「妻がアルツハイマー病の初期と診断された」認知症介護家族の悩み
70歳の妻にもの忘れが目立ち、ふさぎ込むようになり、受診したところ、初期のアルツハイマー病の診断を受けました。驚いたり、「そんなはずがない」と否定したり、私自身も混乱しています。これからどうしたらいいでしょう。
夫:70代
介護経験者:指示や禁止は本人を苦しめます
私は夫がアルツハイマー病とは知らずに「さっきも言ったでしょう」とよくとがめていました。診断後も良かれと「こうしなさい」「それはダメ」などと指示や禁止ばかりしていました。悲しげな夫の表情の意味が、認知症介護を勉強してわかりました。
医者:認知症の人の不安、苛立ち、哀しみを知り…
できていたことができなくなっていく自分を感じつつ、どうすることもできない苛立ち、不安と哀しみに苛まれています。 落ち着かなくなったら、おさえこもうとするのではなく、穏やかに話しかけ、触れながら安心させるのが大事です。アルツハイマー病は、進行するにつれていろいろな症状が出てきます。認知症という病気と本人の気持ちを理解して接することがとても大切です。
ケアマネジャー:孤立しないで!相談できる仲間づくりを
男性介護者は地域社会となじみが薄く、一生懸命介護に打ち込み、その結果一人で抱え込み孤立しがちで、いい結果につながりません。地域包括支援センターやケアマネジャーに介護保険サービスや地域の資源利用について相談してみてください。また、お近くのオレンジカフェや男性介護者の会などについても聞いてください。初期のうちから、相談しあえる仲間を作ることが大切です。また、あなた自身のための時間を作り、気持ちに余裕を持てるようにしましょう。
看護師:本人の役割や一緒に楽しめることを見つけましょう
診断を受けたからといって急に何もできなくなるわけではありません。できることがまだまだたくさんあります。少し手助けしながら、洗濯や掃除など続けてもらうことはとても大切です。また、散歩など軽い運動や庭いじりなど一緒に楽しむことを習慣にして、お二人の健康のためにも役立ててください。
介護経験者:男性介護者のつらさを知りました
初期では生活が一変し戸惑う日々が続きます。いろいろな本(※)を読んで参考にしながら介護しました。第一に家事です。炊事は未知の大変な仕事です。本人の好きなもの、食べやすい食事を作ることにしました。また、女性の下着売り場への抵抗は慣れるまで数年を要しました。今では「心配しなくてもなるようになる」と悟っています。
よく読んだ本
「アルツハイマー病の妻とともに」アルフレッド・フールマン、那須弘之訳(医学書院<絶版>)
「認知症の人のこころ」松本一生編著(中央法規)
「ぽ~れぽ~れ」通巻407号(2014年6月25日発行)