認知症の睡眠障害はなぜ起こる?不眠・昼夜逆転の原因と対処法を解説

認知症の方に見られる「夜眠れない」「昼夜逆転してしまう」といった睡眠障害は、ご本人だけでなく介護されるご家族にとっても大きな負担となります。
こうした睡眠の乱れは、体内時計の変化や薬の影響、身体の痛みや痒みなど、多様な要因が絡み合って発生します。
認知症の睡眠障害の中には、適切な治療や生活習慣の工夫によって改善できるケースも少なくありません。
認知症に関連する睡眠障害の原因や対策、介護時の注意点について、不眠症を専門とする精神神経科医の古川由己先生が詳しく解説します。
正しく原因を理解し、毎日の睡眠習慣の改善に役立ててみてください。
この記事でわかること
認知症に伴う睡眠障害(不眠・昼夜逆転など)の主な原因
家庭で取り組める睡眠習慣の改善策と介護者自身を守るための工夫
医療機関を受診・相談すべきタイミング
認知症と睡眠障害の関係|なぜ眠れなくなるのか

認知症の方の睡眠障害には、不眠症状だけでなく、睡眠リズムの乱れも考えられます。
認知症によって睡眠に問題が起きるというよりは、脳の変化に加え、身体の不調や薬、生活環境といった要因が重なって起こると考えられます。
脳の変化は止められませんが、それ以外の要因は気づけば変えられるものです。まずは原因を理解していきましょう。
体内時計(概日リズム)の乱れ
睡眠障害の原因の1つは、体内時計(概日リズム、サーカディアン・リズム)の乱れです。
夜に眠くなり朝に目覚めるのは、脳の奥にある「体内時計」がリズムをつくっているためです。年齢を重ねると、この体内時計にも変化が生じ、まとまって眠ることが難しくなります。
知っておいていただきたいのは、体内時計のリズムのずれ方には向きがあり、人によっては逆になる、ということです。
加齢に伴う変化としては、リズムが前倒しに傾きやすいことが知られています。夕方から眠くなり、夜中や早朝に目が覚めてしまう形です。
一方、認知症のある方では、逆に後ろにずれる(夜になっても眠くならず、朝はなかなか起きられない)方もいると報告されています。
身体症状(尿意や身体の痛み)・薬や環境による影響
睡眠障害は、身体的な不調や不快感、薬や環境の変化などが原因の場合もあります。
- 頻尿
歳を重ねるとともに頻尿症状を訴える方は増えます。そうすると、当然夜中に起きる回数が増えて、不眠症状につながります。
- 身体的不調
痛み・かゆみなども睡眠を妨げる要因になります。
- 呼吸に関する疾患
睡眠時無呼吸症候群のほか、心不全やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)など呼吸に影響する身体疾患も睡眠に影響します。
- 薬の影響
なかには服用中の薬が睡眠を妨げていることもあります。
- 環境の変化
入院や施設入所などの環境変化も睡眠に影響します。
このように、さまざまな要因が影響し、睡眠障害につながることがあるのです。
- 古川先生

出張や旅行で寝る環境が変わって寝づらくなるという経験は誰でもあるのではないでしょうか。環境の変化や身体的な不快感が、不眠などの睡眠障害につながることは珍しいことではありません。
睡眠障害と認知症の双方向の関係
近年の研究では、睡眠の問題と認知機能の低下は互いに影響し合う関係にあると報告されています。ただし、影響度合いやどちらが主な原因なのかは、まだ結論が出ていません。
ですから「眠りを整えれば認知症を防げる」と言い切ることはできません。一方で、眠りが整えばご本人が楽になり、ご家族の負担も軽くすることができるかもしれません。
睡眠のトラブルの対処では、まずは「今よりも状況を改善すること」を目的にするとよいでしょう。
- 古川先生

認知症の方の睡眠の問題は、「寝つけない」よりもリズムの崩れとして現れることが多いのが特徴です。診察では、何時に寝て何時に起きているか、日中どう過ごしているかを、ご家族から伺うことを大切にしています。ご本人の記憶だけでは把握が難しいためです。 受診の際は、日々の睡眠の様子を伝えられるように準備しておくとスムーズです。
認知症でみられる睡眠障害のタイプと症状

認知症にはいくつかの型があり、型によって出やすい睡眠の問題が違います。
認知症で特に睡眠障害がでやすいのは、もの忘れから始まることの多いアルツハイマー型認知症と、幻視やパーキンソン症状(手のふるえ、動作の遅さ)を伴いやすいレビー小体型認知症です。
睡眠障害の代表的な症状を認知症のタイプ別にまとめているので参考にしてください。
現れやすい症状 | どう現れるか | 気づいたときの目安 | 多くみられる認知症の型 |
|---|---|---|---|
不眠 | 寝つけない/夜中に何度も起きる/朝早く目が覚める | 日中の眠気が強ければ相談を | 型を問わずみられる |
昼夜逆転・日中の過眠 | 昼に眠り、夜に活動する | 介護が続けられないと感じたら相談を | アルツハイマー型認知症の進行期 レビー小体型認知症 |
夕方から夜に落ち着かなくなる・急に混乱する(急に始まったものは「せん妄」) | 夕方以降そわそわする、急に話がかみ合わなくなる | 急に始まったなら翌日に相談を。意識がぼんやりしていれば当日中に | 型を問わずみられる |
レム睡眠行動障害 | 夢に合わせて叫ぶ、身体が大きく動く | ベッドから落ちる前に相談を | レビー小体型認知症 |
睡眠時無呼吸・レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群) | 大きないびき、呼吸が止まる/脚がむずむずする | 治療で改善が期待できるため相談を | 型を問わずみられる |
認知症のタイプと現れやすい睡眠障害の症状(作成:古川由己先生)
※現れ方には個人差が大きく、表はあくまで目安です。診断は医師が行います。
不眠と昼夜逆転(昼に寝てばかりいる・過眠)
不眠には、次の3つのパターンがあります。
- 寝つけない
- 夜中に何度も目が覚める
- 朝早く目が覚めてしまう
高齢の方では、夜中に何度も目が覚める、朝早く目が覚めてしまう、の2つが中心になりやすい傾向があります。
夜眠れないと日中に眠くなり、活動量が減って、また夜眠れなくなる。この悪循環が昼夜逆転につながります。
昼間に眠ると、介護者としては日中の活動がしやすくなるのですが、その分、夜が眠れなくなり、介護者も夜の睡眠が十分に取れなくなることになりがちです。
夕方から夜に落ち着かなくなる・急に混乱する(夕暮れ症候群)
認知症の方の中には、夕方から落ち着かなくなる、といった症状が見られることがあります。いわゆる「夕暮れ症候群」と呼ばれる状態です。
このような症状が見られた時に大切なのは、その変化がいつものことなのか、急に始まったかどうかです。
- 数日のうちに急に混乱が強まった
- 日によって、時間帯によって、意識の冴え具合(はっきりしているか)に波がある(日内変動)
こうしたときは「せん妄」を疑います。
せん妄は認知症とは別のもので、発熱や脱水、便秘、痛み、薬の影響など、身体の不調が原因で起こります。
原因が見つかれば良くなることが多く、逆に見逃すと肺炎や心疾患などの治療が遅れることもあります。受診の際には、症状がいつ出たか、日内変動はあるか、をお伝えいただくとよいでしょう。
夕暮れ症候群とせん妄を見分けるポイント
- 夕暮れ症候群
以前から夕方になると決まってそわそわする
- せん妄
ここ数日で急に様子が変わった、1日の中で意識の冴え具合(はっきりしているか)に波がある
そのうえで、次のいずれかがあるときは時間を問わずすぐに受診してください。夜間であれば、ためらわず救急要請してください。
- 意識がはっきりしない、呼びかけへの反応が鈍い
- 高い熱がある、ぐったりしている、水分がとれない
- 呼吸が苦しそう、けいれんがある、頭を打った
- 古川先生

多くの場合、このような症状がなければ、夜間にあわてて救急外来へ行く必要はありません。場所が変わると、かえって混乱が強まることがあるためです。翌日の日中に、かかりつけの先生へご相談ください。
レム睡眠行動障害
夢に合わせて大声を出す、身体が大きく動くといった様子が見られる「レム睡眠行動障害」は、レビー小体型認知症との関連が指摘されています。
レビー小体型認知症では、眠っているときに身体の動きを抑える神経回路に病変が生じていることが指摘されています。
まずはベッドの周りを片づける、床にマットを敷くなど、転落と怪我を防ぐ工夫が必要です。そのうえで、治療によって改善する場合がありますので、医療機関を受診しましょう。
睡眠時無呼吸やレストレスレッグス症候群も、CPAP(持続陽圧呼吸療法)と呼ばれる装置や薬によって改善することが期待できます。
まず確かめたい!睡眠障害の「治せる原因」
認知症による脳の変化そのものを元に戻すことは、今のところできません。
しかし、眠りを妨げている原因の中には、改善可能な症状もあります。
改善可能性のある睡眠障害のチェックポイント
最近、処方される薬が増えたり変わったりしていないか
夜間の頻尿、便秘、痛み、かゆみはないか
大きないびきや、呼吸が止まる様子はないか
脚がむずむずして、じっとしていられない様子はないか(レストレスレッグス症候群の可能性があります)
数日のうちに急に様子が変わっていないか。熱や脱水はないか
寝室が明るすぎる・うるさい・暑い・寒い、入院や入所で環境が変わった、ということはないか
1つでも当てはまるなら、生活の工夫を始める前に、まず専門家に相談してみる価値があります。
服薬が原因の可能性があっても、自己判断で減量したり中止したりせず、かかりつけ医か薬剤師に相談してください。
- 古川先生

「夜中に何度も目を覚ます」「昼間は眠ってばかりなのに、夜になると動き出す」。認知症のあるご家族を介護されている方から、こうしたご相談をよくいただきます。睡眠の問題は、ご本人がつらいだけでなく、ご家族の生活も少しずつ削っていきます。ただ、睡眠の問題には、手を打てるものもあるので、「認知症だから仕方がない」とあきらめず、まずは気軽に医療機関に相談いただきたいと思います。
家庭でできる睡眠習慣の改善策|今日から始める3つの対応

睡眠の問題への対応は、まずは薬に頼らない工夫から始めることが大切です。
生活習慣や睡眠環境の見直しなど、薬以外の方法が有効な場合もあり、眠くなる薬の中には転倒リスクがあるものもあります。また、高齢になるにつれて薬の数は増えがちで、相互作用によるリスクも高くなってしまいます。
ただ、あれもこれもと同時に始めると続きません。まずは次の3つに絞って対策してみましょう。
① 起きる時刻をそろえる
寝る時刻はご本人にも決められませんが、起きる時刻は決められます。ですから、就寝時刻ではなく起床時刻からそろえていくことから始めましょう。
眠れない夜があっても、翌朝の起床時刻は動かさないのがポイントです。
「起こす」というより「一緒に朝ごはんを食べる」という形にすると、ご本人も受け入れやすくなるでしょう。
② 光は「その人のリズムに合わせて」使う
「陽の光を浴びる」のは、どなたにも一律にお勧めできるものではないのでご本人に合わせることが大切です。
よく「朝の光を浴びましょう」といわれます。体内時計を整えるうえで朝の光が重要なのは確かです。
ただし、認知症のある方への光の当て方は、効果があったとする報告も、はっきりした効果は確認できなかったとする報告もあり、研究結果が一致していません。
光を浴びるかどうかは、次の目安を参考にしてみてください。
光を浴びるかどうかの目安
- 夜更かし型・昼夜逆転型
朝の光と日中の外出が合いやすくなります。
- 前倒し型(夕方から眠くなり、夜中や早朝に目が覚める)
朝に強い光を浴びるとリズムの前倒しがさらに進むことがあります。夕方を明るく過ごし、朝は薄暗さを保つほうが合うこともあります。
- 古川先生

夜更かし型か前倒し型かどちらか分からないときは、1〜2週間ほど「何時に寝て何時に起きたか」を紙に書き出し、かかりつけ医に見せてください。睡眠のリズムが乱れていることが分かれば、薬だけに頼らない対処法もアドバイスしてもらえるでしょう。
③ 日中の過ごし方と、寝る前・寝室を整える

日中の過ごし方や就寝前の習慣や環境を整えましょう。
睡眠を改善するためのポイント
日中は、散歩や家事、デイサービスなど、身体を動かし人と話す時間をつくりましょう。
昼寝をする場合は「夕方以降は避ける」「寝込まない」を目安にしてください。
寝る前はカフェインとアルコールを控えめに。
寝室は暗く静かに、暑すぎず寒すぎず。
トイレまでの通り道を片づけ足元灯をつけておく。夜間の転倒を防げます。
夜中に起きてしまったときは、強く止めたり叱ったりせず、まず「どうされましたか」と受け止めてください。トイレや身体の痛み、空腹など、理由があることが少なくありません。
睡眠障害でやってはいけない対応とよくある失敗
睡眠トラブルがある場合に、次のような対応は控えましょう。
症状の悪化や、別のトラブルにつながることもあります。
睡眠障害で注意すべき対応
- 無理に眠ろうとする・寝かせようとする
眠くないのに床にいる時間が長くなると、かえって眠りが浅くなります。眠くなってから床に入るほうが、結果的によく眠れます。
- 強く否定する・訂正する
不安と興奮を強めます。まず受け止め、それから別の話題に移してください。
- 市販の睡眠改善薬やサプリメントを自己判断で使う
市販の睡眠改善薬やサプリメントを使用する際は注意が必要です。高齢の方では持ち越しやふらつき、転倒につながることがあります。また、せん妄の要因になる場合もあります。かかりつけ医か薬剤師にご相談ください。
- 日中に長く眠りすぎる・寝かせすぎる
夜の眠りを削ります。声をかけ、日中の予定を1つ入れてみてください。
睡眠障害における薬物療法の位置づけと注意点
不眠の治療では、認知行動療法をはじめ、生活習慣や睡眠環境の見直すなど、薬を使わない方法が基本になります。
認知症のない高齢の方や、軽度認知障害のある高齢者では効果が示されており、効果が長続きしやすいことも報告されています。
認知症のある方での検証はまだ十分ではありませんが、考え方そのものは応用できます。特に次の3つは、ご家庭でも取り入れやすいでしょう。
- 眠くなってから床に入る
- ベッド・布団にいる時間を長くしすぎない
- 起きる時刻を毎日そろえる
ただし、認知症のある方は、ご本人だけで続けるのが難しいことがあります。ご家族が一緒に取り組み、取り組みやすいように簡略化して構いません。
薬を使う場合は、医師の判断のもとで慎重に行います。高齢の方では、ふらつきや転倒、骨折、日中の眠気、混乱が強まることがあるためです。
特に注意が必要なのは、ベンゾジアゼピン系と呼ばれる睡眠薬・抗不安薬と、それに似たはたらきをもつ睡眠薬です。
日本老年医学会の『高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2025』でも、高齢の方には特に慎重な投与を要する薬として挙げられています。米国老年医学会のビアーズ基準でも、同じ趣旨の注意が示されています。
すでに服用中の方は、自己判断で急にやめたり量を変えたりしないでください。反動で眠れなくなることがあります。減らす場合も、医師と相談しながら時間をかけて進めます。
また、薬局などで購入できる睡眠改善薬にもさまざまな種類があります。せん妄など、ほかの症状の原因になったり、別の薬との飲み合わせに注意が必要な場合もあります。使用を検討する場合は医師や薬剤師に相談すると安心です。
- 古川先生

「なにかお薬は飲んでいますか」と聞かれて、病院で処方されている薬は伝えても、サプリメントや薬局で買える薬、漢方は伝え忘れる、という方も珍しくありません。これらも大事な情報ですのでかかりつけ医の先生に伝えるようにしてください。
睡眠障害の受診の目安と相談先

次のような場合は、日中にかかりつけの先生へご相談ください。
- 数日のうちに急に眠れなくなった、様子が変わった
- 大きないびきをかく、呼吸が止まっているように見える
- 夢に合わせて叫ぶ、身体が大きく動く、ベッドから落ちた
- 転倒やけがのおそれがある
- 介護するご家族が睡眠不足で限界に近い
一方、頭を打った、けいれんがある、意識がはっきりしない、高い熱がある、水分がとれないときは、時間を問わず受診してください。
相談先は、まずかかりつけ医です。
専門的な相談が必要ならもの忘れ外来や認知症疾患医療センター、介護の体制についてはお住まいの地域包括支援センターが窓口です。
受診の際に睡眠の記録をお持ちいただくと、スムーズにアドバイスを受けられるでしょう。
介護する家族の睡眠を守り負担を軽減するための工夫
夜間の対応が続くと、介護するご家族のほうが先に倒れてしまうことがあります。介護者の不眠は、気持ちの持ちようの問題ではありません。1人で抱え込まず、周囲のサポートを求めてください。
介護する家族の睡眠を守るポイント
- 交代をルールにする
「疲れたら代わる」ではなく曜日で決め、一晩通して眠れる日をつくる
- サービスを使う
ショートステイ、デイサービス、小規模多機能型の事業所を利用する
- 機器に頼る
見守りセンサー、GPS、玄関の開閉を知らせる機器(ひとり歩き対策)
- 相談する
ケアマネジャー、地域包括支援センター、家族会など
眠れない状態が続くようなら、ご家族自身が受診することも大切です。無理をせず、ご自身の体調も大切にしてください。
介護する側の睡眠を守ることが、認知症の当事者を守ることにもつながります。
認知症の睡眠障害に関するよくある疑問
ここでは睡眠トラブルに関するよくある疑問について見ていきましょう。
認知症の睡眠障害は治りますか?
完全になくすことは難しい場合が多いですが、原因が分かれば軽くすることはできます。薬の影響、睡眠時無呼吸、痛みや頻尿など、治療できる原因が隠れていることがあります。
睡眠障害は認知症の初期サインになりますか?
睡眠の変化がもの忘れなどより先に現れることがあると報告されています。ただし、眠れないこと自体はよくあることで、その多くは加齢による変化です。気になるときは、ご自身で判断せず受診してください。
市販の睡眠改善薬やサプリメントを使ってもよいですか?
自己判断での使用は注意が必要です。ほかの薬との飲み合わせの問題があり、高齢の方ではふらつきや転倒、せん妄につながることがあります。使う前にかかりつけ医か薬剤師にご相談ください。
昼夜逆転を直すにはどこから始めればよいですか?
起きる時刻をそろえるところから始めましょう。光の使い方は前倒し型か夜更かし型かで変わりますので、まずは睡眠の記録をとってみてください。数日ではなく数週間かけて整えていくものです。一進一退を繰り返すことも珍しくありません。
夜中に出歩いてしまう場合はどうすればよいですか?
安全の確保が最優先です。通り道の物を片づけ、足元灯をつけ、玄関の開閉を知らせる機器やGPSの利用を検討してください。家庭の事情、家の構造や周囲の環境によって適切な対応・可能な対応は異なります。ケアマネジャーにもご相談ください。
まとめ:睡眠障害は原因を知り、生活の工夫と相談で軽くできる
認知症のある方の睡眠の問題は、脳の変化だけで決まるものではありません。大切なのは次の3つです。
- 治せる原因を並行して探す:薬、痛み、頻尿、いびき、体調の変化
- 生活の工夫は絞る:起床時刻をそろえる、その人に合った光の使い方、日中の活動
- ひとりで抱えない:かかりつけ医、地域包括支援センター、家族会
眠れない夜が続くと先が見えなくなりがちですが、手をつけられるところは必ずあります。まずは睡眠の記録を一週間つけることから始めてみてください。
この記事の補足情報
参考文献
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国立精神・神経医療研究センター:精神保健研究所 睡眠・覚醒障害研究部:概日リズム睡眠・覚醒障害(CRSWD)[https://www.ncnp.go.jp/nimh/sleep/sleep-medicine/crswd/index.html](最終閲覧日:2026年9月9日)
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Riemann D, et al. The European Insomnia Guideline: An update on the diagnosis and treatment of insomnia 2023. J Sleep Res. 2023;32(6):e14035. doi:10.1111/jsr.14035. 日本語訳: 古川由己. 監修: 山本隆一郎, 中島俊, 坂田昌嗣. 2025.[https://yukifurukawa.jp/european-insomnia-guideline-2023/](最終閲覧日:2026年9月9日)
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日本老年医学会編:高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2025.メジカルビュー社.2025.
- 12.
- 13.
- 14.
著者情報
- PROFILE/ プロフィール

古川 由己
東京大学医学部附属病院 精神神経科 【専門領域】 専門は不眠症、不眠の認知行動療法(CBT-I)、システマティックレビュー・メタアナリシス。 筆頭著者論文を JAMA Psychiatry に発表(Clarivate 社 Hot Papers 認定)。 【経歴】 名古屋市立大学医学部卒業。南生協病院にて初期研修。 東京大学医学部附属病院精神神経科・東京武蔵野病院にて専攻研修。 2024〜2026年、ミュンヘン工科大学医学部精神科(Stefan Leucht 研究室)にて臨床研究に従事。 【所属学会・資格】 日本精神神経学会 日本専門医機構認定 精神科専門医、精神保健指定医 【著書】 『ねころんで読める(けどねころんじゃいけない)不眠症』(メディカ出版)
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