認知症の食事の拒否の対応法
食事や服薬、入浴の拒否から、時には介護する方そのものを拒否される場合まであって、こうなると何か一つしてもらうにしても周囲の方にはいろいろな工夫が必要となってきます。
暴力や暴言を伴う激しい拒否もありますし、「私は好きじゃないから」と穏やかに断る拒否もあります。
意欲低下が原因になっていることもしばしばです。
拒否にはたいていは理由がありますが、ご本人はその理由をうまく表現することができないため、対応が難しくなります。
「食べない」ことについては、
- 口内炎や入れ歯が合わないなどの口のなかのトラブル
- 環境変化によるストレス
- 気になることがある
- 何らかの抗議、抵抗の表現
- うつ
- 毒を盛られているといった妄想、幻覚
- 感染症や胃腸の病気
- 便秘
- 薬の影響
などが原因として考えられます。
対応法
原因を考えましょう
ある日急に食べなくなったのか、長い時間かけて徐々に食べなくなってきたのかは、原因を探るヒントになります。ご本人が理由を口に出して言われることはめったにありませんから、周囲の方がよく観察して推察してください。
食事の時間をずらしてみましょう
お元気な頃と比較すると活動量が減っていることが多いので、今までの食事の時間帯ではまだお腹がすいていないのかもしれません。
時間帯をずらす、何度にも分けて提供するなどの工夫をしてみてください。
好きな食べ物を
ご本人の好きな食べ物をお出ししてみましょう。
食べていただくことが先決ですので、栄養の偏りは後回しにして、ご本人のほしいと思われるものを口に入れていただきましょう。
アルツハイマー型認知症の方は甘味を好まれるようです。
硬さ・形・大きさにも気をつけて
おかずの硬さに気をつけ、食べやすい形、大きさにしてみましょう。お箸やフォークが使いにくくなっていることもあります。
手づかみで食べられる小さなおにぎりなども出してみてください。
お皿の位置を変えてみる
ご本人からみた特定の方向や位置にある物に気づきにくくなるという症状もあります。この症状のためにテーブルのうえのお皿が目に入っていないこともあります。
配置を変えたり、ご本人の視線が向く所に置いたりしてみましょう。一品ずつテーブルに置いたほうが気が散らずに食べてもらえることもあります。
薬については医師に相談を
服用している薬で味覚が変わっていることもあります。
医師に相談して薬が原因と疑われるなら、可能な範囲で違うものに変えてもらいましょう。