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脳とタンパク質・アミノ酸の関係は?脳や認知機能への影響・効率的な摂取方法を解説

脳とタンパク質・アミノ酸の関係は?脳や認知機能への影響・効率的な摂取方法を解説

「最近なんとなく集中できない」「気分が落ち込みやすい」

それは「脳の栄養不足」が関係しているかもしれません。
タンパク質は炭水化物、脂質と並ぶエネルギー産生栄養素(三大栄養素)のひとつで、身体だけでなく、脳の働きにも欠かせない栄養素です

タンパク質は体内でアミノ酸に分解された後、脳に取り込まれ、神経伝達物質やホルモンの材料になります。

この記事では、脳におけるタンパク質・アミノ酸の働きや効率的な摂取方法をわかりやすく解説します。

脳におけるタンパク質・アミノ酸の主な役割

タンパク質と、タンパク質を構成するアミノ酸は、脳にとって必要不可欠な栄養素です。脳におけるタンパク質とアミノ酸の役割は大きくわけて4つあります。

神経細胞のネットワークを構築する

私たちの脳には膨大な数の神経細胞があり、細胞同士がつながり情報を伝え合うことで脳は機能しています。

脳細胞は胎児のときに作られ、この時期にほぼ完成する一方で、神経細胞は複雑につながりあってネットワークを形成し、生きるために必要な知覚や運動、記憶、学習などの機能を支えています

この神経細胞のネットワークを作るのに必要なのが、タンパク質です。
神経同士をつなぐ「軸索」を伸ばしたり、軸索を取り囲む「ミエリン鞘(しょう)」を形成したりするのに使われます

軸索やミエリン鞘など神経細胞の図

 神経伝達物質の原料

神経細胞のネットワークにおいて、さまざまな情報の伝達役を果たしているのが神経伝達物質です
脳内では、さまざまな種類の神経伝達物質が働いています。
記憶や気分、感情の動きなどをつかさどるノルアドレナリン、セロトニン、ドーパミンなどの神経伝達物質はアミノ酸から作られます

脳の疲労軽減

アミノ酸は、脳の疲労軽減にも関わることが研究で示されています。
脳内ではドーパミンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質が働き、集中力や思考力を維持しています。
ところが、強いストレスがかかるとこれらのバランスが崩れ、思考力や判断力の低下につながります

この「脳疲労」と呼ばれる状態に対して、タウリンや必須アミノ酸(体内で合成できないアミノ酸)を組み合わせると、神経細胞内のエネルギー源であるATPの産生が増える可能性が示されています。
神経細胞のエネルギー量が高まることは疲労回復につながると考えられており、アミノ酸による疲労軽減の効果が期待されます

認知機能の維持・向上

アミノ酸は、認知機能の維持や脳を健康に保つためにも重要な栄養素のひとつです。
認知機能とは、記憶力や言語能力、判断力など、物事を正しく理解し、適切に実行するための機能であり、日常生活においてなくてはならない機能です

この認知機能が低下し、社会生活に支障をきたした状態が「認知症」です。認知症では、原因となる疾患に応じて、神経細胞の減少や脳の萎縮などの変化がみられることがあります

こうした脳の変化と栄養の関係に関するマウスを用いた研究では、特定の必須アミノ酸を組み合わせて摂取することで、神経細胞の減少や脳の萎縮が抑制される可能性が示されました

また、認知症の症状の背景には、アミノ酸を材料として生成されるドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質の減少が影響するものもあります。

アミノ酸は、脳において重要な役割を担う栄養素なのです。

脳に必要なアミノ酸の種類と豊富に含む食材

主にタンパク質として食事から摂取されるアミノ酸は、神経細胞の材料となり、脳の機能を支える重要な栄養素のひとつです。

ここでは主要なアミノ酸のうち、特に脳に必要なアミノ酸とその働き、アミノ酸を豊富に含む食材を紹介します。

リジン

リジンは必須アミノ酸のひとつです
リジンは、メンタルヘルスとの関連が注目されている栄養素で、リジンが不足すると、ストレス耐性が低下することが報告されています

リジンは肉や魚介類、卵などに多く含まれています。

  • 牛乳
  • レバー
  • 肉類
  • 魚介類
  • 大豆製品など

ヒスチジン

ヒスチジンは必須アミノ酸のひとつで、体内でヒスタミンに合成されます
ヒスタミンは、脳内では神経伝達物質として覚醒状態の維持や学習による記憶、食欲の調節など、脳機能を支える役割があります

ヒスチジンは次のような食品に多く含まれています。

  • ハム
  • 鶏肉
  • チェダーチーズ
  • 子牛肉など

ヒスタミンは、体内で炎症やアレルギーを引き起こす物質でもあります。
花粉症やアレルギーの治療薬としても知られる抗ヒスタミン薬で眠気が生じるのは、ヒスタミンの脳における働きである覚醒状態を保つ働きが抑えられるためです

トリプトファン

トリプトファンは必須アミノ酸のひとつで、体内で神経伝達物質のセロトニンに合成されます。
セロトニンには主に精神を安定させる働きがあり、自律神経を整え日中の活動を支える重要な役割を担っています

さらに、セロトニンは睡眠をサポートするホルモンのメラトニンの材料となります。メラトニンは昼間に多くの光を浴びると、夜間の分泌量が増えることがわかっています

トリプトファンは大豆や乳製品などの食品に多く含まれています。

  • 大豆製品
  • チーズ
  • 牛乳
  • 豆類
  • バナナなど

フェニルアラニン

フェニルアラニンは必須アミノ酸のひとつで、体内で非必須アミノ酸のチロシンとなり、神経伝達物質であるノルアドレナリンやドーパミンに合成されます

ノルアドレナリンはストレスを感じると放出され、交感神経を優位にさせ、いわば身体を「戦闘モード」にする物質です
また、ドーパミンは目標や報酬の提示に対し放出され、やる気や意欲につながります

フェニルアラニンは次のような食品に多く含まれています。

  • アーモンド
  • 大豆製品
  • チーズ
  • 肉類
  • 魚介類
  • 卵など

アルギニン

アルギニンは体内で合成される非必須アミノ酸のひとつです
成長期などの特定の状況下では需要が高まるため、条件付き必須アミノ酸とされることもあります

また、アルギニンは成長ホルモン分泌を刺激することが知られています。成長ホルモンは小児の成長に重要な役割を果たし、成人においても筋肉量や代謝機能の維持に関与するホルモンです

アルギニンは次のような食品に多く含まれています。

  • 玄米
  • 全粒粉
  • 種実
  • 子牛肉
  • 鶏肉
  • 大豆
  • エビ
  • 牛乳など

BCAA

BCAAは、バリン、ロイシン、イソロイシンの3つの必須アミノ酸を指します。
BCAAは、主に筋肉のエネルギー代謝や合成に関わり、運動時のパフォーマンス維持や筋肉の損傷を抑えるために欠かせない栄養素です。
脳においては、激しい運動後に増えすぎたセロトニンにより感じる疲労感を軽減する可能性があるといわれています

BCAAは次のような食品に多く含まれています。

  • 牛肉
  • 鶏肉
  • 大豆
  • チーズ
  • マグロ
  • カツオ
  • アジ
  • サンマなど

タンパク質・アミノ酸が不足した場合の脳の健康への影響

タンパク質・アミノ酸は脳の機能を維持するために必要な栄養素です。
タンパク質やアミノ酸が不足した場合の、脳への影響について見てみましょう。

集中力・やる気の低下

集中力ややる気に関わる神経伝達物質には、ノルアドレナリンやドーパミンがあります
これらは、外からのストレスや刺激などを感じると放出され、ストレスに立ち向かうための態勢を整えたり、意欲を生んだりします

タンパク質が不足すると、神経伝達物質の材料となるアミノ酸が不足し、これらの神経伝達物質が十分に合成されなくなる可能性があります。
その結果、集中力の低下や意欲の低下などが起こることがあります

イライラ・メンタルへの悪影響

イライラや不安などの精神状態には、神経伝達物質であるセロトニンが関わっています。
セロトニンは、ドーパミンやノルアドレナリンの働きを調整し、心のバランスを保つ役割を担っています
セロトニンの材料となるのが必須アミノ酸のトリプトファンです。
摂取量が不足すると合成が低下しやすくなり、イライラや不安、うつなどのメンタルの不調に影響することが示唆されています

認知機能の低下

認知機能は加齢に伴い、徐々に低下します。この認知機能の維持に関わるもののひとつがタンパク質です。
その中でも牛乳、乳製品を除く、肉類などの動物由来の食品や、卵、豆類からのタンパク質摂取量は、60歳以上の認知機能と相関することが報告されています

睡眠障害・睡眠の質の低下

日中に活動すると夜に眠くなるという覚醒と睡眠のリズムには、メラトニンというホルモンが深く関わっています
メラトニンの合成に関わっているのがアミノ酸のトリプトファンです。
トリプトファンの不足は、睡眠の質の低下と関連している可能性があることが報告されています

タンパク質・アミノ酸を効率よく摂取するためのポイント

タンパク質を構成する20種類のアミノ酸のうち、9種類の必須アミノ酸は身体の中で合成できないため食事から摂取する必要があります。

タンパク質やアミノ酸を効率よく摂取する方法を見てみましょう。

キウイと一緒に摂取する

タンパク質は20種類のアミノ酸が鎖状につながってできていますが、このままでは吸収できません
消化液に含まれるタンパク質分解酵素によって、アミノ酸、またはアミノ酸が複数連なった状態(ペプチド)まで分解され、身体に吸収されます

主に緑色のキウイに含まれるタンパク質分解酵素「アクチニジン」は、肉類の消化を助ける働きがあることが知られています。
牛肉とキウイを同時に摂取した研究では、血中アミノ酸濃度の上昇が早まる可能性が示されています

他にも、タンパク質を分解する酵素には、パイナップルに含まれるブロメラインやパパイヤに含まれるパパインなどがあります。
普段の食事にこれらのフルーツを取り入れてみるとよいでしょう。

朝食でタンパク質を摂取する

多くの日本人は、朝食のタンパク質摂取量が不足しているといわれています。

また、高齢者の場合、1食あたり体重1kgに対し約0.4gのタンパク質(体重60kgの人なら24g)を摂取すると、食後の筋肉の合成を最大化できると示されています

牛乳やヨーグルト、豆腐などは朝食のメニューに取り入れやすい食べ物です。
朝食からタンパク質をしっかり摂ることは、脳の健康だけでなく、筋力維持など健康的な体作りにもつながります。

プロテインやサプリメントの活用

プロテインサプリメントやプロテインバーは、手軽にタンパク質を摂取できます

これらには動物性タンパク質を含むものと植物性タンパク質を含むものがあり、吸収速度や自身の食事内容に合わせて選べるのも魅力です

コンビニやスーパーでも入手しやすいので、普段のおやつをタンパク質を豊富に含んだものに置き換えると、タンパク質を補いやすいでしょう。

タンパク質の過剰摂取に要注意

脳にとってタンパク質は積極的に摂りたい栄養素のひとつですが、摂りすぎには注意が必要です。

18歳以上の1日当たりのタンパク質の推奨量は、女性が50g、男性が65gです
過剰に摂り続けると腎臓への負担や骨粗しょう症が心配されます

また、プロテインサプリメントやプロテインバーなどは、糖質や脂質が添加されている場合があり、食べ過ぎによるカロリーオーバーにも注意が必要です

基本的には食事から摂取し、不足が心配される場合にプロテインなどを補助的に活用するとよいでしょう。

タンパク質・アミノ酸に関するよくある疑問

疲れたときに甘いものを欲するのは理にかなっている?

仕事や勉強で疲れたとき、甘いものが食べたくなるのにはきちんとした理由があります。脳は疲れると、リラックス成分である「セロトニン」を欲しがります。

セロトニンの材料はトリプトファンというアミノ酸ですが、実は甘いもの(糖質)を一緒に摂ることで、トリプトファンが脳へスムーズに運ばれやすくなるのです

疲れたときの休憩には、材料となる「タンパク質」と、運び役となる「ブドウ糖」を同時に摂れる、プリンや砂糖入りのホットミルクなどがおすすめです

ストレスを感じたときはトマトを食べるといい?

「ストレス緩和にGABAがいい」と聞いたことがあるかもしれません。
GABAはトマトやメロンに多く含まれるアミノ酸のひとつで、リラックス効果やストレスの緩和に関わっているといわれています
また、GABAはごぼうやニンニクに含まれるフルクトオリゴ糖と一緒に摂取すると、脳内のGABAの濃度を増加させる可能性も示されています

ストレスを感じたときは、気軽に摂れるトマトジュースや、トマトとニンニクを使ったスープなどでGABAを取り入れてみましょう

まとめ:タンパク質・アミノ酸は脳機能を支える重要な栄養素!意識的に摂取しよう

タンパク質・アミノ酸は脳そのものの構成成分であるだけでなく、神経伝達物質やホルモンの材料として、心身の健康を維持する上で欠かせない栄養素です。

アミノ酸の中には食事からしか摂取できない必須アミノ酸があり、多くが脳において重要な役割を担っています。

脳の健康維持のためにも、3食の食事を基本にサプリメントも活用しながら、1日に必要なタンパク質・アミノ酸の摂取を心掛けましょう。

この記事の補足情報

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著者情報

  • PROFILE/ プロフィール

    伊藤 たえ

    赤坂パークビル脳神経外科 菅原クリニック 東京脳ドック 院長 ■Profile 2004年 浜松医科大学医学部 卒業 2004年 浜松医科大学付属病院 初期研修 2006年 浜松医科大学脳神経外科 2013年 河北総合病院脳神経外科 2016年 山田記念病院脳神経外科 2019年 菅原脳神経外科クリニック 2019年 現職 ■所属学会 日本脳神経外科学会専門医 日本脳卒中学会専門医 日本脳ドック学会認定医

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