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麻雀(マージャン)は認知症予防や脳トレに効果的?アプリやゲームの影響を論文をもとに解説

麻雀(マージャン)は認知症予防や脳トレに効果的?アプリやゲームの影響を論文をもとに解説

高齢化が進む日本では、認知症予防への関心が年々高まっています。中でも注目されているのが「麻雀」です。

麻雀は、記憶力・判断力・計算力などを同時に使うため、脳のさまざまな機能を使う立派な「脳トレ」と言える活動です。科学的に効果が実証され、実際に医療や介護の現場でも取り入れられています。

本記事では、麻雀がなぜ認知症予防に効果的なのか、その理由や具体的な始め方をご紹介します。

麻雀が認知症予防に効果的とされる理由

麻雀は、複数の脳の機能を同時に使って行うゲームです。頭や身体を使うだけでなく、勝ち負けに伴う心の動きや、一緒に行う人とのコミュニケーションも生まれます。

麻雀が認知症予防に効果的、と言われる具体的な理由についてみてみましょう。

指先を細かく使う「手先の運動」と脳への刺激

麻雀やカードゲームをプレイする時には、牌を混ぜる、積む、引く、といったように肩から指先までを動かします。

中国の60歳以上の7,308人を調べた研究では、定期的に麻雀をプレイする人は、注意力・計算・言語力・全体の認知スコアが高く、特に70歳以上で効果が顕著に示されました。

麻雀の手指の動きが脳の血流を増加させ、神経が活発に動き、脳組織の代謝の改善、脳神経どうしのつながりの促進などが起こり、脳の働きが改善される可能性が示されています

状況判断・計算・記憶を同時に行うマルチタスク

麻雀は、牌の情報を覚え、捨て牌を決め、点数を計算し、他の人の動きを予測する、といったマルチタスクを伴うゲームです

中国で行われた研究で、麻雀をよく行う65歳以上の高齢者ほど注意・計算・記憶・言語・自己コントロールの成績が高く、麻雀を行う頻度が低下するのに伴って認知機能も下がることが示されました

また、日本で行われた研究でも、麻雀教室に参加する前よりも後の方がさまざまな認知機能の改善がみられ、麻雀が認知機能にプラスの影響を与えることが示唆されました

麻雀をするうちに、自然と脳のトレーニングを行っている、と言えそうですね。

勝ち負けに伴う「わくわく感」と喜怒哀楽の感情の動き

麻雀で勝負のワクワクやドキドキ、喜びや悲しみなどの感情の動きは、報酬系と呼ばれる脳のネットワークを刺激してドーパミンの放出を促します

ドーパミンの働きによって、「麻雀で頭や身体を使うのが面倒だ」という気持ちよりも「もっとやってみよう」「次は勝ちたい」といった意欲や集中力が増し、麻雀を意欲的に楽しめるようになります

麻雀を楽しむとマルチタスクや指先の運動につながり、勝負に伴う感情の動きが気持ちを高め、結果として認知機能に良い影響を与える、といった好循環が起こるのです。

コミュニケーションによる孤独感の解消

麻雀は4人で行うため、必然的にコミュニケーションが生まれます。
そのため、麻雀を円滑に進行するには、計算や記憶といった作業だけでなく、他の人とのコミュニケーションをしながらマルチタスクを行う必要があります。

社会的な関わりに参加する頻度が高く、多様な場で関わるほど、認知機能が向上することが確認されています。同時に、社会的な孤立が認知症などのリスクを高めることも指摘されています。

麻雀は仲間と楽しみながらゲームをするという点で、社会的な関わりを持つきっかけにぴったりです。いろいろな人と、さまざまな場所で麻雀を楽しみましょう。

麻雀の認知症予防効果に関する研究や調査

麻雀が認知症予防に効果的なことは、医学論文をはじめ、複数の研究で示されています。

ここでは、麻雀と認知症をテーマとして書かれた実際の論文を中心に、麻雀が認知機能にもたらす効果に関する研究・調査をご紹介します。

麻雀の認知機能に与える影響を調べた研究

中国の研究からは、麻雀を習慣にすることは高齢者の認知機能の低下を抑え、脳機能の維持に効果的である可能性が示されました。

この研究は、65歳以上、平均年齢81.96歳の高齢者7,535人を、2008〜2018年の10年間追跡した大規模な調査です。

調査結果では、麻雀を習慣にしているグループと、そうでないグループで認知機能テスト(MMSE)の結果を比較したところ、麻雀を習慣にしているグループはテストのスコアが高い状態を維持していました。一方で、麻雀をしていないグループは、年齢とともにスコアが顕著な低下が見られました。

また、麻雀を打つ頻度が高いほど認知機能が向上し、麻雀を打つ機会が減ってしまうと、比例するように認知機能も低下することがわかりました。
これらの結果から、麻雀は加齢による脳機能の低下を抑え、習慣的に麻雀を打つことで注意力や記憶力が維持されやすくなることが示されました

麻雀がMCI(軽度認知障害)の認知機能低下に与える効果を調べた研究

中国の別の研究では、麻雀がMCI(軽度認知障害)とされた人の認知機能の向上や改善に役立つことが示されました。

この研究では、MCIの高齢者(平均74.3歳)56名を対象に、麻雀を週に3回(1回1時間)、12週間にわたり行うグループと、通常通りの生活を送るグループに分けて比較しました。

麻雀を12週間続けたグループでは以下のように、認知機能の向上が見られました。

  • 認知機能のスコア(MoCA-B)が有意に上がった
  • 実行機能テスト(STT-B)の所要時間が有意に短縮した
  • 周囲の人が評価する日常生活の機能活動スコア(FAQ)が有意に低下した

一方、麻雀をしなかったグループではスコアに変化がみられませんでした。

この研究の結果、MCIとされた人の認知機能低下の進行を遅らせたり、改善したりするために広く応用できる可能性が示されました

麻雀が認知症患者の症状を改善することを示す研究

平均年齢83.94歳の軽度〜中等度の認知症、直近6ヵ月は麻雀をしていない高齢者62名を対象とした中国の研究があります。

週2回麻雀をするグループ(33人)と週4回麻雀をするグループ(29人)に分けて16週間続けたところ、どちらの頻度でも認知機能が改善しました。
また、麻雀をやめた後1ヵ月経っても効果が続いていました。

この結果から、麻雀は記憶・注意・情報処理などの認知機能を回復すること、手軽に取り入れられる認知症の非薬物療法として実用的であることが示されました

オンライン麻雀が認知機能を維持・向上させる可能性を示す調査結果

オンライン麻雀を運営している日本の会社が実施した調査からは、オンライン麻雀が認知機能にプラスな影響を与える可能性を示唆する結果が得られました。

この調査では、日常的にオンライン麻雀をプレイする484名を対象に、自社が開発したWebツールで認知機能のスコアを比較しました。

オンライン麻雀の「Maru-Jan」をプレイするユーザーと、一般の方のスコアを比較した調査からは下記のことが示されました。

  • 「Maru-Jan」をプレイしている人は視覚性注意力・短期記憶のスコアが一般の方と比べ高かった
  • エピソード記憶を測定するテストのスコアが一般の方と比べ高かった

本調査は、オンライン麻雀「Maru-Jan」のユーザーに限定したものであり、認知機能の測定も独自開発のツールで行われている点は留意する必要がありますが、対面だけでなくオンライン麻雀でも、脳の健康維持にポジティブな影響をもたらす可能性があることが示されました

健康麻雀(マージャン)のススメ

麻雀には、認知症の予防や脳機能の維持に繋がるポジティブな影響があることがさまざまな研究や調査で示されています。
ここでは、高齢になってからも楽しめる、「健康麻雀」についてご紹介します。

健康麻雀とは、「健康づくり・仲間づくり・生きがいづくり」を目的とした麻雀です。「日本健康麻将協会」が普及活動を行い、麻雀教室なども開催しています。

麻雀は、飲酒や喫煙を伴う賭け事、というマイナスイメージを持たれがちだった麻雀ですが、今では「頭脳スポーツ」として扱われるものになっています

「賭けない・吸わない・飲まない」がポイント

健康麻雀(健康麻将)とは、「賭けない・飲まない・吸わない」を合言葉に「健康づくり・仲間づくり・生きがいづくり」を目的とした麻雀と定義されています。

脳機能によいだけでなく、麻雀を通じて新しい友達が増えるなど、老若男女を問わず交流を楽しめる趣味として親しまれています

仲間とコミュニケーションしながら楽しもう

基本的に麻雀は4人で行うため、仲間との会話が弾むコミュニケーションの場にもなります。共通の趣味を持つ仲間ができると自然と外出の機会が増え、毎日の生活にハリが生まれるでしょう。

地元のサークルや教室で定期的に集まれば、顔なじみが増えて自然に会話が広がります。

もし麻雀をやったことがない方も、全国で「健康麻雀教室」が開催されていますので、ぜひ参加してみてください

麻雀は全国健康福祉祭(ねんりんピック)や国民文化祭にも採用

麻雀は、官公庁が主催する催し物でも採用されています。

厚生労働省が後援する「全国健康福祉祭(ねんりんピック)」では、健康麻雀は2007年から競技種目として位置づけられています

また、厚生労働省や文化庁などが主催する国民文化祭でも、2018年から健康麻雀が正式種目として採用されました

このように公的なイベントでも採用されており、健康麻雀は社会的にも認められた健康活動と言えます。ご家族にも勧めやすく、大会への参加などの目標も持てて日常生活に張り合いが出るのではないでしょうか。

おすすめのオンライン麻雀・麻雀アプリ

「麻雀をやってみよう」と思ったものの、すぐに対面で行う場に参加するのはハードルが高い、と感じる方も多いでしょう。
そんな方におすすめなのが、自宅で気軽に楽しめるアプリやオンライン麻雀です。

手軽に始められる麻雀アプリ

麻雀アプリの最大の魅力は、費用や場所を気にせずにいつでも楽しめることです。

多くのアプリでは初心者向けのチュートリアル機能が充実しており、「いきなり対人戦は不安」という方には、CPU戦モード(コンピュータを相手にするモード)もあるので心配いりません。

以下で具体的なおすすめのアプリをご紹介します。

Vita麻雀 (Vita Mahjong)

Vita麻雀は、高齢者向けの麻雀ゲームです。牌が大きくて見やすく、目が疲れにくい画面で遊べます。記憶力アップのためのプレイモードもあり、習慣化の工夫もあります。

操作も簡単で、ヒントややり直し、混ぜ直しの機能がついていて、オフラインでも楽しめるアプリです。頭の体操とリラックスの両方におすすめです。

運営会社

VITA STUDIO PTE.LTD.

利用料金

無料(一部有料)

Arcadia お年寄りのための麻雀

Arcadia Mahjongは、シニア向けに作られた麻雀ゲームです。

牌が大きくて見やすく、タブレットを横にしても縦にしても遊べます。10,000以上の面が用意されており、美しい東洋の風景や絵柄を集める楽しみもあります。

時間制限なしでのプレイも可能で、頭の体操やリラックス、記憶力のトレーニングにもなります。

運営会社

Metajoy

利用料金

無料(一部有料)

全国のユーザーと楽しめるオンライン麻雀

CPU戦に慣れてきたら、プレイヤーを相手にしたオンライン対戦に挑戦してみましょう。
全国の人とリアルタイムで対局できるのは、オンライン麻雀ならではの醍醐味と言えます。匿名で参加できるため、気負わず楽しめるのもメリットです。

Maru-Jan

Maru-Janは、まるで本物のようなリアルさを追求したオンライン麻雀です。実物から牌を再現し、全自動卓の動きまでこだわっています。AIが最適な打ち方を教えてくれ、音声などもカスタマイズ可能です。

初心者から上級者まで毎日約8,000人がプレイを楽しんでおり、全国の友達と遊べるセット卓や、毎日開催される多彩なイベントもあります。

運営会社

SignalTalk Inc.

利用料金

無料(一部有料:480~¥9,800)

天鳳

天鳳は、507万人以上が登録している本格的なオンライン麻雀です。いつでも多くの人が遊んでいて、さまざまなレベルの相手と対戦できます。

麻雀大会を開くための機能も整っており、初心者からベテランまで、誰でも自分に合った相手と真剣勝負を楽しめます。多くの人に親しまれているオンライン麻雀です。

運営会社

有限会社シー・エッグ

利用料金

無料(一部有料:月額660~1,000円)

麻雀以外に認知症予防が期待できる趣味・習慣

麻雀以外にも、認知症の予防効果が期待できる活動はたくさんあります。楽しみながら脳や認知機能によい活動に取り組みましょう。

認知症対策には、基本的な生活習慣の見直しも大切です。
ここでは取り組みやすく、積極的に取り入れたいものをご紹介します。

認知症の予防が期待できる趣味

認知症の予防には、脳に適度な刺激を与え続けることが効果的とされています。科学的に効果が示されているものをご紹介しますので、お好みのものを取り入れてみてください。

囲碁や将棋など頭を使う対人ゲーム

囲碁や将棋、チェス、トランプなどのゲームも、麻雀と同じように高齢者の認知機能を保つのに役立つとされ、実施する機会が多いほど認知症リスクが9.0%低下すると示されています

対人ゲームは、知的な刺激を得ながら社会的な交流もできる点も麻雀と共通しており、地域にクラブやサークルがあることもあります。

頭を使いながら運動するコグニサイズ

「コグニサイズ」とは、運動しながら問題を解く、頭と身体を同時に使うトレーニングのことです。

国立長寿医療センターによって、認知症の予防や、MCIの方の認知機能の維持・向上のために開発されました
歩きながら計算する、しりとりしながら足踏みする、といったように、取り組みやすいものなので、普段の運動に取り入れてみるとよいでしょう。

目も耳も手もフル活用!楽器の演奏

楽器の演奏も認知症対策に効果的と考えられています。
楽器の演奏は、楽譜を目で読み、指や腕を細かく動かして演奏し、耳で音を確かめるという非常に複雑な、脳の機能を総動員する作業です

認知症には音楽を聴く音楽療法も効果的とされていますが、自分で音楽を演奏したり、カラオケで歌ったりするのも効果的です。聴く・演奏する・歌う、とさまざまな角度から楽しんでトレーニングしましょう。

食事や睡眠など生活習慣の改善

運動・食事・睡眠などの生活習慣を整えることは、認知症対策の基本と考えられています
認知機能の低下の原因には、複数の要素が絡み合っていることがわかっています。そのため、特定の活動だけで対策できるものではなく、さまざまな活動や生活の改善が大切とされています。
例えば、「地中海式食事法」と呼ばれる食事法や、身体活動や運動、睡眠の質と長さなどは、認知機能の維持に重要だと考えられています

麻雀をはじめとしたいろいろな活動を取り入れながら、生活習慣の改善も一緒に取り組むとよいでしょう。

まとめ:麻雀で楽しみながら脳の健康を維持しよう!

複数の認知機能を同時に刺激する麻雀は、科学的にも認知症の予防効果が明らかになっています。

最近は「健康麻雀」として楽しめる場が多く、誰でもが安心して楽しめる環境が整っています。オンラインアプリなどで自宅でも手軽に始められ、全国のプレイヤーと対戦する楽しみも味わえます。

楽しみと健康を両立する麻雀で、楽しみながら脳の健康を維持していけるとよいですね。

※注釈

  • 監修者は脳の健康に関する解説について監修を行っています。本記事で紹介するアプリ・サービスは編集部が独自に選定したものであり、監修者が選定・推奨しているものではありません。
  • 本記事で紹介するアプリ・サービスは、あくまで健康維持のための活動のきっかけづくりをサポートするものとして紹介しています。認知機能の改善や健康維持に対する効果を保証するものではありません。また、アプリやサービスの安全性は、ご自身やご家族で判断の上、ご利用をお願いします。

この記事の補足情報

参考文献

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著者情報

  • PROFILE/ プロフィール

    伊藤 たえ

    赤坂パークビル脳神経外科 菅原クリニック 東京脳ドック 院長 ■Profile 2004年 浜松医科大学医学部 卒業 2004年 浜松医科大学付属病院 初期研修 2006年 浜松医科大学脳神経外科 2013年 河北総合病院脳神経外科 2016年 山田記念病院脳神経外科 2019年 菅原脳神経外科クリニック 2019年 現職 ■所属学会 日本脳神経外科学会専門医 日本脳卒中学会専門医 日本脳ドック学会認定医

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