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認知症のご家族の介護で限界を迎えないために…4つの対策を解説
更新日:2025-04-23

認知症のご家族の介護で限界を迎えないために…4つの対策を解説

認知症のご家族の介護で限界を迎えないために…4つの対策を解説

認知症のあるご家族の介護に限界を感じてしまうことは、決して珍しいことではありません。24時間体制での介護が必要となる期間が続きやすく、また、一人ひとりの症状が異なり対応が難しいため、心身ともに疲弊してしまう方は少なくないでしょう。

もし介護に疲れを感じている場合は、早めに対策をとることが大切です。この記事では、在宅介護で限界を迎える前に検討したい4つの対策を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

認知症のご家族の介護、限界を感じやすい状況とは

ここでは、介護を担っているご家族が特に限界を感じやすい具体的な状況を説明します。

暴言や暴力がある

もの忘れなどの症状をご本人が自覚し、その不安感や焦燥感が現れると、次のような行為がみられる場合があります¹。

些細なことで不機嫌になる
・ 怒りっぽくなる
暴言や暴力行為がある

このような状況になると、ご家族は身の危険を感じることも少なくありません。暴言や暴力は、ご家族の心を深く傷つけ、精神的な負担を大きくします。

ひとり歩きがみられる

認知症の中核症状の一つに、見当識障害があります¹。これは、時間や場所、人物などが分からなくなる症状で、これが原因でひとり歩きが起こることがあります。

具体的には、家から出て行ってしまい行方が分からなくなる、同じ場所をぐるぐると歩き回る、夜中に帰って来れなくなるなどが挙げられます。 

このようなひとり歩きの症状が現れると、ご家族はリラックスできる時間を十分に確保できず、負担がかかりやすくなります。

排泄の失敗が続く

認知症の進行に伴い、排泄の感覚が鈍くなったり、トイレの場所が分からなくなったりして、排泄がうまくできなくなる場合があります。 

排泄の失敗が続くと、夜中に何度も対応する必要が生じるため、ご家族の睡眠不足が深刻になったり、オムツ交換の回数が多くなり身体的な負担が増えたりします。

介護者である家族の体調が悪化している

長期間にわたる介護は、ご家族の心身に大きな負担を与えます。

その結果、睡眠不足や疲労の蓄積、持病の悪化などが起こる可能性もあります。また、気を張っている状態が続くことによるストレス、先が見えない不安、孤立感などがご家族を苦しめます。 

認知症のご本人だけではなく、ご家族の健康を守ることは、介護生活を支えるために大切にしたいポイントです。

経済的な負担が大きくなる

在宅介護が続く中で、介護サービスの利用状況によっては自己負担の費用が増えたり、バリアフリー化のための自宅リフォームが必要となったりなど、予期せぬ出費がかさむ場合もあります。

このような経済的な負担は、在宅介護を続けていく上で大きな不安要素となります。

特に、ご家族が介護離職をした場合には、収入の減少により経済的な負担に直面しやすくなってしまうでしょう。

介護者の離職は、介護に専念するために考え抜いた末の選択であるものの、収入が途絶えることは大きな不安につながります。

介護に限界を感じないための4つの対策

「ご家族の介護に疲れを感じ始めた」または、「すでに限界を感じている…」という場合、決して一人で悩まないでください。

ご家族をサポートする支援サービスや相談窓口はさまざまあり、活用することで現状の改善が期待できます。限界を迎える前のタイミングで、介護の負担を軽減する方法を考えましょう。

介護保険サービスの機会を増やす

介護保険サービスを活用する機会を増やしてみましょう。

介護保険サービスをうまく活用することで、ご家族にかかる介護の負担を軽減できる可能性があります。例えば、居宅サービスとして主に次のサービスがあります。

訪問介護
通所介護(デイサービス)
短期入所生活介護(ショートステイ)
福祉用具貸与・購入

こうしたサービスを組み合わせることで、例えば、平日はデイサービス、週末は訪問介護を利用するなど、ご家族の状況に合ったサービスを受けられます。

また、介護保険外のサービスと組み合わせることも可能です。

こうしたサービスを活用することで、ご家族の休息の時間を作ることができ、今後の生活について落ち着いて考える機会にもなります。

地域包括支援センターやケアマネジャーから、介護保険サービスの種類やケアの方法などの説明を受けられるため、一度問い合わせてみましょう。

 認知症カフェや家族会で交流する

周囲に介護の大変さを理解してもらえなかったり、将来への不安を打ち明けられなかったりすると、誰にも相談できずに一人で悩みを抱え込み、孤独を感じやすくなります。

そのようなとき、認知症カフェや家族会を活用してみるのもいいでしょう。

認知症カフェは、認知症のご本人やそのご家族、地域住民、専門職のスタッフが集まり気軽に交流する場です。

家族会では、主に介護するご家族が集まり、悩みや不安を共有し、具体的なアドバイスや経験談を共有できます2

これらの場に参加することで、介護の悩みや不安を共有したり、他の人の経験談を聞いたりすると、気持ちが楽になることがあります。

認知症の不安や悩みに関する相談先については、こちらの記事もご覧ください。

接し方のコツを知る

認知症の進行に伴ってご本人とのコミュニケーションが難しくなったり、介護を拒否されたりすると、ご家族に大きなストレスがかかります。

こうした悩みを抱える場合、接し方のコツを知ることでコミュニケーションがとりやすくなる場合があります。

その一つが「ユマニチュード」というコミュニケーション技法です。ユマニチュードは、認知症のご本人に寄り添い、良好なコミュニケーションを築くことを重要視しているケアの方法です。

詳しくは以下の関連記事をご覧ください。

 介護施設への入所を検討する

在宅介護が困難になった場合には、介護施設への入所を検討することも選択肢の一つです。

介護施設にはさまざまな種類がありますが、すぐに入所できるとは限りません。まずは、地域包括支援センターや担当のケアマネジャーに早めに相談しても良いでしょう。

特別養護老人ホーム(特養)
介護老人保健施設(老健)
有料老人ホーム
認知症グループホーム

介護生活に限界を感じる前に、早めに相談しましょう 

認知症の介護は長期にわたりやすく、ご家族にとって大きな負担になる場合が少なくありません。ご本人とご家族の双方が安心して過ごすためにも、介護による疲労が深刻になる前に一人で抱え込まずに、専門家等へ相談しましょう。

(参考文献)
1, 日本神経学会 編:認知症疾患診療ガイドライン(2017年).[https://www.neurology-jp.org/guidelinem/nintisyo_2017.html](最終閲覧日:2025年4月15日)
2, 厚生労働省:私たちの認知症カフェ.[https://www.mhlw.go.jp/content/000521784.pdf](最終閲覧日:2025年4月15日)

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