アルツハイマー型認知症とは|原因や進行・予防法・加齢によるもの忘れとの違い
「アルツハイマー病は40代から始まっている」と言われても、信じられない、あるいはピンとこない人も多いのではないでしょうか。
認知症の原因の多くを占める「アルツハイマー型認知症」。「自分には関係ない」と他人事のように捉えている人がいる一方で、「なったら終わりだ」と過度に怯える人もいるのが実情です。
医療の進歩により、アルツハイマー病は「早く気づいて正しく備える」ことで、その後の人生を自分らしく豊かに過ごせる病気へと変わりつつあります。
原因や進行メカニズム、加齢によるもの忘れとの違いなど、すべての人に知ってほしいアルツハイマー型認知症の基本について、岩田淳先生(東京都健康長寿医療センター)が詳しく解説します。
アルツハイマー型認知症とは?

認知機能の変化・認知症の種類(文献1を参考に編集部作成)
「アルツハイマー型認知症」とは、脳細胞の減少により脳が萎縮する「アルツハイマー病」という進行性の脳疾患が原因で起こる認知症です。
新しいことが記憶できない、時間や場所がわからなくなるといった症状からはじまり、進行すると、単純な作業や身の回りのことができなくなります。
進行は比較的緩やかですが、症状がみられないときから脳内では変化が起きており、健常からMCI(軽度認知障害)、そして認知症と数年から数十年かけて徐々に進行します。
アルツハイマー型認知症は高齢者に限ったものではなく、30代や40代といった現役世代で生じる場合もあります。
アルツハイマー病と認知症の違い
アルツハイマー病と認知症を混同していたり、認知症に様々な種類があることを知らない人も多いのではないでしょうか。
そもそも認知症とは、特定の病名ではなく「認知機能が低下し日常生活に支障が出ている状態」の総称です。
アルツハイマー型認知症の他、血管性認知症やレビー小体型認知症など、原因が異なる様々なタイプの認知症があります。
中でも認知症全体の67.6%を占め、最も割合が多いのが「アルツハイマー型認知症」です。

認知症の主な種類(文献2を元に編集部作成)
- 岩田先生

認知症は記憶や判断力の低下で生活に支障が出た「状態」の総称であり、病名ではありません。一方でアルツハイマー病は病名ですが認知症の原因の1つにすぎません。両者を混同すると、治療で改善しうる別タイプの認知症を見落としたり、タイプごとに異なる適切な薬やケアを誤ったりする恐れがあります。
また「進行して何もできなくなる病」という固定観念が本人の力を過小評価し、偏見や過度の絶望を招くことも懸念されます。認知症は状態、アルツハイマー病はその一因という区別が重要です。
若年性アルツハイマー病とアルツハイマー病の違い
65歳未満で発症する認知症は「若年性認知症」と呼ばれ、原因がアルツハイマー病の場合は「若年性アルツハイマー病」とも表現されます。
「若年性アルツハイマー病」という特別な病気があるわけではなく、発症時期に応じて分類する考え方の1つです。
2020年度の調査によると、日本国内の若年性認知症者数は約3.57万人と推計されています。そのうちアルツハイマー型が52.6%を占めており、若年性認知症でもアルツハイマー病が最多の原因疾患となっています。
- 岩田先生

若年性アルツハイマー病は明確な遺伝性を持つ場合が確かにあります。しかし、これは同じ家系内に同じような年齢で発症した患者さんが明らかに多数いるという場合であり、極めて稀です。多くの場合は子への遺伝を過度に心配する必要はありません。父親が癌だから、母親が糖尿病だから、自分も気を付けなければ、という程度の心配で十分かと思います。
MCI(軽度認知障害)の原因の多くはアルツハイマー病
もの忘れなど認知機能の低下が見られるものの、認知症の一歩手前にあたる中間の状態をMCI(軽度認知障害)といいます。
認知症と同じく、様々な原因によって引き起こされるのが特徴です。

MCIの原因(監修:岩田淳先生)
2022年の調査によると、MCIの有病率は65歳以上では15.5%とされ、558.5万人いると推計されています。
MCIのなかでも、原因の5割はアルツハイマー病とされ、その場合は認知症に移行する可能性が高いと考えられています。
このように、認知症やMCIの半数はアルツハイマー病に起因するため、年齢や症状の程度を問わず、身近な疾患であることがわかります。
加齢によるもの忘れとアルツハイマー病によるもの忘れの違い
アルツハイマー型認知症の人に代表的な症状がもの忘れ(記憶障害)です。
ただし、アルツハイマー病による記憶障害と、加齢によるもの忘れでは性質が大きく異なります。
アルツハイマー型認知症の場合は、脳の神経細胞の変性や脱落によってもの忘れが起こり、体験したことそのものを完全に忘れてしまいます。ヒントを出しても思い出せず、本人に忘れた自覚がないことが特徴です。

認知症と加齢によるもの忘れの違い(監修:岩田淳先生)
一方、加齢によるもの忘れは、脳の生理的な老化によって起こります。
忘れてしまうのは体験したことの一部分であり、ヒントを出せば思い出せるケースがほとんどです。本人に「忘れっぽい」という自覚がある点もアルツハイマー病とは異なります。
また、アルツハイマー型認知症の場合、病気の進行とともに記憶障害だけでなく判断力や意欲の低下などさまざまな症状が生じ、日常生活や社会生活に支障が出る点でも加齢による変化とは異なります。
項目 | 加齢によるもの忘れ | アルツハイマー型認知症 |
|---|---|---|
原因 | 脳の生理的な老化 | 脳の神経細胞の変性や脱落 |
もの忘れ | 体験したことの一部分を忘れる(ヒントがあれば思い出す) | 体験したことをまるごと忘れる(ヒントがあっても思い出せない) |
症状の進行 | あまり進行しない | だんだん進行する |
判断力 | 低下しない | 低下する |
自覚 | 忘れっぽいことを自覚している | 忘れたことの自覚がない |
日常生活 | 支障はない | 支障をきたす |
加齢によるもの忘れとアルツハイマー型認知症の違い(監修:岩田淳先生)
アミロイドβの蓄積とアルツハイマー病が進行するメカニズム
アルツハイマー病は、脳内にアミロイドβ(アミロイドベータ)と呼ばれる異常なタンパク質が蓄積することで、脳の神経細胞の働きが阻害・破壊されることで進行すると考えられています(アミロイドカスケード仮説)。

アミロイドβの蓄積とアルツハイマー型認知症の進行 (文献6より編集部作成)
アミロイドβは健康な人の脳内でもつくられていますが、通常は生成と代謝・排出のバランスが保たれることで溜まることはありません。
しかし、加齢や遺伝、生活習慣などにより、生成量に対して代謝や排出の機能が低下すると、アミロイドβが蓄積しアルツハイマー病につながります。
こうしたアミロイドβの蓄積と脳の変化は、アルツハイマー型認知症の発症の20年以上前から始まっています。
ステージ | 無症状期 | MCI(軽度認知障害) | アルツハイマー型認知症(軽度・初期) | 中度(中期) | 重度(後期) |
|---|---|---|---|---|---|
脳の変化 | ・アミロイドβが神経細胞の周りに蓄積し始める ・アミロイドβが蓄積する過程でタウタンパクがリン酸化する | ・蓄積したアミロイドβが神経細胞の情報伝達を妨げる ・リン酸化したタウタンパクが、神経細胞内で神経原線維変化を起こす | ・アミロイドβの蓄積により神経細胞が障害・死滅する ・神経原線維変化が神経細胞死を引き起こす | ・神経細胞が減少することで脳が萎縮する(海馬を中心に萎縮) | ・神経細胞が減少することで脳が萎縮する(脳全体に萎縮が広がる) |
特徴 | なし | 日常生活は自立しているものの、複雑な動作においては時間がかかったり効率が落ちたりといった影響が生じ始める段階です | 記憶障害の他、家事や買い物などの日常生活に支障が出始めますが、食事やトイレといった基本的な動作は自立できる段階です | 認知機能障害の進行により、基本的な日常生活動作においても障害が生じ、生活において介助を要するようになる段階です | 認知機能および生活機能の障害が著しく進行し、食事やトイレなど基本的な動作において完全に介助に依存する状態となる段階です |
アルツハイマー型認知症のステージごとの脳の変化と特徴(文献1,3を参考に編集部作成)
アミロイドβが溜まり始める頃は、認知機能は正常で症状もありませんが、アミロイドβの蓄積が進むと神経細胞が障害・破壊されて認知機能が低下し日常生活に支障が生じます。
- 岩田先生

アルツハイマー型認知症は、突然発症する病気ではありません。もの忘れなどの症状が現れる15〜20年も前から、脳内では原因物質の蓄積が静かに始まっており、健常に見える時期にも変化は着実に進んでいます。また高齢者だけの病気でもなく、40〜50代で発症する若年性のケースもあります。だからこそ、若いうちからの生活習慣の見直しや早めの気づきが大切です。
アルツハイマー病のリスク因子
アルツハイマー病はアミロイドβの蓄積による脳の萎縮が原因とされていますが、アミロイドβが溜まる根本的な理由はまだ解明されていません。
日々の生活習慣をはじめ、加齢や遺伝など、複数の「リスク因子」が相互に影響しているといわれています。
アルツハイマー病を含む認知症のリスクを高めると考えられている「リスク因子」には、対応ができない「修正不可能」なものもある一方、日々の生活の改善などによりリスク低下が期待できる「修正可能」なものがあります。
修正不可能 | 加齢、遺伝子、性別など |
|---|---|
修正可能 | 脳の血流の低下、糖尿病、喫煙、高血圧、肥満、うつ、睡眠障害、頭部への外傷など |
アルツハイマー病のリスク因子(文献1,3を参考に編集部作成)
修正不可能なリスク因子|加齢・遺伝子・性別
加齢はアルツハイマー病の最大のリスク因子とされ、加齢とともに有病率・罹患率が高まります。
加齢は止めたり元にもどしたりできないことから、「修正不可能なリスク」の1つです。
加齢の他、遺伝や家族の病歴、性別もアルツハイマー病の発症リスクに関係していることがわかっています。
家族性アルツハイマー病とは
アルツハイマー病のごく一部は、特定の遺伝子変異が引き継がれることでアルツハイマー病を発症する「家族性アルツハイマー病」とされています。
遺伝的(家系的)な要因でアルツハイマー病を発症しやすく、一般的なアルツハイマー病(孤発性)とは次のような違いがあります。
- 親のどちらかが原因遺伝子を持っている場合、50%の確率で原因遺伝子が子どもに受け継がれる
- 30〜50代と若年期に認知症を発症する
家族性アルツハイマー病の原因遺伝子には、アミロイド前駆体タンパク(APP)遺伝子、プレセニリン1(PSEN1)遺伝子、プレセニリン2(PSEN2)遺伝子が確認されており、この遺伝子に変異があるとアルツハイマー病の原因と考えられているアミロイドβの蓄積が増えることがわかっています。
アルツハイマー病の発症に関係するAPOE遺伝子
アルツハイマー病のリスクを高める遺伝子として、APOE(アポリポタンパク質E)遺伝子が注目されています。
APOE遺伝子は、家族性アルツハイマー病の原因遺伝子とは異なり、一般的なアルツハイマー病に関わる誰もが持つ遺伝子です。
APOEには3つの種類(ε2、ε3、ε4)があり、遺伝子の組み合わせは6通り(ε2/ε2、ε2/ε3、ε2/ε4、ε3/ε3、ε3/ε4、ε4/ε4)あります。
このうち、アルツハイマー病患者では、ε4の遺伝子を持つ人が多く、ε2を持つ人が少ないことから、ε4(APOE ε4)遺伝子がアルツハイマー病のリスク因子であり、ε2(APOE ε2)遺伝子は防御因子と考えられています。
- 岩田先生

APOEε4遺伝子の保持は確かにアルツハイマー病の危険因子です。しかしながら、保持していると必ず発症するわけではありません。
これは発症に関与する要素が多岐にわたるからです。APOEε4遺伝子を保持していても修正可能なリスク因子の管理はとても重要です。
修正可能なリスク因子
アルツハイマー病の発症に関わるリスクのうち、加齢や遺伝子とは異なり、生活習慣の改善や医学的な介入などにより、発症の予防につながると考えられているものを「修正可能なリスク因子」といいます。
アルツハイマー病では、脳の血流の低下や、糖尿病や喫煙、高血圧、肥満のほか、うつや睡眠障害、頭部への外傷がリスク因子として指摘されています。
一方で、脂質代謝異常症については見解が分かれている他、慢性的なアルミニウムの暴露(摂取など)が発症リスクを高めると考えられていましたが、根拠がないことから過度に心配しなくても良いとされるなど原因やリスク因子の研究も進んでいます。
この他、アルツハイマー型認知症を含む認知症の発症には、教育、心身の健康状態や生活習慣、環境など14の要素が影響すると考えられています。
これらのリスクを適切に管理し、次の4点を良好に保つことで認知症を予防し発症を遅らせる可能性があるとされています。
認知症のリスク管理のポイント
- 認知予備能の構築
認知予備能(脳が萎縮しても認知機能を維持する力)を高める活動
- 血管へのダメージ軽減
脳に酸素や栄養を運ぶ血管の健康状態を悪化させない・良好に保つこと
- ストレスと炎症の軽減
脳に直接ダメージを与える要因を避ける
- 認知症の神経病理学的変化の軽減
アミロイドβやタウタンパク質の蓄積につながる要因を避ける
アルツハイマー型認知症の症状

MCI・アルツハイマー型認知症の一般的な症状の例(監修:岩田淳先生)
アルツハイマー型認知症の症状は、大きく「中核症状」と「周辺症状」の2つに分かれます。
脳のダメージにより、アルツハイマー病のほぼ全員に現れるのが「中核症状」です。最近の出来事を忘れるといったもの忘れから始まり、進行すると時間や場所が分からなくなる見当識障害や、判断や言語などの障害が現れます。
一方、中核症状に伴って現れるのが「周辺症状(行動・心理症状)」です。うつ状態や「財布を盗まれた」という妄想、ひとり歩きなど、現れる症状やその度合いが人によって大きく異なるのが特徴です。
アルツハイマー病は治るのか?MCI(軽度認知障害)時点での対応の重要性

MCIの段階で適切な対策を行うことで、健常の状態に戻る可能性があります(文献1を参考に編集部作成)
アルツハイマー型認知症は、進行を完全に止めたり、元の状態に治癒させたりといった根本的な治療法はありません。
一方で、アルツハイマー病はMCIの段階から対処することで、認知症への移行を遅らせることが期待できます。『認知症疾患診療ガイドライン2026』によると、対象者や研究により幅がありますが、さまざまな原因を含むMCI全体のうち、およそ20%の人が健常状態に戻るとされています。
MCIや認知症と診断された場合でも、本人の理解力や判断力が保たれている状態であれば、治療方針や資産管理方法の選択、生活環境の整備など、様々な場面でご自身の希望を反映したり、家族に希望を伝えたりできます。
そのため、アルツハイマー病の予防や治療では、早期(MCI段階、発症前段階)に発見し、進行を遅らせるための対策をできるだけ早い段階から行うことが重要であると考えられています。
- 岩田先生

アルツハイマー病は、症状が現れる十数年も前から、脳内では原因物質の蓄積など変化が静かに進んでおり、健常に見える時期でも水面下で進行しています。年齢を問わず生活習慣や体調の変化に目を向け、気になる兆候があれば早めに相談することが、備えと早期対応につながります。
アルツハイマー型認知症の受診から検査・診断・治療まで

アルツハイマー病の受診から診断までの流れ(監修:岩田淳先生)
アルツハイマー型認知症の検査方法と治療法は複数あり、設備によって対応が変わります。
ここでは、基本的な認知症の検査・診断・治療について、主な手法と流れを紹介します。
アルツハイマー病の検査から診断までの流れ
アルツハイマー病の検査は、主に認知機能の状態を検査する「神経心理学的検査」とMRIやCTを用いた「画像診断」を中心に行います。
必要に応じて、アミロイドβの状態を確認するPET検査や腰椎穿刺(CSF、脳脊髄液)検査などを行い、アルツハイマー病を診断します。
問診 | 現在の症状だけでなく、生活状況やこれまでの病歴なども確認します。 |
|---|---|
神経心理検査 | 質問に答えたり、図形を描くなどして認知機能を確認する検査です。 アルツハイマー型認知症の場合は、動物や植物などの絵を見て一定時間後に何が書かれていたかを回答する課題で、ヒントを出しても正答に結びつかないことが多くあります。 |
頭部MRI検査 | 側頭葉の内側にある海馬や海馬傍回(かいばぼうかい)、扁桃体などに萎縮が認められます。 海馬は記憶を司る部位で、海馬傍回はその周囲の領域です。扁桃体は不安や恐怖などマイナスの感情に関連する部位です。 |
アミロイドPET検査 | 脳内のアミロイドβを画像化する検査です。 前頭葉や後部帯状回、楔前部など大脳皮質の広い範囲にアミロイドβの蓄積が認められます。 |
アルツハイマー型認知症の主な検査(文献1,3を参考に編集部作成)
アルツハイマー型認知症の治療方法
アルツハイマー型認知症の治療には薬物療法と非薬物療法があり、症状に応じて治療が選択されます。
治療においては、当事者や家族の意向や状況に合った治療法を選択することが重要です。
治療法 | 特徴 |
|---|---|
薬物治療 | 認知症の進行を遅らせたり、認知機能の低下を抑えたりする薬のほか、うつや不安などの精神症状を緩和する薬が用いられます。 |
非薬物療法 | 行動・心理症状の改善や残存機能の維持・改善を目指し、運動療法や回想法をはじめ、個々に合わせたプログラムによる認知リハビリテーションを行います。 |
アルツハイマー型認知症の治療法(文献1,3を参考に編集部作成)
アルツハイマー型認知症の介護・ケア方法
アルツハイマー型認知症をはじめとする認知症の治療において、日々のケアは極めて重要です。
当事者に対する周りの人の接し方や過ごす環境次第で、認知機能の維持が期待できる一方、症状が悪化することもあります。
そのため、介護やケアにおいては、「本人の尊厳を守ること」を基本とした安心感のある関わりが求められます。
一方で、認知症当事者を支える介護者の負担も相当なものがあります。
介護者自身が心と体を労わり、家族や地域、行政といった周囲のサポートも得ながら介護に向き合える環境を整えることが大切です。
アルツハイマー型認知症の介護・ケアの基本的な考え方
当事者を「一人の人」として尊重し、本人の視点や立場に立って理解しようとする姿勢をもつ(パーソンセンタードケア)
問題行動とされるものを「異常行動」と片付けず、意味のある行動、当事者からのサインとして受け入れる姿勢を大切に(バリデーション)
「人間らしさ」を尊重し、当事者の状況に応じたケアを心がける(ユマニチュード)
本人の希望や価値観を共有し、可能な限り本人の意思や決定を最大限に尊重し、支援する
介護者(家族)自身の心身のケアも重要視し、困った時は担当のケアマネジャーや地域包括センターなどの支援を求める
- 岩田先生

アルツハイマー型認知症の人は介護者の鏡とよく言います。これは、アルツハイマー型認知症の方は、相手の感情の変化や気持ちが分かるからです。つまり介護者がイライラしていたり、悲しそうにしていると、自ずと患者さんも同じようになってしまいます。介護は日々続いていくものです、行き当たりばったりではなく、大きなビジョンを持って、時にはショートステイやデイサービスを利用して患者さんとの距離を保ちつつ介護ができるようになると良いですね。
アルツハイマー病は未病段階からの対策が予防につながる
アルツハイマー病を100%防ぐ「確実な予防法」はありません。
しかし、様々な研究により、アルツハイマー病は「対策ができない手の施しようがない病気」ではなくなりつつあります。
例えば、WHO(世界保健機関)は認知症の発症リスクを低下させるために、運動や食事、禁煙、生活習慣病の管理が有効であるとしています。
実際に、食事や運動などの生活習慣を同時に改善することで、認知機能を維持・改善できることを科学的に裏付けた研究(FINGER研究)もあります
以下のように、一般的にも身体に良いと考えられていることは、脳の健康にもつながります。できることから少しずつ取り組んでみましょう。
認知症の発症リスク低減のためにできること
定期的な運動習慣
バランスの良い食事
認知機能トレーニング
良質な睡眠習慣
生活習慣の管理(血管リスクの管理)
社会活動への参加・人との交流
まとめ:アルツハイマー型認知症を正しく理解し、できることから始めよう
アルツハイマー型認知症は、アルツハイマー病という進行性の脳の疾患が原因の認知症です。
進行すると、もの忘れをはじめ、生活に支障をきたす様々な症状があらわれます。
かつては「手の施しようがない病気」とされていましたが、治療薬やケア、予防に関する研究が進み、現在では自分らしく生き続けるためにできることが多くあります。
アルツハイマー型認知症を理解し、自分や家族のためにできること、認知症の当事者のためにできることを考えてみませんか。
- 岩田先生

認知症は誰でも診断される可能性があるという考えを持つことが大事です。特に中年期にはコツコツと出来る対処方法を積み重ねてください。もし診断された場合でも、楽しい思い出を紡いでいくために、日々の生活を写真やビデオに収めて自分の記憶の代わりになってもらいましょう。人生の目的は楽しく、生き甲斐を持って生きていくことです。認知症になったからといってそれが出来なくなることはありません。
この記事の補足情報
参考文献
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著者情報
- PROFILE/ プロフィール

岩田 淳
東京都健康長寿医療センター 副院長 ■Profile 東京大学医学部附属病院神経内科の専門外来「メモリークリニック」にてアルツハイマー病(AD) やレビー小体病、前頭側頭葉型萎縮症等の疾患の診断、治療に当たる。特に早期段階でのAD、レビー小体病の診断が専門。2023年10月より現職。
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