【藤岡みなみの脳にうれしい地中海料理 vol.2】記憶の潮風に吹かれるごちそう魚料理

脳を使って思い出す
こんにちは。文筆家の藤岡みなみです。
認知症リスクを下げるなど、脳にうれしい地中海料理※1。
先日祖母と食べた「白インゲンと鶏肉とセロリの煮込み」は、新しいのにほっとするおいしさだった。
それからというもの、私は地中海に思いを馳せている。

▲13年前、ミラノ大聖堂で謎のポーズ。
かつて訪れた、地中海の真ん中に位置するイタリア。
街の中に当たり前のように佇む歴史的建造物に目を奪われた。
石造りの建物が、何百年もそのまま残っている。
荘厳な雰囲気とは対照的に、地元の人の過ごし方はカジュアル。
ラフな服装で軽やかに散歩する人びとにならって、テラス席で濃いコーヒーを味わい、路地裏の店で白ワインを立ち飲みした。

▲活気ある魚屋さん
写真を見ながら旅を思い出している。
記憶の缶詰の蓋をどんどん開けていく。
こういう時間もいい脳トレになっている気がする。
そうだ、フレッシュさがはじける魚屋さんがいくつもあったのだ。
さすが地中海に囲まれた国。

▲タコとムール貝のリゾット
南へ行くほど、海の気配が濃くなる。
レストランで食べた魚介リゾットは、シンプルなのに素材のうまみがつまっていた。
もう忘れてしまったことも多いと思っていたけれど、舌はしっかり覚えている。
思い出すと、じわあっと唾液が広がる。
あの旅の記憶には、濃厚な魚介だしが染み込んでいる。
考えていたらお腹が空いてきた。
今日も、山口祐加さんのレシピで地中海料理を作ってみよう。
日常を祝福するような一品

▲少ない材料でできるのがうれしい
「焼きサーモンのブロッコリーとくるみのソース」に挑戦する。
調味料も食材も身近なものばかり。
くるみはちょっとめずらしいか。
お菓子やパンに使っても、おかずに使ったことはないかも。
▲ブロッコリー1/2をカットしていく
ブロッコリーは小房に分け、さらに1cmほどの大きさに。
刻むとジャキジャキとした感触が愉快。

▲主役のサーモン2切れをドーン!
オリーブオイルを引いたフライパンに、皮目を下にしてサーモンを並べる。
なんかもうおいしそう。
地中海料理といえば白身魚のイメージが強いけれど、身近な魚で無理せず作れるレシピなのが嬉しい。

▲周りに刻んだブロッコリーを広げる
わあ!
リースみたいなかわいさにときめく。
このまま玄関に飾りたい。
途中経過がこれほど愛らしい料理なら、それだけで作った甲斐がある。
酒大さじ4を回しかけ、蓋をして弱目の中火で5分蒸し焼きにする。


▲パカァ......蓋を取ると......
鮮やかなオレンジから淡いピンクへ。

先にサーモンを取り出す。
フライパンに水を少し追加して、蓋をしてまた5分ほど加熱。


▲柔らかくなったら木べらでちょっとつぶす。
レシピには「加熱している間にくるみを粗く刻む」とある。
この、「〇〇している間に」というのが結構好きだ。
はいっやりますっ! と姿勢を正す。
レシピにてきぱきとリードされるのって気持ちいい。


▲はい!刻みました!
先輩! 次はなにをやればいいですか!
という気持ちで次の段取りを追いかける。


▲ブロッコリーに塩とくるみを加えて混ぜる。
「くるみのソース」が完成。
面白い。ブロッコリーとくるみをソースとして見たことがないからはっとする。

▲あらびき黒胡椒をかける
サーモンを盛り付けて出来上がり。
いやん、まるで立派なごちそうじゃないか。
なんでもないはずの今日が、おめでたい日に思えてきた。
ま・ち・き・れ・ない。


▲ソースと一緒に食べる
ふわあ! おいしい。
ふっくらとしたサーモンのいい香りが鼻を抜ける。
ブロッコリーと、たまに顔を出すくるみの食感が楽しい。
酒と塩とオリーブオイルだけで、こんなに風味豊かになるんだ。
材料も工程も少ないのに、胸がじいんと満たされる料理。
そして、私の脳もきっと喜んでいる。
記憶の潮風にふかれながら、ブォーノ(イタリア語でおいしい)とつぶやいた。
焼きサーモンのブロッコリーとくるみのソースのレシピ
・生サーモン … 2切(約150g)
・ブロッコリー … 1/2個
・くるみ … 20g(手のひらいっぱい分くらい)
・酒 … 大さじ4
・オリーブオイル … 大さじ2
・塩 … 2g
・黒こしょう … お好みで
作り方:
①ブロッコリーは小房に分け、さらに1cmほどのサイズに刻む。
②フライパンにオリーブオイルを入れ、サーモンを皮目を下にして並べる。その周りに1cm角ほどに刻んだブロッコリーを広げる。
③酒大さじ4を回しかけ、蓋をして弱めの中火で5分ほど蒸し焼きにする。先にサーモンを取り出す。
④③に水を大さじ2ほど追加し、弱火にしてブロッコリーが柔らかくなるまで蓋をして5分ほど加熱する。お好みでブロッコリーの穂先を木べらなどで潰してもOK。水分が足りなくなったら少しずつ追加する。加熱している間にくるみを粗く刻む。
④にくるみと塩を加えて混ぜる。サーモンとともに皿に盛り付け、お好みで黒こしょうを加える。
※お好みでレモンやお酢を添えると味変になります。
この記事の補足情報
著者情報
- PROFILE/ プロフィール

藤岡 みなみ
文筆家、ラジオパーソナリティ、タイムトラベル専門書店utouto店主 著書に、異文化をテーマにしたエッセイ集『パンダのうんこはいい匂い』(左右社)、暮らしをゼロから再構築する『ふやすミニマリスト』(幻冬社文庫)、37年を366日に組み込んだ『時間旅行者の日記』(左右社)などがある。
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山口 祐加
自炊料理家 ■プロフィール 1992年生まれ。東京都出身。7歳から料理に親しみ、料理の楽しさを広げるために料理初心者に向けた料理教室「自炊レッスン」や小学生向けの「オンライン子ども自炊レッスン」、レシピ・エッセイの執筆、ポッドキャスト番組「聞くだけでごはんができるラジオ」などは多岐にわたって活動中。著書に『自分のために料理を作る 自炊からはじまる「ケア」の話』(晶文社/紀伊國屋じんぶん大賞2024入賞)、『世界自炊紀行 』(晶文社)など多数。
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