え直すタイミングです。
一人暮らしの限界がきた場合、以下のような選択肢があります。
支援サービスの強化 | 訪問介護などの支援サービスを増やし、住み慣れた自宅での生活を続ける。 |
|---|---|
家族との同居 | 家族と同居し在宅介護を行う。 |
施設入居 | グループホームや特別養護老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などの介護施設に入居する。 |
一人暮らしの見直しと検討可能な選択肢(監修:越後谷直子先生)
家族との同居や施設入居などに移行する場合、リロケーションダメージに注意が必要です。リロケーションダメージとは、生活環境の急激な環境変化に対応できず心身に不調をきたす状態のことです。認知症が悪化してかえって介護負担が増えることもあるため、段階的に環境に慣れてもらう、本人の判断能力があるうちに引っ越すなどの対策をしましょう。
まとめ|認知症の一人暮らしは本人の意思を尊重し「早めの備え」が重要

認知症になっても、症状が軽い段階では支援を組み合わせながら一人暮らしを続けられる場合があります。
一人暮らしの場合も、家族や周囲の人が「危ないから施設に入れる」と一方的に決めるのではなく、本人の意思を確認することが重要です。本人の希望と安全の両方を考え、必要な支援を少しずつ増やしていきましょう。
問題が深刻になってから支援を探すのではなく、本人がまだ自分の希望を伝えられるうちから準備することが大切です。
認知症の当事者が安全にその人らしく生活できるよう、まずはお住まいの地域包括支援センターに電話をして、今の状況を相談してみてください。
この記事の補足情報
参考文献
- 1.
内閣府:令和8年版高齢社会白書(全体版)(PDF版)第1章 高齢化の状況 第1節 高齢化の状況 3 家族と世帯. [https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2026/zenbun/pdf/1s1s_03.pdf](最終閲覧日:2026年10月29日)
- 2.
内閣府:令和8年版高齢社会白書(全体版)(PDF版)第1章 高齢化の状況 第2節 高齢期の暮らしの動向 2 健康・福祉. [https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2026/zenbun/pdf/1s2s_02.pdf](最終閲覧日:2026年10月29日)
- 3.
堀口 和子:認知症の有無による高齢者の独居生活中断時の心身の状態と社会資源の利用. [https://www.jstage.jst.go.jp/article/bku/31/0/31_133/_pdf/-char/ja](最終閲覧日:2026年10月29日)
- 4.
公益財団法人長寿科学振興財団:認知症高齢者の日常生活自立度とは. 健康長寿ネット. [https://www.tyojyu.or.jp/net/kaigo-seido/kaigo-hoken/ninchi-jiritsu.html](最終閲覧日:2026年10月29日)
- 5.
総務省消防庁:第1節 火災予防. 令和7年版消防白書. [https://www.fdma.go.jp/publication/hakusho/r7/items/part1_section1.pdf](最終閲覧日:2026年10月29日)
- 6.
裁判所:平成26年(受)第1434号,第1435号 損害賠償請求事件 平成28年3月1日 第三小法廷判決. [https://www.courts.go.jp/saikosai/vc-files/saikosai/file4/rinji_hanrei_280301.pdf](最終閲覧日:2026年10月29日)
- 7.
警察庁:令和7年における行方不明者届受理等の状況. [https://www.npa.go.jp/publications/statistics/safetylife/R07yukuefumeisha.pdf](最終閲覧日:2026年10月29日)
- 8.
中島 民恵子:独居認知症高齢者における在宅生活継続の阻害要因に関する文献レビュー. 日本在宅ケア. 2022;25(2):225-232
- 9.
厚生労働省:令和4年度介護給付費等実態統計の概況. [https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/kyufu/22/dl/11.pdf](最終閲覧日:2026年10月29日)
- 10.
厚生労働省:介護予防・日常生活支援総合事業と生活支援体制整備事業について. [https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000086354.pdf](最終閲覧日:2026年10月29日)
- 11.
総務省:身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査. [https://www.soumu.go.jp/main_content/000895038.pdf](最終閲覧日:2026年10月29日)
- 12.
厚生労働省:指定介護老人福祉施設等の入所に関する指針について. [https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc0609&dataType=1&pageNo=1](最終閲覧日:2026年10月29日)
- 13.
伊勢田 篤史:死後事務委任契約の注意点.独立行政法人国民生活センター[https://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-202411_03.pdf](最終閲覧日:2026年10月29日)
- 14.
厚生労働省:成年後見制度の見直し等について[https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/001634485.pdf](最終閲覧日:2026年10月29日)
著者情報
- PROFILE/ プロフィール

越後谷 直子
緑園ストレスケアクリニック 院長 【専門領域】 精神科一般、心療内科一般、適応障害、うつ病、10代の不登校・引きこもり、認知症、更年期障害、訪問診療 【経歴】 平成14年 金沢医科大学医学部卒業 市立横手病院、沼津中央病院、南晴病院 南晴メンタルクリニック 院長 南横浜さくらクリニック 院長 他 メンタルクリニックや女性外来にて勤務 令和3年11月1日〜 緑園ストレスケアクリニック 院長就任 【所属学会・資格】 日本精神神経学会 日本認知症学会 認知症サポート医 ホームページ:https://www.ryokuen-stresscare-cl.com/doctor
おすすめの記事















