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糖尿病の基本的な症状について、わかりやすく解説します!初期症状から原因まで徹底解説
更新日:2025-01-31

糖尿病の基本的な症状について、わかりやすく解説します!初期症状から原因まで徹底解説

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糖尿病の基本的な症状について、わかりやすく解説します!初期症状から原因まで徹底解説

日頃よく耳にする「糖尿病」ですが、みなさんは具体的にどのような疾患(病気)かご存知でしょうか?

本記事では、健康診断での結果で糖尿病について気になっている方や、糖尿病がどのような病気なのか分からない方に向けて、糖尿病の基本的な症状や原因、早期発見と適切な対策のポイントをわかりやすくお伝えします。


糖尿病の概要

糖尿病は、血糖値の高い状態(高血糖)が続くことで、血管が傷つき、失明や腎不全、足の切断といった、より重い病気につながる可能性のある疾患(病気)です。
日本では500万人以上が糖尿病の治療を受けていると推定されています1

血糖値を下げる働きを持つインスリンが不足したり、効きが悪くなったりすると、血液中のブドウ糖が増え、血糖値が高い状態となります。
高血糖状態が続くことで、高血糖昏睡などの急性合併症や失明、透析など慢性合併症の原因となります。

糖尿病の症状とは

糖尿病の主な症状は多尿、口渇、疲れやすさやだるさ、目のかすみ、体重減少などです2
上記で挙げた症状は、他の病気(疾患)でも生じる可能性があるため、疑わしい場合は医療機関での検査を受けるようにしましょう。
特に初期は自覚症状に乏しいため、病気(疾患)に気付くまでに時間がかかるという特徴があります3

糖尿病の分類

糖尿病は、1型糖尿病と2型糖尿病、妊娠糖尿病、その他の特定の機序・ 疾患によるものの4種類に分類されます4

1型糖尿病

1型糖尿病は膵臓のインスリンを分泌するβ細胞が壊れてしまう疾患(病気)です。
β細胞からインスリンがほとんど出なくなってしまい、速やかなインスリン治療が必要となる場合が多くなります。
1型糖尿病には短期間でインスリン分泌が枯渇するタイプ(急性発症1型糖尿病、劇症1型糖尿病)と、徐々に分泌が低下するタイプ(緩徐進行1型糖尿病)があります4

1型糖尿病のタイプ

特徴

急性発症1型糖尿病

1型糖尿病で最も典型的なタイプです。血液検査で自己抗体を認めることが多く、2〜3カ月でインスリン治療が必要となります。

劇症1型糖尿病

1週間前後以内でインスリン依存状態となる糖尿病です。すぐにインスリン治療が必要になります。

緩徐進行1型糖尿病

緩徐にインスリン分泌が低下していく糖尿病です。最初はインスリン注射が必須となりませんが、膵臓の保護効果などを期待して、インスリンで治療を行う場合があります。

(文献4を参考に作成

2型糖尿病

2型糖尿病は日本人の糖尿病の約95%を占めるとされています。一般的に呼ばれる「糖尿病」は2型糖尿病を指すことが多いです。

インスリンの分泌量が徐々に減少し、自覚症状のないまま症状が進行するケースが多いことが特徴です。肥満を伴うことが多く、その他食べすぎ、運動不足などにより、インスリン抵抗性を生じ、高血糖状態が続いてしまいます。
一方、生活習慣とは関係なく、ご家族に糖尿病の方がいると、遺伝的な要因により、インスリンの自己分泌の低下を認めることが多く、糖尿病を発症しやすくなります。また、日本人はインスリン分泌能が低い人が多いため、やせ型でも糖尿病を発症することがあります。

2型糖尿病は自覚症状がないため、口の渇きや倦怠感などを感じた段階ではすでに重症化しているケースも少なくありません5

 

妊娠糖尿病

妊娠糖尿病は、妊娠中に初めて高血糖症状を示した状態を指します。
妊婦は胎児の成長を促すためにエネルギーを補充する必要がありますが、胎盤から出るホルモンがインスリンの効果を弱め、血糖値が上がりやすくなります。
母児に対し、さまざまな合併症の原因となりえますので、良好な血糖管理が必要です。

その他の特定の機序・ 疾患によるもの

遺伝因子として遺伝子異常が同定されたものや、膵外分泌疾患、内分泌疾患、肝疾患、薬剤や化学物質によるもの、感染症などが原因で起こる糖尿病です2

糖尿病かどうかを確かめるには

糖尿病は、血糖値とHbA1c*1(ヘモグロビンエーワンシー)の検査結果をもとに診断されます。
・空腹時血糖値
・75g経口糖負荷試験(OGTT)*2の2時間後の血糖値
・食事や採血時間を決めずに測定した随時血糖値

※1 HbA1c:ここ1~2か月間の平均的な血糖値を反映した値のこと。
※2 75g経口糖負荷試験(OGTT):糖負荷後の血糖変化を測定する検査。

血糖値とHbA1cの両方が基準値を超えている場合は、糖尿病の可能性が考えられます。
どちらか一方のみ基準値を超えている場合も糖尿病の可能性を否定できないため、後日追加の検査を勧められることがあります。

糖尿病の原因

糖尿病は、血糖値を下げるためのホルモン「インスリン」の働きが十分でなくなることで発症します。
通常、インスリンは食事によって上がった血糖値を下げ、体内のバランス維持において重要な役割を果たします。
しかし、糖尿病ではインスリンが不足したり、十分に働かなくなったりするため、高血糖の状態が続いてしまいます。

主な原因は生活習慣

2型糖尿病の発症には、日常的な生活習慣が大きく関与しています。
肥満は特に重要なリスク要因で、BMI(Body Mass Index)が25以上になると糖尿病のリスクが約3〜6倍に、BMIが30以上になると30倍に上昇すると言われています6
その他にも飲酒、喫煙などでも糖尿病のリスクが上昇します7
1型糖尿病は食習慣や肥満に気をつけていても発症しますが、インスリン抵抗性などの原因になるため、肥満には注意が必要です。

遺伝が要因の場合も

2型糖尿病は、両親のどちらかが糖尿病の場合、子どもの発症リスクは約40%とされています7。また、1型糖尿病でも遺伝することが知られています8
遺伝的なリスクがある場合でも、生活習慣を整えることで糖尿病を予防できる可能性があります。


受診のタイミング

糖尿病を疑ったときの医療機関への受診のタイミングは以下の通りです。
・健康診断で再検査通知があったとき
・日常生活で違和感を感じたとき
少しでも糖尿病の可能性を感じた際には、医師にその旨を伝えましょう。

健康診断で再検査通知があったとき

血糖値やHbA1cが基準値を超えた場合は、注意が必要です1, 9
一時的な体調不良や検査のタイミングにより、血糖値が基準値を超える場合もありますが、再検査通知を軽視せず、早めに対応するようにしましょう。

日常生活で違和感を感じたとき

口喝、多飲、多尿は有名ですが、いつもは気にならないような違和感を感じたら糖尿病を疑ってみましょう。
体重が増えてもおかしくない量を食べているのに減っていると気づいたら、糖尿病が重症化している可能性があります。

糖尿病は治る?治らない?

1型においてはインスリン分泌低下をきたすため、基本的には生涯のインスリン治療が必要です。
2型糖尿病は、早期発見して早めに対処することができれば、進行を抑え血糖値を正常値に戻して薬を服用せずに生活を送れる可能性があります11
妊娠糖尿病の場合は出産後に血糖値が正常に戻る場合が多いですが、将来糖尿病を再発してしまう可能性もあるため、注意しましょう。


まとめ

糖尿病は自覚症状がほとんどないまま進行します。
放置すると、足の病変、網膜症による失明、腎疾患、脳血管疾患などの合併症を引き起こし、生活の質が大きく低下する恐れがあります。
健康診断などで高血糖を指摘された場合や、初期症状が疑われる場合は早めに医療機関を受診しましょう。
口の渇きや体重の減少など、自覚症状があらわれる前に適切な血糖値のコントロールを行い、糖尿病の進行を防ぐことが大切です。

(参考文献)
1, 厚生労働省:令和2年(2020)患者調査の概況
[https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/20/index.html](最終閲覧日:2025年1月22日)
2, 国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター:「糖尿病ってなに?」
[https://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/010/index.html](最終閲覧日:2024年12月21日)
3, 国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター:健康長寿ナビ「糖尿病の症状ってなに? ~無自覚に進行させないために~」
[https://www.ncgg.go.jp/hospital/navi/47.html](最終閲覧日:2024年12月28日)
4, 日本糖尿病学会:1章 糖尿病診断の指針. 糖尿病診療ガイドライン2024. 南江堂. 2024, p5-26.
5, 国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター:「1型糖尿病ってどんな病気?」
[https://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/050/010/01.html#01](最終閲覧日:2024年12月21日)
6, 日本肥満学会:第9章 肥満症に合併する疾患の疫学・成因・予防・治療. 肥満症診療ガイドライン2022.2022.p110-38.
7, 石原寿光:糖尿病感受性遺伝子. 日大医学雑誌. 2011;70(2):128-9.
8, 能宗伸輔, 他:1型糖尿病の遺伝子研究における進歩. 糖尿病. 2014, 57(2):82-4. 
9, Fujikawa R, et al:Longitudinal examination of pancreatic β-cell function in Japanese individuals. J Diabetes Investig. 2020 11(1):70-4.
10, 日本糖尿病学会: 3章 食事療法. 糖尿病診療ガイドライン2024. 南江堂. 2024, p37-66. 
11, 厚生労働省:健康日本21.「糖尿病」
[https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b7.html#A71](最終閲覧日:2024年12月28日)

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