若年性認知症とは、65歳未満で発症する認知症のことです1。
働きざかりの年齢で仕事が満足に支障をきたすようになったり、子どもの教育や就職などに影響したりするケースも珍しくありません。
この記事では、主に若年性認知症の検査について解説します。
若年性認知症の検査について
若年性認知症は、アルツハイマー型認知症、血管性認知症といった原因疾患で診断に必要な検査が異なります1。
正確な診断や適切な治療のためには、細やかな聞き取りや検査が欠かせません。
若年性認知症の診察の流れ
若年性認知症を疑って受診した場合、以下のような流れで診察を行います2。
- ・問診
・身体的・神経学的診察
・血液検査
・画像検査
ただし、細かな検査順や内容は受診する医療機関や実際の症状によって異なるケースもあります。あくまでも1つの例として参考にしてください。
問診
問診では、以下のような内容を確認します2, 3。
・既往歴(糖尿病、頭部外傷、高血圧、うつ病、使用中の薬剤)
・現病歴(ダウン症、パーキンソン病など)
・教育歴
・家族歴
項目が多いため、事前に内容をメモしておくと伝え漏れを防げるでしょう。
身体的・神経学的診察
診察は大きく「身体的診察」「神経学的診察」の2つに分けられます。
身体的診察による所見が内科的疾患に伴う認知症の診断につながることがあり、神経学的診察で得られた所見は認知症の病型診断の鑑別に有用となります4。
身体的診察 |
神経学的診察 |
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(文献4を参考に表を作成)
認知機能検査
認知機能検査は、いくつかの質問や指示をして、認知機能がどの程度であるかを調べる検査です。
代表的な認知機能検査であるミニメンタルステート検査(MMSE)、改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)について、他の記事で解説しています。
世界的に広く使われているのはMMSEですが、日本では改訂長谷川式簡易知能評価スケール(長谷川式認知症スケールとも言います)もよく使われています。
認知機能検査はあくまでも「認知症のおそれがあるか」のスクリーニング検査でしかありません。認知機能検査の結果だけで診断されることはなく、ほかの検査結果や受診時の状態などから総合的に判断されます5。
血液検査
血液検査では、以下のような項目を確認します6。
- ・血算
・血液生化学
・甲状腺ホルモン
・電解質
・空腹時血糖
・ビタミンB12
・葉酸
画像検査
画像検査では、CT、MRI、脳血流SPECTなどが用いられます7。どの検査を行うかは、問診や診察、これまでの検査結果などによって判断されます。
若年性認知症の検査は何科で行われるのか
若年性認知症の検査は、精神科、脳神経内科、脳神経外科、もの忘れ外来などを中心に行われています8。
若年性認知症の場合、高齢者の認知症よりも詳しい検査が必要になるケースが珍しくありません。
どのような検査ができるか、どの診療科を受診すればよいかを前もって問い合わせるのもよいでしょう。
認知症と生活習慣病の関連
若年性認知症の原因疾患のなかでもアルツハイマー型認知症や血管性認知症は、生活習慣病との関連があるとされています9。
日頃から生活習慣病を予防し、気になる症状が出たら早めに検査を受けて治療を始めることをおすすめします。
まとめ
若年性認知症は65歳未満で発症する認知症で、仕事をしている場合は経済的にも影響を与えます。
診察・検査は、原因疾患により異なり、問診、身体的・神経学的診察、血液検査、画像検査などが行われます。
検査は、精神科や脳神経内科、脳神経外科、もの忘れ外来などで受けられます。どの科を受診したらよいか迷う場合は、医療機関へ問い合わせるとよいでしょう。
問診では項目が多いため、事前に内容をメモしておくと伝え漏れを防げるでしょう。認知機能検査ではミニメンタルステート検査(MMSE)や改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)などが用いられ、診断は他の検査と併せて総合的に行われます。
若年性認知症の症状が進む前に、気になる症状があれば早めの医療機関の受診を検討してみてください。