クスッと笑える介護漫画が人気|認知症の祖母との日々を描く漫画家・ともろうさんインタビュー

InstagramなどのSNSで話題になっている、認知症のマンガ『認知症vsばーばの日々』をご存知でしょうか?
認知症になった祖母「ばーば」との予測不能な日常を、孫の視点から描いたマンガで、認知症というテーマをクスッと笑えるタッチで表現しています。
作者のともろうさんは、ばーばとの日々をどのように受け止め、漫画として表現しているのでしょうか。漫画を描き始めたきっかけや、家族との暮らし、作品に込めている思いについて伺いました。

「ばーば」との日常を漫画に描き始めたきっかけ
ーーもともと、ばーばとの日々を漫画にしてSNSで発信しようと思ったきっかけは何でしたか?
ともろう:
きっかけは、ばーばが認知症になってから、家族のグループLINEが活発になったことでした。
ばーばは今はまだなんとか一人暮らしをしていて、家族が毎週様子を見に行っています。「今日は〇〇を忘れてた」とか「今日はこんな不思議なこと言ってた」という報告が家族のグループLINEに溜まっていって、それがけっこう笑える内容も多いんです。気づけばLINEの履歴が、ばーばのおもしろエピソード集みたいになっていきました。
「意外とおもしろい瞬間もある」というのは個人的にすごく驚きで、元々抱いていた認知症に対するネガティブなイメージが、少しずつ変わっていったように思います。そういう気づきを発信したい気持ちと、何かイラストを描きたいと常々思っていたのが重なって、ばーばのエピソードをマンガにしてみたのが始まりです。
▼ 目玉焼き
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「モヤッと」を「クスッと」に変える視点の転換
ーー認知症のご家族と過ごす中で、「同じことを何度も聞かれる」など大変なことも多いと思います。「イライラ」や「モヤモヤ」を「笑い」にして描くときに、気をつけていることはありますか?
ともろう:
気をつけているのは、まずは家族や自分が溜め込みすぎないことです。
ばーばと過ごしていて、その言動や行動にイライラさせられるのは日常茶飯事ですが、私は「これもマンガのネタにしよう」と思って割り切れることが多いです。
私の場合はマンガを描くときに、ばーばとの出来事をもう一回自分の頭の中でなぞるわけですが、そうすると「この時ばーばはこういう気持ちだったのかな」と少し俯瞰して想像できることがあります。
マンガじゃなくても、以前は家族のLINEで共有していたように、おもしろエピソードとして誰かに伝えることで、少し俯瞰した視点を持つことができて、自分の気持ちも少し軽くなるんじゃないかなと思います。
▼ ぬり絵
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若い世代への広がりと、認知症への「偏見」について
ーーSNSでは若い世代からの反響も多いと思います。認知症に対するイメージ(偏見や怖さ)について、発信を通じて読者に変化を感じることはありますか?
ともろう:
とくに変化を感じて印象に残っているのは、同世代の友人の祖父が認知症になってしまったときに「ともろうのマンガを読んでたおかげで、重く考えすぎず冷静に受け止められた」とメッセージをもらったことです。
私もばーばが認知症と診断されたときはすごく不安になりましたが、今振り返って思うのは「対策もできるし、意外となんとかなる」ということです。
怖いことだけじゃないし、家族にできることもけっこう色々ある、というのを前もって知っておけたら、受け止め方も変わると思います。
誰かが認知症になったとき、その家族が抱え込みすぎたり、押しつぶされてしまうのが本当に一番悲しいと思っていて、それは認知症になったじーじやばーばにとっても絶対に望んでないことだと思うんです。
孫の世代から、いつ自分の周りで起きてもおかしくないものとして心構えをしておくのが、まず何より自分の心を守ることにつながると思っています。
▼風邪?
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介護における「自分の時間の守り方」
ーーご自身やご家族が介護を続けるうえで、抱え込みすぎず、リフレッシュや自分の時間を確保するために意識していることはありますか?
ともろう:
幸いなことにばーばがまだ一人暮らしをできているおかげで、自分の時間はそれなりに確保できています。
毎週家族の誰かが様子を見に行っているのと、週2回通っているデイサービス、ばーばの家に来る訪問看護師さん、宅配のお弁当屋さんなど、ばーばに万が一何かあったとき、すぐに気づける体制を整えられています。
そのおかげで、常に不安がつきまとうようなことはなくなりました。
家族の中では、とくに私の母が時間をつくってばーばの家に通ってくれていますが、1人に負担がかかりすぎないよう、私も行ける日はできるだけ行って、困ったときは協力し合える状態を保つことも意識しています。
ばーばの家に置いた通話ができる見守りカメラも、いつでも様子が見られる安心感につながっていると思います。
ばーばの安心はもちろんですが、私たち家族が安心できる環境がないと、認知症との付き合いは持続できないと思うので、そのためのサービスやツールには頼れるだけ頼っています。
▼ドア
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テヲトルでの新連載『認知症ばーばのハナウタ日記』で描きたいこと
ーーいよいよ始まるテヲトルでの新連載では、どのようなエピソードを描いていきたいですか?
ともろう:
これまでは、できるだけ4コマにおさまるように描いてきましたが、ここではもう少しゆったりと、今までは省いていたところや、その裏で家族として感じていることなど、ありのままを知っていただけるような連載にしたいと考えています。
マンガで介護の様子を発信し始めて、読んだ方からコメントをもらえるようになり「大変なのは私だけじゃないんだ」と思えるようになりました。
同じような境遇の人がいるというのを知るだけで、心が少し軽くなることもあると思います。
私は認知症の専門家でもないですし、認知症介護に正解はないと思うので、たくさんいる介護家庭の中の「いち家族の日常」として受け取ってもらえたらと思っています。
「こんな風に向き合っている家もあるんだな」と、気軽にのぞき見するような気持ちで読んでもらえたら嬉しいです。
認知症のある家族との暮らしには、大変なこともあれば、家族だからこそ笑い合える瞬間もあります。ともろうさんの漫画からは、介護を特別な出来事として切り取るのではなく、家族の日常の一部として描こうとする温かなまなざしが伝わってきます。
この記事の補足情報
著者情報
- PROFILE/ プロフィール

ともろう
イラストレーター・漫画家 化粧品のディスプレイやイベント企画を担当しながら、個人でイラスト・漫画・グラフィックデザインを制作。 2024年5月から、認知症の祖母との日常を4コママンガに描き始め、現在まで各種 SNS にて毎週投稿中。
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